(Q3)扶養義務者の最低生活費を超過する場合、どのような取り扱いになりますか?例:扶養義務者の収入が最低生活費を超過した場合、生活保護の運用上どのような措置が取られますか?

(A3)はい。生活保持義務関係にある扶養義務者については、その人の収入等が「扶養義務者自身の最低生活費」を超える場合、原則としてその超過部分が扶養可能額の基準になります。

厚生労働省の局長通知第5の2の(5)のアでは、生活保持義務関係における扶養の程度を、**「扶養義務者の最低生活費を超過する部分」**としています。

例えば、扶養義務者について、生活保護基準を参考に算定した最低生活費が月15万円で、その人の扶養能力を判断するための収入が月20万円であったとします。この場合、単純化すると、

20万円-15万円=5万円

の部分が、扶養可能額を検討する際の一つの基準になります。

ただし、「最低生活費を1円でも超えたら、その超過額を必ず全額仕送りさせる」という機械的な運用ではありません。 局長通知では、扶養の程度・方法について「実情に即し、実効のあがるように」認定し、さらに扶養義務者がその世帯の生計中心者かどうかなど、世帯内での立場も考慮するよう求めています。

また、ここでいう「生活保持義務関係」は、主として夫婦や親と未成熟の子など、自分と同程度の生活を相手にも保障すべき強い扶養関係を指します。これに対して、成人した親子、兄弟姉妹などの「生活扶助義務関係」では、同じ計算方法ではなく、扶養義務者自身にふさわしい生活を損なわない範囲で扶養可能額を判断します。

そして、扶養義務者に扶養能力があると判断されても、そのことだけで要保護者の生活保護申請を却下するという仕組みではありません。 生活保護では、民法上の扶養を保護に優先させる一方、扶養問題はできる限り当事者間の話し合いによって解決することが基本とされています。

例えば、夫と妻が別居しており、妻が生活保護を申請したケースで、夫に相当の収入があり、夫自身の最低生活費を十分上回っている場合には、その超過部分を参考に**「妻に月○万円程度の扶養が可能ではないか」**と検討します。実際に夫から月3万円の仕送りが行われれば、その3万円は原則として妻側の収入として扱い、その分を差し引いて生活保護費を決定することになります。

なお、扶養義務者に高額な収入・資産があり、本人との関係も良好など、**「明らかに扶養義務を履行することが可能」**と認められる場合には、必要に応じて生活保護法77条による費用徴収等を検討することもあります。ただし、これは単に最低生活費を少し超えたというだけで適用するものではなく、収入・資産・交際状況などを総合的に判断します。

したがって、簡単にまとめると、**「生活保持義務関係にある扶養義務者については、自分自身の最低生活費を超える部分を扶養可能額の基本的な目安とする。ただし、実際の扶養額は家族構成・収入・資産・世帯内での立場などを踏まえて個別に判断し、最低生活費を超えたからといって直ちにその全額を強制的に扶養させるわけではない」**という取扱いです。

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