(Q1)「共済義務の履行が可能と認められる扶養義務者」とは、どのような者を指しますか?例:どのような基準で「扶養義務の履行が可能」と判断されるのでしょうか?(Q2)当該判断にあたって、どのような要素が考慮されますか?例:局長通知第5の2による扶養能力の調査や、定期的な面会など交際状況が良好であること、扶養手当や税法上の扶養控除を受けていること、十分な収入や資力があることなど、どのような具体的な要素が判断材料となりますか?
(A1)「明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者」とは、単に親族であるだけではなく、実際に扶養するだけの資力と関係性があり、家庭裁判所に扶養の調停・審判を申し立てた場合にも、扶養義務の履行が認められる可能性が高いと考えられる人を指します。厚生労働省の課長通知第5・問5で、この判断基準が示されています。
具体的には、主に次のような事情を総合的に見ます。
- 本人との関係が良好であること
たとえば、定期的に会っている、連絡を取り合っているなど、親族関係が実際に継続している場合です。 - 実際に扶養していることを示す事情があること
扶養義務者の勤務先から、要保護者について扶養手当を受けていたり、税法上の扶養控除を受けていたりする場合です。 - 十分な資力があることが明らかであること
高額な収入がある、多額の資産を保有しているなど、本人の生活を維持したうえでも扶養できる経済的余力がある場合です。
つまり、たとえば「年収が高い親がいる」という事情だけで直ちに該当するわけではありません。
仮に、成人した子が生活保護を申請し、その父親について、
「父親は高収入で十分な資産がある」
「親子は現在も定期的に会っている」
「父親はその子を税法上の扶養親族として扱っている」
といった事情がそろっていれば、明らかに扶養義務を履行できる可能性が高い扶養義務者と判断されやすくなります。
反対に、高収入であっても、長期間交流がなく、DV・虐待等の経緯があるなど、扶養を求めることが本人の自立を阻害する事情がある場合には、同じ扱いにはなりません。厚労省通知でも、DV・虐待など扶養を求めることが本人の自立を明らかに阻害する場合は、扶養照会等を行わない取扱いが示されています。
また、扶養能力の程度についても、扶養義務者自身やその家族の生活を無視して判断するわけではありません。生活保持義務関係であれば、原則として扶養義務者自身の最低生活費を超える部分を基準とし、その他の生活扶助義務関係については、その人にふさわしい生活を損なわない限度で判断します。
特に重要なのは、この基準が普通の扶養照会の対象者よりかなり限定された概念だということです。
局長通知第5の3・4では、「明らかに扶養義務を履行できる人」が実際には扶養していない場合、福祉事務所から通知したり、扶養しない理由の報告を求めたりすることがあります。さらに、生活保護法77条による費用徴収につながる可能性もあるため、単に「親族だから」「収入があるから」というだけでは足りず、家庭裁判所への調停・審判の申立てを行う蓋然性が高い程度まで明確なケースであることが求められています。
したがって、一言でまとめると、
「明らかに扶養義務を履行することが可能な扶養義務者」とは、①本人との関係が良好で、②扶養関係を示す具体的事情があり、③十分な収入・資産があるなど扶養能力が明らかで、これらを総合すると家庭裁判所に扶養を求めても認められる可能性が高い人をいう」
と理解すると分かりやすいです。
(A2)はい。ご質問のとおり、「明らかに扶養義務を履行することが可能」と判断する際は、収入だけでなく、要保護者との関係や実際の扶養関係を示す事情まで含めて総合的に判断します。 厚生労働省の課長通知第5・問5に、具体的な判断要素が示されています。
主な判断材料は、次のようなものです。
- 局長通知第5の2による扶養能力調査の結果
扶養義務者の職業、収入、資産、世帯状況などを調べ、実際に扶養できる経済的余力があるか確認します。 - 要保護者との交際状況が良好か
たとえば、定期的に会っている、連絡を取り合っているなど、親族関係が現在も実質的に続いているかを見ます。 - 扶養手当を受けているか
扶養義務者が勤務先から、要保護者を対象とする扶養手当を受けている場合は、実際の扶養関係を示す重要な事情になります。 - 税法上の扶養控除を受けているか
要保護者を扶養親族等として税制上の取扱いを受けている場合も、判断材料になります。 - 十分な収入・資産があるか
高額な給与収入、多額の預貯金、不動産等があり、扶養義務者自身の生活を維持したうえでも援助する余力が明らかにあるかを確認します。
ただし、どれか一つに当てはまれば直ちに「扶養義務を履行できる」と決まるわけではありません。
例えば、年収が高くても、要保護者との交流が長期間なく、扶養関係の実態もなく、特別な事情がある場合には、それだけで「明らかに扶養可能」と判断するものではありません。逆に、十分な資力があり、親族関係も良好で、扶養手当や扶養控除も受けているなど複数の事情がそろえば、扶養可能性は高く評価されます。
そして最終的な目安はかなり高く設定されています。厚労省通知では、これらを総合的に勘案して、扶養義務の履行を求めて家庭裁判所に調停または審判を申し立てる「蓋然性が高い」と認められる程度の人を、「明らかに扶養義務を履行することが可能な扶養義務者」としています。
つまり、単に、
「親だから」「子だから」「年収が高いから」
というだけでは足りません。
分かりやすく言えば、①実際に十分な経済力がある、②親族関係が良好である、③扶養手当・扶養控除など実際の扶養関係を示す事情がある、といった複数の要素を総合して、「家庭裁判所に扶養を求めても認められる可能性がかなり高い」といえるかどうかで判断するということです。
⇓