(Q)事業拡張に伴い、従来より多くの商品を仕入れる場合、その購入費用は事業収入を得るための必要経費として認定してよいのでしょうか?

(A)はい。この質問は、生活保護を受けながら自営業をしている人が、事業を大きくするために普段より多くの商品を仕入れた場合、その増加した仕入代まで「必要経費」として収入から差し引けるのかという問題です。

簡単に言い換えると、

「今まで10万円分の商品を仕入れていた店が、事業を拡大するため30万円分を仕入れた場合、その30万円全部を生活保護上の必要経費として差し引いてよいのでしょうか?」

という質問です。

厚生労働省の実施要領では、農業以外の自営業について、店舗の家賃・地代、機械器具や店舗の修理費、原材料費、仕入代、交通費、運搬費などについて、事業収入を得るために実際に必要な額を必要経費として認定することとされています。

したがって、通常の営業を続けるための商品仕入代であれば、必要経費として認定することができます。

ただし、今回のように**「事業拡張のため、従来より多量の商品を購入する」**場合には、単に商品を購入したというだけで、増加分まで当然に必要経費になるとは限りません。

生活保護では、その支出が現在の事業収入を得るために実際に必要な経費なのかを確認する必要があります。そのため、将来の事業拡大のための在庫を大量に確保するなど、現在の営業規模を超えた投資的・資産形成的な支出については、通常の仕入代とは区別して検討する必要があります。厚労省の実施要領も、自営業の収入について、会計簿、商品の仕入先、販売先等を調査して実際の収入状況を確認することとしています。

例えば、通常は月10万円程度の商品を仕入れて販売しているAさんが、「店を大きくしたいので今月は50万円分仕入れる」とした場合、50万円全額を機械的に必要経費として控除するのではなく、現在の販売状況、在庫量、売上見込み、事業規模などから、その仕入れが収入を得るために実際に必要なものかを福祉事務所が確認することになります。

一方、注文が急増したため通常より多くの商品を仕入れなければその売上を得られないなど、増加した仕入れと収入との具体的な対応関係が確認できる場合には、必要経費として認定できる余地があります。

したがって、分かりやすくまとめると、**「仕入代は自営収入の必要経費になり得るが、事業拡張を目的として従来の営業規模を超えて商品を大量購入した場合、その全額が自動的に必要経費になるわけではない。現在の事業収入を得るために実際に必要な仕入れかどうかを、販売実績・在庫・売上見込みなどから個別に判断する」**という考え方です。

厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」

⇓

記事のお問い合わせ先 生活保護専門 神戸市の義足行政書士事務所