(Q1)老人福祉法の措置により他市の養護老人ホームに入所した場合、生活保護の実施責任はどの自治体が負うことになりますか?例:A市に居住していた単身者甲がB市所在の養護老人ホームに入所した場合、生活保護法第84条の3の規定により、どの市が保護の実施責任を負うのでしょうか?(Q2)入所者の措置が廃止された場合、生活保護の実施責任はどのように変わりますか?例:入院中に甲または乙に対する老人福祉法による措置が廃止された場合、A市が引き続き実施責任を負うことになるのはなぜですか?(Q3)入所者の出身世帯が他市へ移転した場合、保護の実施責任は移転先の自治体に移るのでしょうか?

(A1)わかりやすく言うと、このケースでは A市が引き続き生活保護の実施責任を負います。

事例

  • 甲さんはもともと A市に居住
  • 老人福祉法の措置により
  • B市にある養護老人ホームへ入所

この場合、

「養護老人ホームがB市にあるからB市が生活保護を担当する」

のではなく、

入所前に保護を担当していたA市がそのまま担当する

という扱いになります。

これは、養護老人ホームや特別養護老人ホームが特定の自治体に集中しているため、

  • 施設所在地の自治体だけに負担が集中しないようにする
  • 入所によって実施責任がコロコロ変わらないようにする

という趣旨です。

厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領について」でも、

被保護者が老人福祉法の措置により養護老人ホーム又は特別養護老人ホームに入所した場合は、その者の入所期間中、従前の保護の実施機関が従前どおり保護の実施責任を負うこと

とされています。


生活保護法第84条の3との関係

生活保護法第84条の3は、施設入所などの場合に「入所前の居住地の実施機関が引き続き責任を負う」という趣旨の規定です。

そのため、

本問の結論

状況実施責任を負う自治体
A市在住 → 老人福祉法の措置でB市の養護老人ホームへ入所A市

となります。

つまり、

「養護老人ホームの所在地であるB市ではなく、入所前に居住していたA市(従前の保護実施機関)が保護の実施責任を負う」

というのが答えです。

なお、実務や試験では

「老人福祉法の措置入所 → 従前の実施機関が継続して責任を負う」

と覚えておくと整理しやすいです。

(A2)結論

老人ホームへの措置入所中の人が入院し、その後に老人福祉法による措置が廃止されても、一定の場合は元の自治体(A市)が引き続き生活保護の実施責任を負います。

これは、入院しただけで生活保護の担当自治体が頻繁に変わると、本人の生活や医療に支障が出るためです。


具体例

①措置入所時

A市に住んでいた高齢者が、老人福祉法による措置でB市の特別養護老人ホームに入所した。

この時点では、

  • 元々の居住地:A市
  • 施設所在地:B市

ですが、生活保護の実施責任はA市にあります。


②入院した場合

その後、病気になりB市の病院へ入院したとします。

入院しても、

「退院したら施設に戻る予定」

であれば、生活の本拠は引き続き措置施設と考えられます。

そのため、

👉 A市が生活保護を担当し続けます。


③入院中に措置廃止

さらに入院中に、

  • 特養を退所した
  • 老人福祉法の措置が廃止された

場合でも、

入院前の生活の本拠が措置施設であり、
その措置を行っていた自治体との関係が継続しているため、

👉 A市がそのまま生活保護の実施責任を負います。


なぜA市なの?

もし措置廃止のたびに担当自治体が変わると、

  • A市→B市へ移管
  • 転院でさらにC市へ移管

というように頻繁に担当が変わってしまいます。

その結果、

  • 保護費の支給が遅れる
  • 医療扶助の手続きが複雑になる
  • 本人への支援が不安定になる

という問題が発生します。

そのため、

「措置入所者が入院し、その入院中に措置が廃止された場合でも、従前の実施機関が引き続き担当する」

という取扱いになっています。


試験・実務向け一言まとめ

老人福祉法による措置入所者が入院中に措置廃止となった場合でも、生活保護の実施責任は原則として措置前の居住地を管轄していた自治体(措置を行った自治体)が継続して負う。

つまり、この例では

「A市が措置を行った自治体であるため、措置廃止後も引き続きA市が生活保護の実施責任を負う」

ということです。

(A3)結論からいうと、入所者の家族(出身世帯)が他市へ転居しただけでは、生活保護の実施責任は自動的に移りません。

生活保護の実施責任は、原則として保護を受けている本人が実際に居住している場所を管轄する福祉事務所が負います。

例えば、

  • A市の施設に入所している高齢者(生活保護受給者)
  • その方の家族がB市へ転居

という場合でも、

✅ 入所者本人が引き続きA市の施設に入所しているなら、通常はA市の福祉事務所が保護を担当します。

家族(出身世帯)の転居だけを理由に、保護の実施責任がB市へ移るわけではありません。

ただし、

  • 本人が施設を退所してB市へ移住する
  • B市に新たな居所を定める
  • 居住地変更に伴う保護の移管が行われる

といった場合には、B市へ実施責任が移ることがあります。

わかりやすく言うと

「家族が引っ越したかどうか」ではなく、
「生活保護を受けている本人がどこで生活しているか」が重要です。

そのため、

入所者の出身世帯が他市へ移転した場合、保護の実施責任は移転先の自治体に移るのでしょうか?

という質問への回答は、

原則として移りません。保護の実施責任は、生活保護を受けている本人の居住地や入所施設の所在地等を基準として判断され、出身世帯が他市へ転居しただけでは移転先自治体に実施責任は移りません。

となります。

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