(Q) 世帯全員が入院または入所し、元の居住地が消滅した場合、世帯認定や実施責任はどのように判断すべきですか?

(A)はい。この場合は、元の世帯の居住地がなくなっているため、「出身世帯の居住地をそのまま使う」という扱いはできません。 そのため、入院・入所している各人について、生活保護法上の実施責任を個別に判断することになります。厚生労働省の課長通知では、この点が具体的に示されています。

たとえば、夫婦2人世帯で、夫が病院に入院し、妻が保護施設に入所した後、もともと住んでいたアパートを解約して世帯の元の居住地が消滅したとします。この場合、実際には夫婦であって本来は同一世帯員として認定される関係でも、実施責任を決めるときには、それぞれ別の世帯であるものとして判断します。 厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」第2・問3は、まさにこのケースについて「それぞれ世帯を別にしているものとして判断すべき」としています。

具体的には、

病院に入院している人
→ 局長通知第2の1または2に基づき、その人について「居住地があるか」「居住地がなければ現在地はどこか」などから実施責任を判断します。生活保護の実施責任は、基本的には居住地を管轄する福祉事務所、居住地がない・明らかでない場合には現在地を管轄する福祉事務所が負うという考え方です。

保護施設に入所している人
→ 生活保護法第19条第3項の特例によって判断します。保護施設に入所している場合には、単純に「施設がある市町村が担当になる」というわけではなく、施設入所前の居住地・現在地などを基準として実施責任が定められる仕組みがあります。

したがって、大切なのは、

「家族だから、元の福祉事務所が家族全員をずっと担当する」とは限らない

という点です。

元の家が残っていて、そこに出身世帯員が生活しているのであれば、世帯分離された入院患者についても、その出身世帯の居住地を本人の居住地として扱うことができます。ところが、世帯全員が入院・入所して元の住宅もなくなった場合には、その基準となる「出身世帯の居住地」そのものが存在しなくなるため、各人について実施責任を判定し直す必要があります。

かなり簡単に整理すると、

① 家族の誰かが元の家に住んでいる
→ 世帯分離された入院患者等も、原則としてその出身世帯の居住地を基準にする。

② 世帯全員が入院・入所し、元の家もなくなった
→ 出身世帯の居住地を基準にできない。

③ そのため
→ 入院患者、保護施設入所者などについて、それぞれ別世帯として実施責任を判断する。

という流れです。

なお、ここでいう「別世帯として判断する」というのは、夫婦や親子の関係そのものがなくなる、あるいは生活保護上あらゆる場面で永久に別世帯になる、という意味ではありません。 あくまで、このような特殊な状況でどの福祉事務所が保護の実施責任を負うのかを決定するための取扱いと理解すると分かりやすいです。

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