(Q1)生活福祉資金貸付制度要綱に基づく災害援護資金は、被保護世帯の自立更生のために充てるものとして取り扱っても問題ありませんか?(Q2)災害弔慰金等に関する法律に基づく災害援護資金は、臨時に必要となる経費として認められますか?
(A1)はい。生活福祉資金貸付制度に基づく災害援護資金は、一定の条件を満たせば、生活保護を受けている世帯の「自立更生のための資金」として取り扱うことができます。
これは、厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第8・問11に示されている取扱いです。
① 結論
災害援護資金が被保護世帯の自立更生のために使用される場合、原則として収入認定から除外することができます。
また、借り入れた資金を返済する場合にも、一定の条件を満たせば、返済額を収入から控除することが認められます。
ただし、無条件に認められるわけではありません。
② 具体的には、どのような取扱いになりますか?
例えば、生活保護を受けているAさんの自宅が台風によって被害を受けたとします。
Aさんは、住宅の修繕や生活再建のために、社会福祉協議会から災害に関する資金として50万円を借り入れました。
この場合、次のような取扱いになります。
| 項目 | 金額 | 生活保護上の取扱い |
|---|---|---|
| 災害援護資金の借入額 | 50万円 | 条件を満たせば収入認定しない |
| 住宅の修繕費 | 30万円 | 自立更生のための必要経費として認められる余地がある |
| 被災した家財の購入費 | 20万円 | 自立更生のための必要経費として認められる余地がある |
| 貸付金の返済 | 毎月の返済額 | 所定の条件を満たせば収入から控除できる |
つまり、50万円を借り入れたからといって、必ず生活保護費が50万円減額されるわけではありません。
③ 根拠となる通知では、どのように定められていますか?
厚生労働省の課長通知第8・問11では、次の2種類の資金について取扱いを示しています。
- 生活福祉資金貸付制度要綱に基づく、災害を受けたことにより臨時に必要となる経費の貸付資金
- 災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく災害援護資金
これらについては、局長通知第8の2および第8の4の(3)に該当する場合、収入として認定しない取扱い、または償還金を収入から控除する取扱いを行って差し支えないとされています。
したがって、貸付金の使い道や返済の状況を確認したうえで判断することになります。
④ どのような条件が必要ですか?
実務上、特に重要なのは次の4点です。
1.自立更生のために必要な借入れであること
災害によって損傷した住宅の修繕や、失われた生活用品の購入など、生活再建に必要な費用であることが求められます。
2.福祉事務所が必要性を認めていること
生活保護受給者への生活福祉資金の貸付けは、保護の実施機関が自立更生を促進するために必要と認める場合に限られます。
3.貸付金の使途が明確であること
例えば、住宅修繕費であれば、見積書などによって必要額を確認します。
4.返済についても所定の要件を満たすこと
返済額がすべて自動的に収入から控除されるわけではありません。局長通知に定める要件を満たす必要があります。
⑤ 注意点
ここで注意したいのは、災害援護資金は、災害見舞金や保険金とは異なり、返済義務のある「貸付金」であるという点です。
また、生活福祉資金制度による災害関連の貸付けと、災害弔慰金法に基づく災害援護資金は、別の制度です。
現在の生活福祉資金制度では、災害によって臨時に必要となる費用は、福祉資金の「福祉費」として取り扱われています。
⑥ まとめ
今回の質問を簡単にまとめると、次のとおりです。
生活福祉資金貸付制度に基づく災害関連の貸付資金は、被保護世帯の自立更生のために必要と認められる場合、収入として認定しない取扱いができます。
また、その貸付金の返済についても、所定の条件を満たせば、償還金を収入から控除することが認められます。
したがって、災害援護資金を借り入れたことだけを理由に、生活保護費を減額する取扱いは適切ではありません。 貸付目的と自立更生の必要性を確認することが重要です。
根拠通知
- 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第8・問11
- 「生活保護法による保護の実施要領について」局長通知第8の2、第8の4の(3)
参考:厚生労働省「生活福祉資金(福祉資金及び教育支援資金)貸付制度の運営について」
(A2)はい。「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づく災害援護資金は、生活保護を受けている世帯の自立更生のために必要な資金として、一定の条件の下で認められます。
① 結論
災害援護資金は、災害によって被害を受けた世帯が、生活を立て直すために借り入れる資金です。
そのため、被保護世帯の自立更生に必要な経費に充てる場合には、収入認定から除外できる取扱いがあります。
ただし、借り入れた資金がすべて無条件に収入認定から除外されるわけではありません。
② 具体例
例えば、生活保護を受けているAさんが、地震によって自宅や家財に被害を受けたとします。
Aさんは、災害援護資金として100万円を借り入れ、次のように使用する予定です。
| 使用目的 | 金額 | 取扱い |
|---|---|---|
| 被災した住宅の修繕 | 60万円 | 自立更生に必要な経費として認められる余地がある |
| 被災した家財の購入 | 30万円 | 自立更生に必要な経費として認められる余地がある |
| 就労再開に必要な道具の購入 | 10万円 | 必要性が認められれば対象となる余地がある |
| 合計 | 100万円 | 条件を満たす範囲で収入認定から除外できる |
このように、生活再建や就労再開に必要な支出であれば、自立更生のための経費として検討できます。
③ 生活保護上の取扱い
厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第8・問11では、災害関連の貸付資金について、一定の要件を満たせば、収入認定しない取扱いや、償還金を収入から控除する取扱いが認められています。
ただし、貸付制度上の対象経費であることと、生活保護上の収入認定除外が認められることは別の判断です。
福祉事務所では、借入目的、使途、必要額などを確認します。
④ 注意点
特に重要なのは、次の3点です。
- 災害援護資金は貸付金であること
災害見舞金とは異なり、原則として返済義務があります。 - 自立更生のために必要な費用であること
住宅の修繕、生活用品の再取得、就労再開など、具体的な目的が必要です。 - 収入認定からの除外には要件があること
福祉事務所が必要性や金額の妥当性を確認して判断します。
⑤ まとめ
今回の質問を簡単にまとめると、次のとおりです。
災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく災害援護資金は、災害によって臨時に必要となる生活再建のための資金であり、生活保護世帯の自立更生に必要な経費として認められる場合があります。
その場合、所定の要件を満たせば、借入金を収入として認定しない取扱いが可能です。
なお、災害援護資金は、一般的な生活費を補うための無条件の給付金ではありません。貸付制度の対象となる使途と、生活保護上の自立更生の必要性を確認することが大切です。
根拠通知: 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第8・問11。
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