(Q1)救護施設における入所が適当でない場合、どのような基準や判断が用いられますか?例:救護施設への入所が適当でないと判断される具体的なケースや、その際の対応について教えてください。(Q2)扶養義務者に関する通知の適用範囲はどのようになっていますか?例:局長通知第5の2の(5)のアは、生活扶助義務関係がある者に対して、事実の有無や親権の有無にかかわらず適用されるのでしょうか?
(A1)救護施設への入所が適当かどうかは、全国一律の単純なチェック基準で決めるのではなく、本人の身体・精神状態、日常生活能力、居宅生活の可能性、必要な支援内容などを総合的に見て判断します。 厚生労働省の調査でも、「明確な統一基準は設けず、個別の状況に応じて判断している」という自治体の実務が示されています。
救護施設は、生活保護法上、身体上または精神上の著しい障害があるため、日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させ、生活扶助を行う施設です。したがって、まず見るべきなのは「本人が救護施設でなければ生活できない状態なのか」です。
たとえば、次のような場合は、救護施設への入所が適当でない、または別の支援を優先すべきと判断されることがあります。
- 居宅で十分生活できる場合
金銭管理、服薬、食事、掃除・洗濯などがおおむね自分ででき、必要な訪問支援等を利用すればアパート等で生活できる場合は、居宅生活を優先して検討します。 - 他の専門施設の方が本人の状態に適している場合
常時介護が必要なら特別養護老人ホーム等、障害福祉上の専門的支援が必要なら障害者支援施設など、本人に適した他制度の施設を検討します。厚労省も、居宅保護や他法の専門施設で受入れ可能な場合には、それを優先し、救護施設への入所が適切か継続的に検討するよう求めています。 - 医療的な対応が中心となる場合
急性期の治療や常時の医療管理が必要で、救護施設の支援体制では対応できない場合には、医療機関への入院などを検討します。 - 本人の支援ニーズと施設機能が合わない場合
年齢、疾病、障害、ADL、精神状態、行動面などを確認し、救護施設で提供できる支援では本人のニーズに対応できない場合です。 - 本人が居宅生活を希望し、支援を組み合わせれば実現可能な場合
本人の希望も重要な判断材料です。施設の都合だけで入所させるのではなく、本人の意向を尊重することが求められています。保護施設の指導監査基準でも、処遇は本人の意向・希望等を尊重するよう配慮することとされています。
具体的には、福祉事務所では、年齢、世帯構成、身体・精神状態、ADL、金銭管理能力、服薬管理、家事能力、対人関係、これまでの生活歴、前居住地での生活状況、就労可能性・就労意欲、利用できる社会資源などを確認して判断します。厚労省の自治体調査でも、これらを総合的に勘案して施設選択をしている実態が示されています。
例えば、60歳の人が住居を失っているものの、身体・精神状態に大きな問題がなく、金銭管理や炊事・洗濯もできるとします。この場合、
「住居がない=救護施設」
とはなりません。無料低額宿泊所や日常生活支援住居施設、あるいは直接アパートを確保して居宅保護を行う方が適切な場合があります。
反対に、精神障害等があり、服薬管理、金銭管理、食事、衛生管理などを一人で行うことが難しく、訪問支援を組み合わせても居宅生活の維持が困難であれば、救護施設への入所を検討する意味があります。
また、一度救護施設に入所したら、そのまま長期間入所し続けるという考え方でもありません。 入所後も本人の状態を把握し、居宅生活や他の専門施設への移行が可能になった場合には、より適切な生活場所への変更を検討することが求められています。
したがって、簡単にまとめると、「救護施設に入れるか」ではなく、「その人にとって救護施設が最も適切な生活・支援の場なのか」を判断することが基本です。居宅生活が可能なら居宅を優先し、高齢・障害・医療など別の専門的施設の方が適切ならそちらを検討し、本人の状態と希望を踏まえて総合的に決める、という考え方になります。
(A2)はい。ご質問の理解で合っています。局長通知第5の2の(5)のアは、「生活保持義務関係」にある者について、同居しているか別居しているか、また親子関係について親権があるかどうかにかかわらず適用されます。 厚生労働省の課長通知・第5問4でも、「同居の事実の有無又は親権の有無にかかわらず適用されるか」という問いに対し、「お見込みのとおり」と明示されています。
ここでいう生活保持義務関係とは、主として、夫婦や、親と未成熟の子など、単に余裕があれば援助するという関係ではなく、自分と同程度の生活を相手にも保障するという強い扶養関係をいいます。
局長通知第5の2の(5)のアでは、この生活保持義務関係にある者の扶養程度について、原則として、
「扶養義務者自身の最低生活費を超える部分」
を扶養可能額として考えることとされています。
例えば、父と未成熟の子が別居している場合でも、
「別居しているから生活保持義務関係ではない」
とはなりません。
また、父母が離婚し、母が子の親権者となっていて父に親権がない場合でも、父と子の扶養義務そのものが親権の有無によって消えるわけではありません。 したがって、生活保持義務関係に該当する場合には、局長通知第5の2の(5)のアによる扶養程度の判断対象になります。
ただし、ここで重要なのは、扶養義務がある=必ず福祉事務所が扶養を強制する、という意味ではないことです。
現在の実施要領では、扶養義務者について、職業・収入・資産・要保護者との関係などから実際の扶養可能性を調査します。また、DV、虐待、長期間の断絶など、扶養照会をすることで本人の自立を阻害するような事情がある場合には、直接照会をしない取扱いも定められています。
例えば、離婚した父に未成熟の子がいるとしても、父が低所得で扶養する余裕がない場合には、実際に扶養できる額がないこともあります。逆に、十分な収入・資産があり、扶養能力が明らかであれば、具体的な扶養可能額を検討することになります。
整理すると、
「局長通知第5の2の(5)のアは、生活保持義務関係そのものを基準に適用されるため、同居・別居や親権の有無によって適用が左右されるものではない。ただし、実際にどの程度扶養できるかは、扶養義務者の収入・資産・生活状況や本人との関係を踏まえて個別に判断する」
ということです。
特に分かりやすく言えば、「別居しているから扶養義務なし」「親権がないから扶養義務なし」という扱いにはならない、というのがこの問答のポイントです。
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