(Q1)保護施設に入所していた被保護者が死亡し、施設長がその葬祭を行う場合、葬祭扶助の実施責任はどの自治体の実施機関にあるのでしょうか?(Q2)葬祭扶助の費用負担区分は、死亡前と死亡後でどのように取り扱うのが適当ですか?

(A1)結論

保護施設に入所していた生活保護受給者が亡くなり、施設長が葬祭を行う場合の葬祭扶助は、

その方の生活保護を担当していた福祉事務所(実施機関)が行います。

つまり、

  • 神戸市の福祉事務所が保護を実施していた人なら → 神戸市
  • 姫路市の福祉事務所が保護を実施していた人なら → 姫路市

が葬祭扶助の実施責任を負います。


具体例

例えば、

Aさんが神戸市で生活保護を受給しており、その後、兵庫県内の保護施設に入所していたとします。

その施設でAさんが亡くなり、身寄りがなく施設長が葬儀を行う場合、

施設の所在地の自治体ではなく、Aさんの保護を担当していた神戸市の福祉事務所が葬祭扶助を実施します。


なぜか

保護施設へ入所しても、

生活保護の実施責任は原則として入所前の実施機関に残る

ためです。

そのため、死亡後の葬祭扶助についても、その実施機関が担当します。


一言でいうと

保護施設で亡くなった場合でも、葬祭扶助は「施設のある市町村」ではなく、「その人の生活保護を担当していた福祉事務所」が行います。

行政書士として相談を受けた際は、

「まず亡くなられた方の保護を担当していた福祉事務所に連絡してください」

と案内すると実務上スムーズです。

(A2)わかりやすくいうと、「亡くなる前に発生した費用」と「亡くなった後に発生した費用」で負担する制度が異なります。

1. 死亡前に発生した費用

亡くなるまでに必要だった費用は、原則として生活保護の各扶助で対応します。

  • 入院費 → 医療扶助
  • 介護サービス費 → 介護扶助
  • 食費や日用品費 → 生活扶助
  • 施設利用料の一部 → 生活扶助等

これらは死亡前の生活を維持するための費用なので、葬祭扶助の対象ではありません。


2. 死亡後に発生した費用

亡くなった後に行う葬儀や火葬などの費用は、葬祭扶助の対象となります。

  • 遺体搬送費
  • 火葬費
  • 納骨費
  • 死亡診断書料(自治体の取扱いによる)
  • 最低限度の葬祭に必要な費用

これらは死亡後に発生する葬祭費用として葬祭扶助で支給されます。


実務上の考え方

例えば、生活保護受給者が病院で亡くなった場合

費用負担区分
死亡日までの入院費医療扶助
死亡日までの食事代医療扶助等
死亡後の遺体搬送費葬祭扶助
火葬費用葬祭扶助
骨壺代等の必要経費葬祭扶助

となります。


一言でまとめると

死亡前の費用は生活扶助・医療扶助などで対応し、死亡後の葬儀・火葬等に必要な費用は葬祭扶助で対応する、という区分になります。

生活保護実務では、

「死亡の事実が発生する前の費用は各扶助、死亡後の葬祭に要する費用は葬祭扶助」

という考え方で整理すると理解しやすいです。

記事のお問い合わせ