(Q)「一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み」とありますが、ここでいう“一定の基準”とは具体的にどのような内容を指していますか?

(A)はい。キャリアパス要件Ⅲにおける**「一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み」**とは、簡単にいうと、職員の能力や仕事の成果などを、あらかじめ決めた評価基準に基づいて定期的に確認し、その結果によって昇給するかどうかを判断する制度のことです。

① 「一定の基準」とは何か?

例えば、次のような評価項目が考えられます。

評価項目具体的な評価内容
① 業務遂行能力担当業務を正確かつ適切に実施できているか
② 専門知識・技術障害特性や介護技術を理解し、支援に活用できているか
③ 利用者支援能力利用者の状況に応じた適切な支援ができているか
④ コミュニケーション能力利用者・家族・職員と適切に意思疎通できているか
⑤ チームワーク他の職員と協力し、報告・連絡・相談ができているか
⑥ 責任感・勤務態度担当業務に責任を持ち、職場のルールを守っているか
⑦ 問題解決能力業務上の課題を把握し、改善に取り組んでいるか
⑧ 指導能力後輩職員への指導や助言ができているか

これらは評価基準の例であり、すべてを採用する必要はありません。

事業所の業務内容に応じて、必要な項目を設定します。

② どのように評価するのか?

例えば、職員の能力を次の4段階で評価します。

評価評価基準
A評価期待される水準を大きく上回っている
B評価期待される水準を満たしている
C評価一部改善が必要
D評価継続的な指導・改善が必要

そして、評価結果に応じた昇給基準を定めます。

【昇給基準の例】

  • A評価:基本給を月額5,000円昇給
  • B評価:基本給を月額3,000円昇給
  • C評価:基本給を月額1,000円昇給
  • D評価:昇給なし

※金額は説明のための例であり、制度で決められた金額ではありません。

このように、評価結果と昇給の関係が明確になっていることが重要です。

③ 「定期に昇給を判定する」とは?

例えば、事業所が次のような仕組みを設けます。

毎年3月
職員の能力評価を実施する。

毎年4月
評価結果に基づいて昇給を判定する。

毎年4月の給与から
昇給が決定した職員の基本給を改定する。

このように、毎年決まった時期に昇給を判定する仕組みが考えられます。

なお、定期的な昇給判定が必要なのであって、すべての職員を毎年必ず昇給させなければならないという意味ではありません。

④ 注意すべき点

キャリアパス要件Ⅲでは、管理者の主観だけで昇給を決めるのではなく、客観的に説明できる基準を設けることが重要です。

例えば、

「管理者が頑張っていると判断した職員を昇給させる」

という曖昧な規定だけでは、評価基準が明確とはいえません。

一方、

「業務遂行能力、専門知識、利用者支援能力等について評価表を用いて年1回評価し、その結果に基づいて昇給を判定する」

という規定であれば、仕組みが明確になります。

また、昇給判定の基準や実施時期などは、就業規則・給与規程等に明文化し、職員に周知することが必要です。


⑤ まとめ

キャリアパス要件Ⅲの「一定の基準」とは、法律で全国一律の評価項目や点数が決められているという意味ではありません。

事業所が職員の能力や実績などについて客観的な評価基準を設け、その基準に基づいて定期的に昇給を判定できる仕組みを指します。

つまり、

① 評価基準を決める
→ ② 定期的に評価する
→ ③ 評価結果に基づいて昇給を判定する
→ ④ 判定結果を賃金に反映する

という仕組みです。

なお、キャリアパス要件Ⅲでは、経験に応じた昇給や資格等に応じた昇給も選択肢となっており、必ずしも人事評価方式を採用しなければならないわけではありません。

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