(Q3)賃金改善の対象となる経費には、どのような項目が含まれますか?(Q4)賃金改善を実施する際に注意すべき点は何ですか?

(A3)はい。これまでの流れから、**令和6年2月~5月の「福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金」**について説明します。

賃金改善の対象になるのは、簡単にいうと、職員の給与を実際に増やすための費用と、その賃上げに伴って事業主負担が増える法定福利費等です。

具体的には、主に次のようなものが対象になります。

  • 基本給の引上げ
    例えば、基本給を月20万円から20万6,000円に引き上げた場合の6,000円部分です。
  • 毎月決まって支払われる手当の新設・増額
    「処遇改善手当」「職務手当」など、毎月継続して支給する手当による賃上げです。
  • 一時金・賞与等による賃金改善
    特に令和6年2月・3月については、一時金等を利用した賃金改善も可能でした。
  • 賃金改善に伴って増加する法定福利費等の事業主負担分
    給与が増えることで、健康保険、厚生年金、介護保険、雇用保険、労災保険などについて事業主負担が増加する場合、その増加分を賃金改善額に含めることができます。

ここで特に注意したいのが、法定福利費の全額が対象になるわけではないという点です。

例えば、賃上げ前から事業主が負担していた社会保険料まで交付金の賃金改善額に入れるのではなく、今回の賃金改善によって新たに増加した事業主負担分が対象になります。

一方、一般的な事業所の運営費、例えば家賃、水道光熱費、備品購入費、研修費、採用費、広告費などを「賃金改善」として計上することはできません。この交付金は、あくまで職員の処遇を改善するための制度だからです。

また、従来から支給していた給与・手当を単に交付金で置き換えるだけでは、新たな賃金改善とはいえません。交付金による改善前の賃金水準から、実際にどれだけ賃金を増額したかを確認する必要があります。

例えば、

基本給の増額 6,000円
+ 賃上げに伴う事業主の法定福利費増加分
= 賃金改善額として計上できる金額

という考え方です。

要するに、「基本給・手当・一時金等による実際の賃上げ」と「その賃上げによって増加した法定福利費等の事業主負担分」が対象であり、通常の事業運営費は対象ではないと理解すると分かりやすいです。

(A4)はい。これまでの流れから、**令和6年2月~5月の「福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金」**について説明します。

賃金改善を実施する際に最も重要なのは、**「交付金を受け取っただけで終わりではなく、制度で定められた金額以上を、実際に職員の賃金改善に使うこと」**です。

特に注意したいポイントは次のとおりです。

  • 2~5月の期間全体で交付額を上回る賃金改善が必要です。
    毎月それぞれ「交付額以上」を改善する必要はありません。例えば2月の改善額が少なくても、2~5月の4か月間全体で、交付金合計額を上回る賃金改善を行えばよいという取扱いです。
  • 2月分から賃金改善を実施する必要があります。
    「○月分の賃金改善」については、○月の労働に対する賃金を引き上げる方法と、○月に支払う賃金を引き上げる方法のいずれも可能とされています。ただし、事業所内で従来の処遇改善加算等と整合した取扱いにする必要があります。
  • 4月・5月は基本給等による改善要件があります。
    4月・5月分の交付額の3分の2以上については、基本給または「決まって毎月支払われる手当」の引上げに充てる必要があります。2月・3月を一時金で対応した場合でも、4月以降は基本給等による毎月の賃金改善が必要です。
  • 従来の給与を交付金に付け替えるだけではいけません。
    交付金は、職員の賃金を実際に改善するためのものです。従来支払っていた給与や手当を単に「処遇改善手当」という名称に変更するだけではなく、賃金水準を実際に引き上げる必要があります。
  • 就業規則・賃金規程等との整合性も重要です。
    基本給を引き上げたり、処遇改善手当を新設・増額したりする場合には、必要に応じて就業規則や賃金規程を変更します。処遇改善計画書でも、賃金改善ルールを定め、就業規則・賃金規程等によって確認できることが想定されています。
  • 職員への周知と証拠書類の保存が必要です。
    処遇改善計画の内容を職員へ周知するとともに、給与明細、賃金台帳、就業規則、賃金規程、勤務体制表、周知文書などを保存し、行政から求められた場合に説明できるようにしておくことが重要です。

例えば、

2月・3月 → 一時金で対応
4月・5月 → 基本給または毎月の処遇改善手当を引上げ
↓
2~5月の賃金改善総額を計算
↓
交付金総額を上回っているか確認
↓
賃金台帳・給与明細等を保存
↓
実績報告

という流れで管理すると分かりやすいです。

なお、**4月・5月の「3分の2以上」という要件と、2~5月全体で「交付額を上回る賃金改善をする」という要件は別々に確認する必要があります。**ここは実績報告の際に間違えやすいポイントです。

要するに、**「全額を職員の賃金改善に使う」「4・5月は基本給等による改善要件を守る」「規程・給与明細・賃金台帳を整備する」「職員に周知する」**という4点を特に注意すると分かりやすいです。

厚生労働省「福祉・介護職員の処遇改善」

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