(Q1)美容師資格取得のための通信教育において、必要な時期に経費を支給するという取扱いは認められますか?(Q2)夫婦と子供3人の世帯で、妻が就労しながら美容師養成所の通信教育を受けて技能を修得したい場合、国家試験受験までに実地習練の1年間を含めて3年かかるとされていますが、この場合、他の適当な技能修得をあっ旋すべきでしょうか?
(A1)はい、一定の条件を満たせば認められます。
美容師資格の取得を目的とした通信教育は、将来の就労に必要な技能を身につけるためのものなので、生活保護の**生業扶助の「技能修得費」**として扱うことが考えられます。技能修得費では、授業料、教科書・教材費、受講者全員に義務的に課される費用、資格検定等の費用などが対象になります。
そして、通信教育では費用が一度に発生するとは限らず、入学時、教材送付時、スクーリング時、国家試験受験時など、必要な時期が分かれることがあります。このような場合には、実際にその費用が必要となる時期に、その都度必要額を認定する取扱いが可能です。
ただし、何でも支給されるわけではなく、福祉事務所は、美容師資格の取得が本人の就労・自立につながる見込みがあるか、その通信教育が資格取得に必要なものか、費用が必要最小限かなどを確認します。技能修得費は、生業に必要な技能の修得を目的として、段階的であっても就労を目指す取組であることが基本です。
例えば、美容師養成施設の通信課程に在籍し、
「4月に入学金・授業料」
「9月にスクーリング費」
「翌年に教材費」
「国家試験の時期に受験料」
というように費用が発生するのであれば、最初に将来分までまとめて支給するのではなく、それぞれ必要になる時期に認定するという考え方になります。
なお、技能修得費には基準額があり、やむを得ない事情がある場合には特別基準による認定が可能な場合もあります。現行の保護基準では技能修得費の基準額が設定されており、実施要領でも通常の基準では対応できない場合の特別基準について定められています。
要するに、**「美容師になることが本人の自立につながると認められ、通信教育の費用が資格取得に必要なものであれば、技能修得費として、実際に費用が必要となる時期ごとに支給することができる」**と考えると分かりやすいです。
(A2)この場合、必ずしも他の技能修得をあっ旋する必要はありません。 美容師資格の取得がその世帯の自立更生に効果的だと認められるのであれば、通信教育による技能修得を認めて差し支えない、という取扱いです。
生活保護の問答集では、まさに「夫婦と子ども3人の世帯で、妻が働きながら美容師養成所の通信教育を受ける」ケースが取り上げられています。そこでは、就学期間が1年を超える場合でも、その技能修得が世帯の自立更生に有効であれば、原則として2年を限度に技能修得費を認定してよいとされています。
そして、美容師のように資格取得までに一定期間の実地習練が必要な職種については、その実地習練中に美容所などから相当額の報酬を受け、その報酬によって技能修得に必要な費用を賄える場合、その実地習練期間は「技能修得費の2年間」に含めなくてもよいという特例的な考え方が示されています。
したがって、たとえば、
通信教育等の技能修得期間:2年
+ 報酬を受けながら行う実地習練:1年
= 国家試験まで合計3年
となっていても、実地習練の1年間を技能修得費の対象年限に算入しない取扱いができるため、「3年かかるから美容師は認めず、もっと短期間で取得できる別の技能を選ばせる」という必要はありません。
なお、現在の美容師制度では、通常の通信課程は原則として3年以上とされています。 そのため、古い問答集にある「2年+実地習練1年」という制度構成は現在の美容師養成制度とは異なる点には注意が必要です。ただし、生活保護上の考え方としては、単に修得期間が長いというだけで別の職業訓練を強制するのではなく、その資格取得が本人・世帯の自立に本当に有効かを個別に判断するという点が重要です。
要するに、**「美容師になることが本人の適性や就労見込みからみて自立に効果的なら、期間がかかることだけを理由に他の技能修得へ変更させる必要はない」**ということです。
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