(Q)現に居住している借家が破損しており、生活に著しい支障があるため、やむを得ず現在よりも高家賃の公営住宅に転居する場合、敷金を必要とする際には「課第7の30の答10」に該当するものと解釈してよいでしょうか。

(A)はい。ご質問のケースは、原則として「課第7の30の答10」に該当すると考えて差し支えありません。

現在の厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」では、敷金等を必要とする転居が認められる場合の一つとして、

「老朽又は破損により居住にたえない状態になったと認められる場合」

が明記されています。これがご質問の「答10」に当たる内容です。

したがって、現在住んでいる借家が破損しており、そのまま住み続けることが困難・不適当な程度に生活上の著しい支障があるため、やむを得ず公営住宅へ転居する場合には、転居に必要な敷金等を住宅扶助として認定できる対象になり得ます。

現在より家賃が高くてもよいのか

ここがご質問の重要なポイントです。

「答2」には、

実施機関の指導に基づき、現在の家賃より低額な住居へ転居する場合

という要件があります。

しかし、「答10」はこれとは別個の転居理由です。

つまり、

現在の家賃より安い住宅に転居すること

が答10の要件になっているわけではありません。

したがって、現在の借家が老朽・破損して居住に耐えないため転居するのであれば、転居先の公営住宅が現在の家賃より多少高いという理由だけで、答10への該当性が否定されるものではありません。

ただし、転居先の家賃には別の基準があります

敷金等を住宅扶助として認定する場合、局長通知第7の4の(1)では、原則として住宅扶助の基準・特別基準の範囲との関係も確認されます。現在の通知でも、被保護者が転居に際して敷金等を必要とする場合について規定されています。

したがって、

「今より家賃が高いか安いか」

だけで判断するのではなく、

① 現住居が本当に老朽・破損により居住に耐えない状態なのか
② 転居が必要・やむを得ないものなのか
③ 転居先の家賃が住宅扶助上認められる範囲なのか
④ 実際に敷金等が必要なのか

を福祉事務所が確認することになります。

具体例

たとえば、

「現在の借家は家賃3万円だが、建物の老朽化で雨漏り・床の破損等がひどく、安全な生活が困難になっている。市営住宅に当選したが、家賃は3万5,000円で、入居時に敷金が必要」

という場合です。

このとき、

「3万円 → 3万5,000円だから、家賃が高くなるので敷金は出せない」

と直ちに判断するのではありません。

現住居が老朽・破損によって居住に耐えない状態と認められ、転居先の家賃についても住宅扶助上認められる範囲であれば、答10を根拠として敷金等の認定を検討することができます。

なお、「生活に著しい支障がある」だけで自動的に答10になるのではなく、通知上は**「老朽又は破損により居住にたえない状態になったと認められる場合」**であることがポイントです。したがって、福祉事務所としては、破損状況の写真、家主・管理会社からの資料、ケースワーカーの訪問確認などによって、実態を確認して判断するのが適切です。

結論としては、「現住居が老朽・破損により居住に耐えず、やむを得ず公営住宅へ転居する場合は、転居先の家賃が現在より高くても、それだけで除外されず、課第7の30答10に該当し得る。敷金等についても、他の住宅扶助要件を満たせば認定対象となる」という理解でよいです。

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