(Q1)6か月未満に退院する見込みの者は世帯分離することができないとされていますが、すでに世帯分離されている者が、たとえば5か月後に退院できることが判明した場合でも、継続して世帯分離が認められるのでしょうか?(Q2)出身世帯員と同一世帯として認定することが、その世帯員の自立助長を阻害する場合、世帯分離は認められるのでしょうか?
(A1)はい、原則として継続して世帯分離が認められます。
生活保護では、入院患者の世帯分離について「入院期間が概ね6か月以上見込まれる場合」に認められる取扱いがあります。
ご質問のケースでは、
- 入院当初は6か月以上の入院が見込まれていたため世帯分離が決定された
- その後の治療経過により、5か月後に退院できる見込みとなった
という状況です。
この場合、世帯分離の要件を満たしていた時点で適法に世帯分離が行われているため、退院見込みが早まったことだけを理由に直ちに世帯分離を取り消すことは通常ありません。
ただし、
- 実際に退院したとき
- 退院日が確定し、同居生活が再開されるとき
には、福祉事務所が世帯の状況を再確認し、世帯分離を解消して同一世帯として取り扱うことになります。
わかりやすく言うと
❌「5か月後に退院できそうだから、今すぐ世帯分離をやめます」
という取扱いではなく、
⭕「実際に退院して家庭に戻るまでは、原則として現在の世帯分離を継続する」
という考え方です。
行政書士としての実務上の回答
福祉事務所から「退院予定が6か月未満になったので世帯分離を解除します」と説明された場合は、
- 世帯分離決定時の入院見込み期間
- 現在の病状
- 退院日が確定しているか
- 実際に同居を再開する時期
を確認し、機械的な解除ではないかを検討するとよいでしょう。
なお、自治体によって運用に差があるため、最終的には担当福祉事務所の判断となりますが、一般的には**「実際の退院までは世帯分離を継続する」取扱いが多い**と考えられます。
(A2)はい、認められる場合があります。
生活保護では、原則として同じ家に住み、生計を一緒にしている人は「同一世帯」として扱われます。しかし、同一世帯として保護を行うことで、その人の自立や更生を妨げる場合には、「世帯分離」が認められることがあります。
わかりやすい例
① 高校生・大学生等がアルバイトをしている場合
子どものアルバイト収入を世帯全体の収入として扱うと、進学資金や就学継続に支障が出ることがあります。
このような場合は、子どもを世帯分離して収入の一部を本人の将来のために活用できるようにすることがあります。
② 障害者が就労訓練を受けている場合
障害のある方が就労継続支援事業所等で訓練を受けながら収入を得ているケースで、その収入を全て世帯収入として扱うと就労意欲や自立意欲を損なう場合があります。
そのため、世帯分離が認められることがあります。
③ 長期入院・施設入所の場合
病院や施設で長期間生活しており、生活実態が他の世帯員と大きく異なる場合にも世帯分離が認められることがあります。
根拠
生活保護制度では、世帯分離は「保護の実施要領」に基づき、
同一世帯として取り扱うことが、その者の自立助長を阻害すると認められる場合
には例外的に認められるとされています。
行政書士実務でのポイント
福祉事務所へ説明する際は、
- なぜ同一世帯認定が自立を妨げるのか
- 世帯分離によってどのような自立効果が期待できるのか
- 就学、就労、療養、社会復帰などの具体的事情
を整理して書面で提出すると認められやすくなります。
つまり、
「同一世帯として扱うことで本人の自立・就学・就労・療養等に不利益が生じる場合には、例外的に世帯分離が認められる可能性があります。」
というのが答えになります。
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