(Q1)前年度から事業所の福祉・介護職員等の減少や人事異動があった場合、どのように対応すればよいですか?(Q2)福祉・介護職員の入れ替わりが発生した際、事業所としてどのような点に注意すべきでしょうか?
(A1)はい。これまでの流れから、**令和6年2月~5月の「福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金」**について説明します。
前年度と比べて職員が減ったり、人事異動によって職員構成が変わったりした場合でも、それだけで交付金の対象外になるわけではありません。 大切なのは、単純に「前年の賃金総額」と「今年の賃金総額」を比較するのではなく、職員数や職員構成の変化を考慮して、交付金によって実際に賃金改善が行われたことを確認できるようにすることです。
例えば、前年度に10人いた職員が今年度は8人になった場合、職員が2人減ったことで事業所全体の給与総額が前年より少なくなることがあります。しかし、残った8人について基本給や処遇改善手当を引き上げていれば、事業所全体の給与総額が減っているという理由だけで「賃金改善をしていない」と判断するわけではありません。
同様に、人事異動についても注意が必要です。例えば、経験年数の長い高賃金の職員が別事業所へ異動し、代わりに経験年数の短い職員が配置された場合、人員数が同じでも賃金総額が下がることがあります。このような変動と、交付金による賃金改善を区別して考える必要があります。
そのため実務上は、退職・採用・人事異動・勤務時間の変更・常勤から非常勤への変更など、賃金総額が変動した理由を記録しておくことが重要です。そのうえで、「交付金がなかった場合の賃金水準」と「交付金による改善後の賃金水準」を比較して、改善額を把握します。
例えば、
前年:職員10人・賃金総額300万円
↓ 2人退職
今年:職員8人・本来の賃金総額250万円
↓ 交付金による賃金改善10万円
改善後:260万円
というケースでは、前年の300万円と今年の260万円だけを比較して「40万円減ったから賃金改善なし」とするのではなく、職員減少等を考慮した本来の250万円から260万円へ10万円改善したというように整理します。
また、交付金による賃金改善額には、賃上げに伴って増加した法定福利費等の事業主負担増加分を含めることができる場合がありますので、この部分も適切に区分して管理します。
要するに、「職員が減った・異動したから前年より賃金総額が下がった」というだけで問題になるわけではありません。職員数や職員構成の変化による給与変動を除いて、交付金による賃金改善が実際にどれだけ行われたかを確認・説明できるようにすることが重要です。
実績報告に備えて、退職者・採用者・異動者の一覧、異動日、勤務形態、賃金台帳、給与規程、処遇改善手当の支給記録などを整理しておくと、賃金総額が前年より減少した理由を説明しやすくなります。
(A2)はい。これまでの流れから、処遇改善交付金・処遇改善加算との関係も含めて説明します。
福祉・介護職員の入れ替わりがあった場合、重要なのは、「職員が変わったから賃金総額が増えた・減った」という変化と、「処遇改善によって賃金を引き上げた」という変化を分けて管理することです。
例えば、月給30万円のベテラン職員が退職し、月給22万円の新人職員を採用した場合、事業所全体の賃金総額は8万円下がります。しかし、これは処遇改善を減らしたからではなく、職員の入れ替わりによる給与水準の変化です。そのため、単純に前年度の賃金総額と比較するだけでは、正確な賃金改善額を判断できません。
反対に、月給22万円の職員が退職して月給30万円の経験者を採用した場合、賃金総額は増えますが、この8万円をそのまま**「交付金による賃金改善額」**として扱えるわけでもありません。
事業所としては、特に次の点を確認しておくことが重要です。
- 退職・採用・異動の日付と理由を記録する
- 新旧職員の職種、常勤・非常勤、勤務時間、資格、役職等を確認する
- 人員変更による給与差と、処遇改善による給与の上乗せ分を区別する
- 新しく採用した職員についても、事業所の賃金改善ルールに従って適切に処遇する
- 賃金台帳、給与明細、雇用契約書、給与規程等を整備して、賃金改善額を説明できるようにする
- 人員変更によって人員配置基準や各種加算の配置要件を満たさなくなっていないかも確認する
特に注意したいのが、「前年より賃金総額が減った=処遇改善ができていない」とは限らないことです。
例えば、
前年:10人・賃金総額300万円
↓
ベテラン2人が退職
↓
新人2人を採用
↓
今年:10人・賃金総額270万円
となった場合でも、職員の入れ替わりによる賃金差を考慮したうえで、処遇改善分を適切に上乗せしていれば、単純な総額減少だけで判断するものではありません。
逆に、職員が減ったことで1人当たりの交付金配分額を増やした場合などには、就業規則・給与規程や処遇改善計画との整合性も確認しておく必要があります。
要するに、「誰が辞めて誰が入ったか」だけではなく、「職員の入れ替わりによる賃金変動」と「制度による賃金改善」を明確に分けて記録することがポイントです。
処遇改善関係の実績報告や行政の確認に備えるなら、**「入退職・異動一覧 → 本来の賃金水準 → 処遇改善による上乗せ額 → 実際の支給額」**という順番で説明できるようにしておくと分かりやすいです。
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