(Q1)保護申請をした世帯が、収入と最低生活費の比較では要保護世帯と判断されましたが、山林などの資産を所有している場合、どのような対応が取られますか?(Q2)当該世帯に資産があるため、その処分を指導したものの、すぐに処分できない場合、生活保護の決定はどのように行われますか?(Q3)資産の処分が困難な場合でも、生活保護を一時的に認めることは可能ですか?また、その後の対応はどのようになりますか?
(A1)わかりやすく言うと、収入が最低生活費以下で「要保護世帯」と判断されても、山林などの資産がある場合は、その資産の扱いを確認されます。
生活保護は「資産・能力等を活用しても生活できない場合」に利用する制度だからです。
山林を持っている場合の基本的な流れ
① 山林の内容を確認される
福祉事務所(ケースワーカー)は次のような点を確認します。
- 山林の場所
- 面積
- 固定資産評価額
- 売却できるか
- 実際に価値があるか
- 他人と共有か単独所有か
② 売却や活用が可能なら処分を求められることがある
例えば
- 売れる見込みがある山林
- 収益(木材・賃貸・利用料等)が得られる山林
- 比較的価値が高い土地
→ この場合、
「まず資産活用(売却・貸付等)をしてください」
と言われることがあります。
③ すぐ売れない山林は直ちに保護却下とは限らない
山林はよくあります。
- 山奥で買い手がいない
- 接道がない
- 固定資産税だけかかる
- 価値がほぼない
- 相続しただけで使えない
この場合は、
直ちに「売れ=保護不可」になるとは限りません。
福祉事務所が
「換価(売却)が現実的か」
を判断します。
④ 保護開始後に売却指導になることもある
売却に時間がかかる場合、
生活保護を開始しつつ、
「売却活動を進めてください」
と指導されることがあります。
(不動産業者への相談、売却活動の確認など)
実務で大事なポイント
山林がある=生活保護不可 ではありません。
見るのは
「その山林が現実に生活費へ活用できる資産かどうか」
です。
一言でまとめると
収入面で要保護世帯でも、山林がある場合は「売れるか・収益化できるか・価値があるか」を確認し、活用可能なら処分指導、活用困難なら保護継続・開始の可能性があります。
もし実務対応として必要なら
「山林がある申請者向け 福祉事務所への説明文(生活保護申請用)」
も作成できます。
(A2)わかりやすくいうと、
「資産がある=すぐ生活保護が受けられない」ではありません。
ポイントは その資産がすぐ現金化(処分)できるかどうか です。
① 原則
生活保護は、
預貯金・土地・家・保険・車など活用できる資産は先に活用する
(生活保護法4条:補足性の原則)
という考え方があります。
② すぐに処分できない場合は?
例えば
- 土地や家を売却したいが、すぐ買い手がつかない
- 相続財産の整理に時間がかかる
- 解約したい保険がすぐ戻らない
- 不動産の名義整理中
このように
「資産はあるが、すぐ生活費に変えられない」 場合があります。
その場合は、
生活保護の申請自体はできます。
そして福祉事務所は、
→ 急迫性(今生活に困っているか)を見て判断します。
生活に困窮していて、
今日・明日の生活費や医療費がない場合は、
保護開始(決定)されることがあります。
③ どういう決定になる?
多いのは
「保護開始」+ 資産処分の指導継続
つまり、
いったん生活保護を開始する
ただし、その資産は売却・解約・換価してください
という扱いです。
④ 資産が売れたらどうなる?
後で資産が現金化された場合は、
そのお金で生活できるなら
- 保護停止
- 保護廃止
- 支給済み保護費の調整(状況による)
になることがあります。
⑤ 例
例:土地を持っているが売却に数か月かかる場合
→ 今すぐ生活費がない
→ 生活保護開始
→ ケースワーカーから売却指導
→ 売却代金が入れば、その後見直し
一言でまとめると
資産があっても、すぐ処分できないなら直ちに却下とは限らず、生活状況を見て保護開始しつつ処分指導が続くことがあります。
実務上は
「活用可能な資産か」「すぐ換価できるか」「急迫性があるか」
が重要です。
行政書士実務で言えば、福祉事務所には
「現在すぐ処分できない事情(売却中・名義整理中等)」を具体的に説明して記録化しておく のが大切です。
(A3)はい、資産の処分がすぐにできない場合でも、生活保護が一時的に認められることはあります。
わかりやすく説明します。
① 原則
生活保護では
「使える資産(預貯金・土地・家・保険など)は、まず生活のために活用する」
という考え方があります(資産活用の原則)。
② すぐ処分できない場合はどうなる?
例えば…
- 土地や家が売れない
- 売却まで時間がかかる
- 相続財産がすぐ現金化できない
- 解約しにくい保険がある
- リバースモーゲージの手続きに時間がかかる
このように資産はあるが、すぐ生活費に変えられない場合は、
「当面の生活に困る」状態なら、生活保護が一時的に開始されることがあります。
これを実務上、
「保護開始後に資産活用を進める」 形で扱うことがあります。
③ 保護開始後の対応
生活保護が始まった後、福祉事務所(ケースワーカー)から次の対応を求められることがあります。
✅ 売却活動
→ 不動産会社に依頼、売却の検討
✅ 保険の解約・返戻金確認
→ 解約できるものは確認
✅ 相続手続き
→ 相続財産の換価・整理
✅ リバースモーゲージの検討
→ 高齢者・持ち家など条件による
④ 資産が現金化されたら?
あとで資産が売れたり、解約返戻金が入った場合は、
そのお金をまず生活費に使うことになります。
状況によっては
- 保護費が減額
- 一時停止
- 廃止
- 既に支給された保護費の調整(返還・充当の検討)
になることがあります。
⑤ ただし注意点
「資産がある=必ず生活保護不可」ではありません。
例えば、
- 売却が著しく困難
- 自宅処分が生活再建を大きく妨げる
- 少額資産で直ちに生活費にならない
- 高齢者で現実的に換価が難しい
などは、個別事情が見られます。
一言でまとめると
資産がすぐ処分できなくても、生活に困窮していれば生活保護が一時的に開始されることがあります。
ただし、その後は福祉事務所と相談しながら資産活用(売却・解約など)を進める流れになります。
実務上は、以前ご相談のあった神戸市の持ち家・リバースモーゲージ・処分困難資産でも論点になるので、
「申請中・開始後にケースワーカーから言われやすい対応Q&A」に落として整理することもできます。
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