(Q1)技能習得手当を受給しながら技能習得を行っている場合、勤労控除はどのように適用されますか?(Q2)労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律に基づく技能習得手当とはどのようなものですか?
(A1)はい。この質問は、生活保護受給者が、技能習得手当を受け取りながら職業訓練などを行っている場合、その手当に勤労控除が適用されるのかという質問です。
① 結論
技能習得手当を受給しているという理由だけで、勤労控除が適用されるわけではありません。
勤労控除が適用されるかどうかは、その手当が生活保護制度上、勤労に伴う収入として取り扱われるかによって判断します。
また、技能習得手当とは別に、アルバイトなどの給与収入がある場合には、その給与収入について勤労控除を適用することができます。
② 勤労控除とは?
勤労控除とは、生活保護受給者が働いて収入を得た場合に、収入の一部を差し引いて収入認定する制度です。
例えば、アルバイトで月5万円の給与を得た場合、5万円全額を生活保護費から差し引くのではなく、所定の勤労控除などを差し引いて収入認定します。
これは、働くために必要な経費を考慮するとともに、就労意欲を高めることを目的としています。
③ 技能習得手当を受給している場合
次のように区別して考えます。
| 収入の種類 | 勤労控除の取扱い |
|---|---|
| 職業訓練に伴う技能習得手当 | 手当の制度上の性質を確認して判断 |
| アルバイトによる給与 | 原則として勤労控除の対象 |
| パート勤務による給与 | 原則として勤労控除の対象 |
| 技能習得のために支給される実費相当の給付 | 収入認定除外や必要経費の取扱いを確認 |
技能習得手当と給与収入は、同じものとして取り扱うわけではありません。
④ 具体例
生活保護を受けているAさんが、職業訓練を受けながら、次の収入を得ているとします。
- 技能習得手当:月2万円
- アルバイト収入:月5万円
この場合、アルバイト収入5万円については、原則として勤労控除を適用します。
一方、技能習得手当2万円については、その手当の支給根拠や性質を確認し、収入認定の方法を判断します。
したがって、単純に7万円を合算して勤労控除を計算してよいとは限りません。
⑤ 注意点
特に重要なのは、「技能習得手当」という名称だけでは、正確な取扱いを判断できないことです。
例えば、雇用保険制度の職業訓練に伴う手当なのか、自治体独自の技能習得支援金なのかによって、生活保護上の取扱いが異なる場合があります。
また、生活保護制度の「生業扶助」における技能習得費は、通常の給与収入とは性質が異なります。
⑥ まとめ
技能習得手当を受給しながら技能習得を行っている場合、勤労控除を適用できるかどうかは、その手当の性質によって判断します。
技能習得手当とは別に給与収入がある場合、その給与収入については原則として勤労控除を適用します。
なお、今回の質問が、雇用保険の「技能習得手当(受講手当・通所手当)」を受給している場合についてであれば、その制度に絞って、生活保護の収入認定と勤労控除の関係をさらに詳しく説明できます。
(A2)はい。この質問は、仕事を探している人が、ハローワークの指示によって職業訓練を受ける場合に支給される「技能習得手当」とは、どのようなお金なのかという質問です。
生活保護における収入認定や勤労控除との関係も含めて、わかりやすく説明します。
① 結論
技能習得手当とは、求職者が職業訓練を受けて、新しい知識や技術を身につけ、再就職しやすくするために支給される手当です。
根拠となるのは、次の法律です。
「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第18条
この法律では、求職者の知識や技能の習得を支援するため、職業転換給付金を支給できると定めています。
その具体的な給付の一つが技能習得手当です。
② 技能習得手当には2種類あります
同法施行規則第2条では、技能習得手当を次の2種類に分けています。
| 種類 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| ① 受講手当 | 職業訓練を受講した日数などに応じて支給される手当 | 職業訓練を受けやすくする |
| ② 通所手当 | 職業訓練施設に通うための交通費に相当する手当 | 通所に必要な経済的負担を軽減する |
例えば、失業した人がハローワークの指示によってパソコンの職業訓練を受ける場合、支給要件を満たせば、受講手当や通所手当を受けられます。
なお、これらは仕事をしたことに対する給与ではなく、職業訓練を受けるための支援金です。
③ どのような人が対象になりますか?
この法律に基づく訓練手当は、すべての求職者が受給できるものではありません。
施行規則第2条では、一定の条件に該当する求職者が、公共職業安定所長の指示によって職業訓練を受ける場合を対象としています。
例えば、次のような人が対象となり得ます。
- 一定の要件を満たす中高年齢失業者
- 激甚災害によって離職を余儀なくされた人
- その他、法令で定められた要件に該当する求職者
したがって、単に職業訓練を受けているだけでは、必ず技能習得手当が支給されるわけではありません。
④ 具体例
例えば、Aさんが会社を退職し、再就職のためにハローワークで相談したとします。
Aさんはパソコン操作の技術を身につけるため、職業訓練を受けることになりました。
その際、法令上の支給要件を満たしていれば、次のような支援を受けられる場合があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 職業訓練 | パソコン操作や事務処理などの技能を習得する |
| 受講手当 | 訓練を受けることに伴う手当 |
| 通所手当 | 訓練施設までの交通費に対応する手当 |
| 最終的な目的 | 技能を身につけ、再就職につなげる |
つまり、技能習得手当は、就職するための準備を経済的に支援する制度です。
⑤ 雇用保険の技能習得手当とは違うのですか?
ここは重要です。
実は、技能習得手当には、今回の法律に基づくもののほかに、雇用保険法に基づく技能習得手当もあります。
どちらも受講手当と通所手当がありますが、根拠法令や対象者などが異なります。
| 比較項目 | 労働施策総合推進法 | 雇用保険法 |
|---|---|---|
| 制度の位置づけ | 職業転換給付金の一部 | 雇用保険の給付 |
| 主な対象者 | 法令で定める一定の求職者 | 雇用保険の基本手当の受給資格者など |
| 手当の種類 | 受講手当・通所手当 | 受講手当・通所手当 |
| 目的 | 技能習得と再就職の促進 | 職業訓練の受講と再就職の促進 |
雇用保険法に基づく受講手当については、日額500円、上限2万円という取扱いがありますが、この金額を今回の労働施策総合推進法に基づく手当に、そのまま当てはめることはできません。
⑥ 生活保護を受けている場合はどうなりますか?
生活保護受給者が技能習得手当を受給した場合には、福祉事務所で収入認定の取扱いを確認する必要があります。
特に、次の区別が重要です。
① 受講手当
職業訓練を受けることに伴って支給される手当です。
生活保護上、どのように収入認定するか、勤労控除を適用できるかについては、該当する実施要領の規定に従って判断します。
② 通所手当
職業訓練施設への交通費として支給される手当です。
実際の通所に必要な経費との関係を確認し、収入認定や必要経費の取扱いを判断します。
注意点として、技能習得手当は給与ではありませんが、給与ではないという理由だけで勤労控除の対象外と断定することもできません。
生活保護制度における勤労控除の適用については、別途、関係通知の確認が必要です。
⑦ まとめ
今回の質問を簡単にまとめると、次のとおりです。
労働施策総合推進法に基づく技能習得手当とは、一定の要件に該当する求職者が、ハローワークの指示によって職業訓練を受ける際に支給される手当です。
受講手当と通所手当の2種類があり、求職者の技能習得を支援し、再就職を促進することを目的としています。
根拠法令
- 労働施策総合推進法第18条(職業転換給付金)
- 同法施行規則第2条(訓練手当)
なお、生活保護の実務では、この技能習得手当に「基礎控除(勤労控除)」が適用されるかどうかが、特に重要な論点になります。
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