(Q1)局第7の4の(1)の力に定められている敷金限度額について、支払っている家賃相当額が局第7の4の(1)のオに定める額である場合でも、局第7の4の(1)のオの額に3を乗じた額の範囲内で認定してよいのでしょうか?(Q2)転居に際し敷金等を必要とする場合、家賃等の特別基準額はどのように定められていますか?
(A1)はい。認定して差し支えありません。
ポイントは、敷金等の限度額は、実際に支払う家賃額の3倍を上限とするのではなく、局長通知第7の4の(1)のオで定める「特別基準額」の3倍が上限になるという点です。
現行の局長通知第7の4の(1)のカでは、被保護者が転居に際して敷金等を必要とし、転居先の家賃が「オに定める特別基準額以内」である場合には、
「オに定める特別基準額 × 3」
の範囲内で、必要な敷金等を認定できるとされています。
たとえば、ある地域・世帯の「オの特別基準額」が月額60,000円だとします。
転居先の実際の家賃が50,000円であったとしても、敷金等の上限を必ず、
50,000円 × 3 = 150,000円
とするわけではありません。
通知上の上限は、
60,000円 × 3 = 180,000円
です。
したがって、敷金・礼金・仲介手数料・保証料等を合わせて実際に170,000円必要であり、その費用が必要やむを得ないものと認められれば、実際の家賃50,000円の3倍である150,000円を超えていても、180,000円の範囲内で170,000円を認定することが可能です。厚労省の課長通知でも、権利金、礼金、不動産手数料、火災保険料、保証料について、必要やむを得ない場合には転居に必要な敷金等として認定して差し支えないとされています。
ただし、注意すべきなのは、「特別基準額×3」を自動的に満額支給する制度ではないことです。
あくまで、
「オの特別基準額×3」を上限として、実際に必要な額を認定する
という仕組みです。
したがって、実際に必要な敷金等が120,000円なら、上限が180,000円であっても認定額は原則120,000円です。
また、ご質問では「支払っている家賃相当額がオに定める額である場合」とありますので、仮に実際の家賃自体がオの特別基準額と同額なのであれば、より単純です。
たとえば、
オの特別基準額=60,000円
実際の家賃=60,000円
なら、
敷金等の限度額=60,000円×3=180,000円
となり、180,000円の範囲内で実際に必要な額を認定できます。
なお、現在の局長通知では、ご質問の「局第7の4の(1)のカ」にまさにこの規定があり、**「オに定める特別基準額以内の家賃又は間代を必要とする住居に転居するときは、オに定める特別基準額に3を乗じて得た額の範囲内」**とされています。
したがって、簡単にまとめると、**「はい。敷金等の上限は実際の家賃額×3ではなく、局第7の4の(1)のオの特別基準額×3です。その範囲内で、実際に必要な敷金等の額を認定できます。」**という理解になります。
(A2)転居に際して敷金等が必要となる場合に使う**「家賃等の特別基準額」**は、実際の家賃を基に自由に決めるものではありません。
その地域・世帯人員に対応する住宅扶助の限度額を基礎に、局長通知第7の4の(1)のオに定める倍率を乗じて算出します。 現行の令和8年4月1日施行の生活保護実施要領でも、この取扱いが確認できます。
具体的には、まず「保護の基準別表第3の2」に基づき厚生労働大臣が別に定める、世帯人員別の住宅扶助(家賃・間代等)の限度額を確認します。通常の世帯人員別限度額では対応しにくく、世帯の状況やその地域の住宅事情からやむを得ない場合には、1人世帯の限度額に一定の倍率を掛けた額を「特別基準額」とすることができます。
倍率は次のように定められています。
| 世帯人員 | 1人世帯限度額に乗じる率 |
|---|---|
| 1人 | 1.3倍 |
| 2人 | 1.4倍 |
| 3人 | 1.5倍 |
| 4人 | 1.6倍 |
| 5人 | 1.7倍 |
| 6人 | 1.7倍 |
| 7人以上 | 1.8倍 |
厚生労働省通知上も、この額を「カ、キ及びクにおいて『特別基準額』という」としています。
たとえば、仮にその地域の1人世帯の住宅扶助限度額が40,000円だった場合、3人世帯について特別基準を適用すると、
40,000円 × 1.5 = 60,000円
となります。
この60,000円が、局第7の4の(1)のオにいう特別基準額になります。
そして、転居の際に敷金等が必要な場合は、転居先の家賃・間代がこの特別基準額以内であれば、
特別基準額 × 3
までを敷金等の上限として、実際に必要な額を認定できます。厚労省通知は、「オに定める特別基準額に3を乗じて得た額の範囲内」で必要額を認定できると定めています。
先ほどの例なら、
特別基準額60,000円 × 3 = 180,000円
ですので、敷金等については18万円を上限として、実際に必要な額を認定することになります。
ただし、ここで重要なのは、1.3~1.8倍の特別基準額がすべての転居で自動的に使えるわけではないことです。
局第7の4の(1)のオでは、通常の世帯人員別限度額では対応しにくい家賃であって、
「世帯員の状況、当該地域の住宅事情によりやむを得ないと認められるもの」
について、特別基準額の範囲内で認定できるとしています。
したがって、分かりやすく整理すると、
通常の住宅扶助限度額
↓
通常額では住居確保が困難で、世帯状況・地域の住宅事情からやむを得ない
↓
1人世帯限度額 × 世帯人員別倍率(1.3~1.8)=特別基準額
↓
転居先の家賃がその特別基準額以内
↓
敷金等は「特別基準額 × 3」の範囲内で必要額を認定
という仕組みです。
なお、敷金等には、必要やむを得ない場合には権利金、礼金、不動産仲介手数料、火災保険料、保証料も含めて認定できるとされています。
要するに、「敷金の3倍計算に使う特別基準額」は、実際の家賃そのものではなく、局第7の4の(1)のオによって算出された住宅扶助の特別基準額だと理解すると分かりやすいです。
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