(Q1)サービス区分の異なる加算を一体的に運営している場合、どのような要件が求められますか?(Q2)賃金改善加算による賃金改善後の年収が一定額以上となる者を何人設定する必要がありますか?(Q3)事業者等において、サービス区分ごとにどのような対応が必要ですか?
(A1)はい。この質問は、福祉・介護職員等処遇改善加算について、サービス区分が異なる複数の事業所を一体的に運営している場合、どのような要件を満たす必要があるのかという内容です。
① 基本的な考え方
例えば、同じ法人が次の事業所を運営している場合です。
- 就労継続支援A型事業所
- 生活介護事業所
- 共同生活援助(グループホーム)
これらはサービス区分が異なりますが、法人として一体的に運営している場合、処遇改善計画書を一括して作成・提出することが認められる場合があります。
ただし、一体的に運営しているからといって、すべての加算要件が自動的に満たされるわけではありません。
② 求められる主な要件
1.各サービスの算定要件を満たすこと
それぞれの事業所について、処遇改善加算の算定に必要な要件を確認します。
例えば、キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲなどについて、算定する加算区分に応じた対応が必要です。
2.賃金改善を適切に実施すること
複数の事業所をまとめて計画する場合でも、加算による収入を適切に賃金改善へ充てる必要があります。
法人内で認められる範囲の配分調整を行う場合も、賃金改善額の計算や実績を確認できるようにしておきます。
3.職員のキャリアパス制度を整備すること
職位・職責・任用要件・賃金体系、研修計画、昇給制度などを整備します。
法人共通の就業規則や給与規程を利用することも考えられますが、対象となる職員に制度が適用されている必要があります。
4.職員に制度を周知すること
キャリアパス制度や賃金改善の方法などについて、対象職員が理解できるように周知します。
5.計画書・実績報告書を適切に提出すること
法人で一括して作成する場合でも、対象事業所、サービス区分、加算区分、賃金改善額などを適切に整理する必要があります。
③ 具体例
例えば、同じ法人が次の3事業所を運営しているとします。
| 事業所 | サービス区分 | 処遇改善加算 |
|---|---|---|
| A事業所 | 就労継続支援A型 | 加算Ⅰ |
| B事業所 | 生活介護 | 加算Ⅱ |
| C事業所 | 共同生活援助 | 加算Ⅲ |
この場合、一定の条件のもとで、法人として一括した処遇改善計画を作成することが考えられます。
ただし、A・B・C事業所がそれぞれ算定する加算区分の要件を満たしているかを確認しなければなりません。
また、サービス区分ごとに加算率が異なるため、交付される加算額の計算も区分に応じて行います。
④ 注意点
特に注意したいのは、「法人として一体的に運営していること」と「加算要件を一括して満たしていること」は同じではないという点です。
また、障害福祉サービスと介護保険サービスを一体的に運営している場合は、それぞれ別の報酬制度であるため、計画書の提出方法や賃金改善額の管理について、各制度の取扱いを確認する必要があります。
まとめ
サービス区分の異なる事業所を一体的に運営している場合は、法人単位で処遇改善計画をまとめられる場合がありますが、各事業所が算定する加算区分に応じた要件を満たし、賃金改善を適切に実施することが必要です。
つまり、**「計画や職員育成の仕組みは法人で共通化できる場合があるが、加算の算定要件は各事業所・サービス区分ごとに確認する」**と理解すると分かりやすいです。
(A2)はい。この質問は、**福祉・介護職員等処遇改善加算の「キャリアパス要件Ⅳ」**に関するものです。
① 結論:原則として1事業所につき1人以上です
障害福祉サービスの処遇改善加算Ⅰ・Ⅱでは、原則として、経験・技能のある障害福祉人材のうち、賃金改善後の年収が440万円以上となる職員を1人以上設定することが求められます。
② 複数のサービスを一体的に運営している場合
例えば、同じ法人が次の2つのサービスを運営しているとします。
- A事業所:生活介護
- B事業所:短期入所
通常は、それぞれの事業所について要件を確認します。
しかし、サービス区分が異なっていても、一体的に運営され、同じ就業規則が適用されるなど、労務管理が一体となっている場合は、同一事業所とみなされます。
この場合、2人ではなく、合計1人以上を設定すれば要件を満たします。
③ 法人単位で一括申請する場合
複数の事業所について法人単位で一括申請する場合は、原則として、一括申請する事業所数以上の対象職員を法人全体で設定する取扱いが認められています。
例えば、3事業所を一括申請する場合、法人全体で3人以上を設定するという考え方です。
④ 例外もあります
小規模事業所で加算額が少ない場合など、年収440万円以上の職員を設定することが難しいケースについては、合理的な理由を説明することで例外的な取扱いが認められる場合があります。
ただし、単に「440万円以上の職員がいない」という理由だけで、自動的に免除されるわけではありません。
⑤ 令和8年度の制度について
なお、ここまで説明した年収440万円という金額は、令和7年度までの障害福祉サービス等処遇改善加算に関する取扱いです。
令和8年度の障害福祉分野では、賃金改善後の年収460万円以上という基準が示されている制度もありますので、対象年度・制度を区別する必要があります。
まとめ
年収440万円以上となる職員の設定人数は、原則1事業所につき1人以上です。
ただし、サービス区分が異なっていても、労務管理が一体となっている場合には、複数のサービスを合わせて1人以上でよいとされています。
これは厚生労働省の「福祉・介護職員等処遇改善加算に関するQ&A」の問5-5で示されている取扱いです。
(A3)はい。この質問は、キャリアパス要件Ⅳにおいて、事業者が複数のサービスを運営している場合、サービス区分ごとにどのような対応が必要なのかという内容です。
① 基本的な考え方
原則として、処遇改善加算を算定する事業所では、経験・技能のある職員のうち、賃金改善後の年収が一定額以上となる職員を1人以上設定することが求められます。
令和8年度の基準額は、介護保険サービスでは年収440万円、障害福祉サービス等では年収460万円です。
② サービス区分ごとに必要な対応
| 運営形態 | 必要な対応 |
|---|---|
| 1つの事業所で1種類のサービスを実施 | 原則1人以上を設定する |
| 異なるサービスを一体的に運営 | 労務管理が一体であれば、合計1人以上でよい場合がある |
| 複数の事業所を別々に運営 | 原則として事業所ごとに要件を確認する |
| 同一法人で複数事業所を一括申請 | 法人全体で必要人数を確保する方法が認められる場合がある |
| 介護保険と障害福祉の両方を実施 | それぞれの制度における対象職員や要件を確認する |
厚生労働省のQ&Aでも、一体的な運営や法人単位の申請について取扱いが示されています。
③ 具体例
例えば、同じ法人が次の2つのサービスを運営している場合です。
- A事業所:通所介護
- B事業所:介護予防・日常生活支援総合事業
両サービスを同じ場所で実施し、職員も共通で、同じ就業規則を適用しているとします。
このように労務管理が一体となっている場合は、2人ではなく、合計1人以上の対象職員を設定することで要件を満たせます。
一方、別々の場所で独立して運営している事業所については、原則としてそれぞれの要件を確認する必要があります。
④ 注意点
特に重要なのは、同じ法人だからという理由だけで、すべての事業所を1つとして扱えるわけではないことです。
また、年収要件を満たす職員を設定することが難しい小規模事業所などでは、合理的な理由を説明することにより、例外的な取扱いが認められる場合があります。
まとめ
事業者等が複数のサービスを実施している場合は、サービス区分ごとの加算要件を確認したうえで、労務管理が一体となっているかを判断することが重要です。
つまり、**「原則は事業所ごとに1人以上。ただし、一体的に運営している場合には、複数サービスを合わせて1人以上でよい場合がある」**と理解すると分かりやすいです。
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