(Q3)支援加算の内容や要件について、具体的にどのような点に注意すべきですか?
(A3)集中的支援加算について注意すべき点は、**「強度行動障害の点数を満たせば自動的に算定できる加算ではない」**ということです。
利用者の状態が著しく悪化し、通常の支援では生活やサービス利用の維持が難しい場合に、自治体、専門家、事業所等が連携して、所定の手続きと計画に基づいて実施する必要があります。
1.集中的支援加算(Ⅰ)と(Ⅱ)を区別する
集中的支援加算(Ⅰ)
広域的支援人材と呼ばれる専門家が、現在利用している事業所を訪問したり、オンラインで助言したりして支援します。
利用者は、基本的に現在の事業所や住居で生活を続けます。
集中的支援加算(Ⅱ)
現在の住居や事業所で支援を続けることが難しい場合に、利用者が一時的に別の受入施設へ移り、専門的な支援を受けます。
加算(Ⅱ)は、単なる短期入所や一時預かりではなく、元の生活場所へ戻るための短期・集中的な支援です。
2.対象者の点数だけで判断しない
集中的支援の対象となる基準は、原則として次のとおりです。
- 成人:行動関連項目が10点以上
- 障害児:強度行動障害判定表が20点以上
ただし、この点数を満たすだけでは不十分です。
自傷、他害、物を壊す行動などが非常に激しくなり、現在のサービス利用や生活を維持することが難しくなっているかを、市町村と事業所等が検討します。
3.事前に自治体への申請・調整が必要
事業所だけで「今日から集中的支援を始めて加算を請求する」と決めることはできません。
基本的には、次の流れが必要です。
- 事業所等が支給決定市町村へ実施を申請する
- 市町村が対象基準と支援の必要性を確認する
- 市町村が都道府県等へ実施を依頼する
- 都道府県等が広域的支援人材を調整する
- アセスメントと実施計画に基づいて支援する
計画相談支援を利用している場合は、相談支援専門員と十分に連携し、サービス担当者会議で検討することが望ましいとされています。
4.実施計画と記録を残す
集中的支援は、広域的支援人材によるアセスメントを踏まえて、集中的支援実施計画に基づいて行う必要があります。
計画には、例えば次の内容を明確にします。
- 利用者の状態や行動の背景
- 支援上の課題
- 具体的な支援方法
- 環境調整の方法
- 職員の役割分担
- 実施期間
- 支援終了後の方針
- 元の事業所への引継ぎ方法
また、訪問日、助言内容、支援の実施状況、利用者の変化などを記録しておく必要があります。請求だけがあり、計画や実施記録が確認できない場合は、算定要件を満たさない可能性があります。
5.加算(Ⅰ)の算定回数に注意する
集中的支援加算(Ⅰ)は、1月につき4回を限度として算定します。
集中的支援開始時に行う本人や環境のアセスメントについても、開始後速やかに請求できますが、このアセスメント分も月4回の算定回数に含まれます。
例えば、開始時のアセスメントで1回算定した場合、その月に残り算定できるのは原則3回です。
6.加算(Ⅱ)では、受入施設の要件を確認する
居住支援活用型は、どの事業所でも実施できるわけではありません。
都道府県等が、強度行動障害に対応できる体制を持つ施設・事業所として、あらかじめ登録・選定した受入先で実施する必要があります。
そのため、受入れ前に、
- 都道府県等の登録対象となっているか
- 必要な研修修了者や職員体制があるか
- 広域的支援人材と連携できるか
- 個室や支援環境を確保できるか
などを確認することが重要です。
7.加算(Ⅱ)は、元の居住場所を確保する
居住支援活用型では、集中的支援終了後に元の事業所や居住場所へ戻ることが基本です。
そのため、申請の段階で、元の事業所等が支援終了後の居住場所を確保していることが要件になります。
例えば、グループホームの利用者が一時的に障害者支援施設へ移る場合でも、本人の意思に反して、集中的支援の期間中にグループホームの利用契約を解除することは認められません。
8.既存の支給決定を安易に廃止しない
加算(Ⅱ)の実施に伴い、新しいサービスの支給決定や支給量の変更が必要な場合は、市町村が手続きを行います。
ただし、支援終了後に元の事業所へ戻れるよう、既存サービスについて必要な支給決定を残すなど、円滑に復帰できる取扱いが必要です。
なお、支給決定を残すことと、同じ日に複数の事業所が重複して報酬を請求することは別の問題です。実際のサービス提供日や報酬の重複可否を確認して請求する必要があります。
9.元の事業所も支援に参加する
加算(Ⅱ)では、受入施設に任せきりにしてはいけません。
元の事業所には、
- 利用者のこれまでの支援状況を伝える
- 支援会議に参加する
- 受入施設で有効だった支援方法を学ぶ
- 職員間で支援方法を共有する
- 利用者が戻るための環境を準備する
- 復帰後も支援方法を継続する
といった役割があります。
受入施設で状態が安定しても、元の事業所に支援方法が引き継がれなければ、復帰後に再び状態が悪化する可能性があるためです。
10.本人の意思や権利に配慮する
居住場所を一時的に移す場合は、本人にとって大きな環境変化になります。
そのため、
- 本人に分かる方法で説明する
- 本人の意思を可能な限り確認する
- 家族や相談支援専門員と連携する
- 本人の意思に反する契約解除や事実上の退所を行わない
- 行動の制止だけを目的にしない
ことが重要です。
集中的支援の目的は、利用者を別の場所に隔離することではなく、行動の背景を分析し、本人に合った支援と生活環境を整えることです。
まとめ
特に注意すべき点は、次のとおりです。
点数基準だけで算定しない。自治体への申請、専門家によるアセスメント、実施計画、支援記録、終了後の引継ぎまでを一体として行う。
加算(Ⅱ)の場合はさらに、一時的な居住場所の変更であり、元の居住場所、利用契約、必要な支給決定を確保しておくことが重要です。
自治体によって申請書や提出期限、登録施設の取扱いが異なる場合があるため、実施前に支給決定市町村と都道府県の障害福祉担当部署へ確認するのが安全です。
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