(Q1)世帯分離後、被保護者でなくなった者が新たに資産を保有した場合、保護の実施機関はどのような対応を取るべきですか?例:最低生活に必要と認められない資産を保有した場合、どのような指導や措置が考えられますか?(Q2)世帯分離された者が他にも相当な資産を有し、地域の均衡を著しく失する場合、保護の実施機関はどのような判断を行うべきですか?例:世帯分離要件に該当しない場合、どのような措置を講じる必要がありますか?

(A1)わかりやすく言うと、世帯分離後に被保護者でなくなった人は、原則として生活保護法による資産活用の指導対象ではありません。

ただし、その人が保有した資産が、現在生活保護を受けている世帯の保護費の算定に影響する場合があります。

① 世帯分離した人が完全に保護の対象外になっている場合

例えば、

  • 親が生活保護受給中
  • 就職した子どもを世帯分離
  • 子どもは保護廃止

というケースでは、

子どもが自動車や預貯金を持っても、原則として福祉事務所が処分を指導することはできません。

なぜなら、その人は既に被保護者ではないからです。


② ただし扶養能力の調査対象になる場合がある

世帯分離した子どもが、

  • 多額の預貯金を持っている
  • 不動産を取得した
  • 高額所得がある

場合は、福祉事務所が

「親を援助できませんか」

と扶養照会や扶養能力調査を行うことがあります。

しかし、

援助を強制することはできません。


③ 世帯分離したが、実質的には同一世帯と判断される場合

形式上は世帯分離していても、

  • 同じ家計で生活している
  • 収入を共有している
  • 生活実態が一体

である場合は、福祉事務所が世帯認定を見直すことがあります。

その結果、

  • 収入認定
  • 保護費の減額
  • 保護廃止

が検討されることがあります。


④ 「最低生活に必要と認められない資産」を持った場合

これは現在保護を受けている人に対するルールです。

例えば被保護者が

  • 高額な預金
  • 別荘
  • 投資用不動産
  • 高級車

を取得した場合、

福祉事務所は

  1. 資産状況を確認
  2. 売却・活用を指導
  3. 正当な理由なく従わない場合は保護変更や停止・廃止を検討

することになります。

しかし、世帯分離後に保護を受けていない人には、この資産処分指導は通常行われません。


行政書士実務での回答例

世帯分離後に被保護者でなくなった者が新たに資産を取得した場合、その者は原則として生活保護法上の資産活用義務の対象ではないため、保護の実施機関が当該資産の処分を指導することはできません。ただし、その者に扶養能力が認められる場合には、被保護世帯に対する扶養の可能性について調査が行われることがあります。また、世帯分離が形式的なもので実態として生計を一にしていると認められる場合には、世帯認定の見直しが行われることがあります。

この整理で考えると、「世帯分離後に保護を受けていない人の資産」と「現在生活保護を受けている人の資産」は区別して考えるのがポイントです。

(A2)この質問は、生活保護における「世帯分離」の取扱いについてのものです。

簡単にいうと、

世帯分離された人以外の家族に十分な資産や収入があるのに、世帯分離だけを利用して生活保護を受けようとすることは認められない場合があるという意味です。

わかりやすい例

例えば、

  • 父(年金月30万円・預金1,000万円)
  • 子(無収入)

が同じ家に住んでいる場合、本来は同一世帯として考えます。

ところが、

「子だけ世帯分離して生活保護を受けたい」

と申請しても、父に十分な資産や収入があり、実際に生活を支えられる状況なら、

福祉事務所は

「世帯分離は認められない」
「同一世帯として保護要否を判断する」

という扱いをすることがあります。

「地域の均衡を著しく失する」とは?

例えば、

  • 同じ地域の他の生活保護受給者は親族の援助を受けられない
  • しかし、ある世帯だけ資産家の家族と同居しながら世帯分離で保護を受ける

となると、不公平になります。

そのため、

世帯分離を認めると社会通念上不公平になる場合

には、世帯分離を認めないことがあります。

世帯分離要件に該当しない場合

福祉事務所は、

  1. 世帯分離を取り消す(又は認めない)
  2. 同一世帯として認定する
  3. 世帯全体の収入・資産で保護の可否を判断する

という措置を行います。

行政実務上の考え方

生活保護では

「同居している者は原則として同一世帯」

です。

世帯分離は、

  • 入院中
  • 施設入所中
  • 長期就労で生計が別
  • 学生の進学

など特別な事情がある場合に例外として認められます。

したがって、

世帯分離された人以外の家族に十分な資産があり、しかも世帯分離の要件を満たしていない場合は、福祉事務所は世帯分離を認めず、世帯全体で生活保護の要否判定を行うことになります。

これが質問文の趣旨を最もわかりやすく説明した内容になります。

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