(Q3)法定福利費等の計算方法について、合理的な方法に基づく概算で算出してもよいのでしょうか?(Q4)任意加入とされている制度(例:退職手当共済制度等)の掛金等による増加分は、賃金改善額に含まれますか?
(A3)はい。処遇改善加算等の賃金改善に伴って増加する法定福利費等については、合理的な方法に基づく概算額で算出することが認められています。
つまり、職員一人ひとりについて社会保険料の実際の増加額を1円単位ですべて積み上げなければならない、ということではありません。
例えば、処遇改善による賃金改善額が合計100万円だった場合に、事業主が負担する健康保険、厚生年金、雇用保険等の負担割合を基に、
賃金改善額100万円 × 合理的に算出した事業主負担率
= 法定福利費等の増加額(概算)
という方法で計算することができます。
ポイントは、「概算なら何でもよい」というわけではないことです。健康保険料率、厚生年金保険料率、雇用保険料率、労災保険料率など、実際に事業所に適用される料率等を基礎として、第三者に説明できる合理的な方法で計算する必要があります。
また、対象となるのは、従来から負担している法定福利費の全額ではなく、原則として処遇改善による賃金の増加に伴って増えた事業主負担分です。
例えば、
処遇改善による賃金増加額:1,000,000円
合理的に算出した事業主負担率:15%
法定福利費等の増加額:150,000円
であれば、
1,000,000円+150,000円=1,150,000円
を賃金改善額として整理する、というイメージです。
ただし、実際の料率は職員の年齢、加入している健康保険、雇用保険・労災保険の料率などによって異なるため、上記15%はあくまで説明用の例です。
したがって、この質問への回答を簡潔にまとめると、**「法定福利費等については、処遇改善による賃金増加分に対して、社会保険料等の事業主負担率を用いるなど、合理的な計算方法に基づく概算額で算出して差し支えない。ただし、計算方法・使用した料率などの根拠を説明できるようにしておく必要がある」**と理解すると分かりやすいです。
(A4)いいえ。任意加入とされている制度の掛金等の増加分は、原則として処遇改善加算の「賃金改善額」には含めることができません。
厚生労働省の処遇改善加算Q&Aでは、賃金改善額に含められるものとして、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・労災保険料などについて、処遇改善による賃上げに伴って増加した事業主負担分などが示されています。
一方、任意加入の制度については別扱いです。例えば、
退職手当共済制度に加入している
→ 処遇改善で給与が上がる
→ それに伴って事業主が負担する共済掛金が増えた
→ その掛金増加分を「賃金改善額」に上乗せする
という計算は、原則としてできません。厚生労働省Q&Aでも、**「任意加入とされている制度に係る増加分(例えば、退職手当共済制度等における掛金等)は含まない」**と明示されています。
例えば、処遇改善によって職員の給与を10,000円増額し、それに伴い健康保険・厚生年金等の事業主負担が1,500円増え、さらに退職手当共済の掛金が500円増えたとします。
この場合、基本的には、
給与の賃金改善 10,000円
+ 法定福利費等の増加分 1,500円
= 賃金改善額 11,500円
とし、退職手当共済の500円は賃金改善額には加えない、という整理になります。
したがって、簡単に覚えるなら、**「法律上負担する社会保険料等の増加分は含められるが、事業者が任意で加入している退職手当共済等の掛金増加分は含めない」**という考え方です。
なお、この取扱いは制度によって異なることがあります。たとえば、こども家庭庁の別制度のFAQには退職手当共済等の増加分を含む取扱いもありますので、障害福祉・介護の処遇改善加算と他制度を混同しないことが重要です。
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