(Q1)健康保険による入院患者が退院の際、健康保険組合から還付金を受領した場合、この還付金は収入として認定すべきでしょうか?それとも、この還付金は健康保険法第63条による返還とすべきでしょうか?(Q2)健康保険組合の附加給付として支給された還付金の場合、どのように法的に取り扱うべきでしょうか?

(A1)はい。この質問では、まず条文を整理することが重要です。ここで返還の問題になるのは、**健康保険法第63条ではなく「生活保護法第63条」**です。健康保険法第63条は「療養の給付」を定めた条文です。

簡単に言い換えると、

「生活保護を受けている入院患者が、退院後に健康保険組合から医療費等の還付金を受け取った場合、そのお金を受け取った月の収入として扱うのか、それとも以前から受け取る権利があったお金として、生活保護法63条で保護費を返還してもらうのか?」

という質問です。

ポイントは「還付を受ける権利がいつ発生したか」です

生活保護法第63条は、資力があるにもかかわらず保護を受けた場合に、すでに支給した保護費の範囲内で返還を求める制度です。

したがって、健康保険組合からの還付金についても、単純に「実際に口座へ振り込まれた日」だけで判断するのではなく、その還付金を受ける権利(資力)がいつ発生したのかを確認することが重要になります。

例えば、入院中にすでに健康保険上の給付・還付を受ける権利が発生していたものの、手続に時間がかかり、退院後になって実際に還付金が振り込まれたというケースです。

この場合には、資力が発生した時点以後に支給された保護費との関係を確認し、生活保護法第63条による返還として取り扱うべきかを検討することになります。第63条自体も「資力があるにもかかわらず保護を受けた」場合の費用返還を定めています。

つまり、

「退院後に振り込まれたから、その月の臨時収入として処理すればよい」

と機械的に考えるのではなく、

① 何についての還付金なのか
② 還付を受ける権利がいつ発生したのか
③ その時点以降に生活保護費が支給されているか

を確認することがポイントです。

なお、実務上は、保護受給中に資力が発生し、その直後に実際の収入となったような一定の場合には、事務処理上、受領月の収入として認定できる取扱いもあります。そのため、還付金なら必ず63条、あるいは必ず収入認定、と一律には決められません。

一言でまとめると、**「健康保険組合からの還付金については、その還付金の支給原因と資力の発生時期を確認し、すでに資力が発生していた期間に保護を受けていたのであれば、原則として生活保護法第63条による返還を検討する。単純に退院後に受領した月の収入として扱うとは限らない」**と理解すると分かりやすいです。

(A2)はい。この質問は、生活保護受給者が、健康保険組合から**「附加給付」として医療費の一部の還付を受けた場合、その還付金を生活保護上の収入として認定するのか**、という質問です。

簡単に言い換えると、

「健康保険組合から、医療費の自己負担が多かったためお金が戻ってきました。この還付金は本人が自由に使えるお金として収入認定するのでしょうか。それとも、医療費の払い戻しなので収入から除外されるのでしょうか?」

という問題です。

基本的な考え方

重要なのは、「還付金」という名前だけで判断せず、そのお金が何のために支給されたものかを確認することです。

健康保険組合の附加給付は、法定の高額療養費に加えて、各健康保険組合が規約に基づいて、本人が負担した医療費の一部をさらに給付する仕組みです。

したがって、生活保護上は、

① 何に対する附加給付なのか
② その医療費を誰が負担したのか
③ 生活保護の医療扶助等から既に支給されていないか

を確認する必要があります。

本人が負担した医療費の「実費弁償」的なものなら

例えば、Aさんが自己負担で医療費を支払い、後日、健康保険組合からその自己負担分の一部が附加給付として戻ってきたケースです。

このような場合には、単純に「現金が入ったから全額収入」と考えるのではなく、本人が実際に負担した医療費を補填する性質の給付であることを踏まえて、収入認定の要否・範囲を判断する必要があります。

一方、同じ医療費について、すでに生活保護の医療扶助等で公費負担されているにもかかわらず、後から健康保険組合から給付金が支払われた場合には、二重に利益を受けることにならないよう調整が必要になります。

「高額療養費」と同じく給付の中身を確認する

例えば、

医療費を本人がいったん負担
→ 健康保険組合から高額療養費・附加給付が支給
→ その医療費について生活保護からも負担されていた

というケースなら、福祉事務所は、どの期間・どの診療に対する給付なのかを確認して、収入認定や返還・費用調整の対象になるかを判断することになります。

したがって、健康保険組合から10万円が振り込まれたからといって、直ちに「臨時収入10万円」と機械的に処理するのではなく、支給決定通知書などによって給付の根拠と対象となった医療費を確認することが重要です。

実務では、健康保険組合から届いた**「附加給付支給決定通知書」「高額療養費支給決定通知書」などを福祉事務所へ提出して確認してもらう**のが適切です。

要するに、**「健康保険組合の附加給付による還付金は、単に振込金だから一律に収入認定するのではなく、どの医療費に対する給付なのか、本人が実際に負担した費用の補填なのか、医療扶助等との重複がないかを確認したうえで、収入認定・返還等の取扱いを判断する」**と理解すると分かりやすいです。

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記事のお問い合わせ先 生活保護専門 神戸市の義足行政書士事務所