(Q1)依存症を有する者等が病状改善や社会復帰の促進を目的とする事業や団体の活動に参加する際、移送費の支給はどのように認定すればよいですか?(Q2)移送費の支給対象となる活動には、どのようなものが含まれますか?(例:精神保健福祉センター、保健所、市町村が行う事業、民間活動など)
(A1)結論
アルコール・薬物などの依存症がある人、依存症の既往がある人、またはその同一世帯員が、病状の改善や社会復帰を目的とする事業・自助団体の活動を継続して利用する場合は、世帯の自立に必要かつ有効と認められれば、移送費を支給できます。
対象には、断酒会だけでなく、AA・NAなどの自助グループ、保健所や精神保健福祉センターの相談・回復支援事業なども含まれ得ます。民間団体の活動でも、病状改善や社会復帰への効果が期待できれば対象として差し支えないとされています。
認定するときの判断ポイント
福祉事務所は、主に次の点を個別に確認します。
1.活動の目的と内容
活動が、単なる交流や娯楽ではなく、
- 断酒・断薬の継続
- 再発防止
- 生活習慣の改善
- 家族への支援
- 就労や地域生活への復帰
など、病状改善や社会復帰を目的としているかを確認します。
2.本人や世帯にとって必要かつ有効か
参加すれば一律に認められるのではなく、本人の病状や生活状況から、継続参加が自立のために必要であり、効果が期待できるかを判断します。
その際は、主治医や福祉事務所の嘱託医などの意見を参考にすることが適切です。入院患者が断酒会に参加する場合も、退院後の断酒継続のために必要だと主治医が認めるときは、交通費を支給できるとされています。
3.継続的な利用であるか
通常の例会等については、単発のイベント参加ではなく、回復のために継続して利用する活動であることが基本です。
ただし、必要性が認められても、遠方の複数会場へ無制限に参加する費用まで当然に認められるわけではありません。参加頻度や会場について、本人の回復に必要な範囲か、近隣で代替できないかを個別に判断します。
4.他に費用を賄う方法がないか
団体の送迎、自治体の助成、無料交通手段などが利用できないかを確認します。他の方法がなければ、最も経済的・合理的な経路による費用を認定します。移送費は、原則として他に経費を支出する方法がない場合に、必要最小限度で認定するものです。
支給できる費用
通常の例会や活動
通常の例会・ミーティングなどに継続参加する場合は、原則として、
- 電車代
- バス代
- 必要な船賃
など、会場への往復に必要な最小限の交通費を認定します。
入会金、会費、例会参加費、飲食代などは、移送費そのものではありません。
宿泊研修
団体が実施する宿泊研修は、次の条件が基本です。
- 2泊3日以内
- 原則として同一都道府県内
- 病状改善や社会復帰への効果が期待できる
- 世帯の自立に必要かつ有効である
この場合、必要最小限度の交通費に加え、必要な宿泊料や飲食物費を認定できる場合があります。
対象となり得る事業・団体の例
- 断酒会
- AA(アルコホーリクス・アノニマス)
- NA(ナルコティクス・アノニマス)
- その他の依存症自助グループ
- 精神保健福祉センターの相談・回復支援事業
- 保健所や市町村の依存症相談、家族教室
- 病状改善や社会復帰に効果が期待できる民間団体の活動
同一世帯の家族が、家族教室や相談事業を継続して利用する場合も、世帯全体の自立に必要かつ有効であれば対象となる可能性があります。
まとめ
認定の基本は、
依存症の回復や社会復帰を目的とする活動である
+本人または世帯にとって必要かつ有効である
+主治医・嘱託医等の意見も踏まえる
+継続利用に必要な範囲である
+他の支払方法がない
+最も経済的な交通費である
という考え方です。
したがって、団体名だけで機械的に決めるのではなく、本人の病状、支援計画、参加頻度、会場までの距離、期待される効果を具体的に確認して、必要最小限度の移送費を個別認定することになります。
(A2)結論
移送費の対象となり得るのは、依存症の病状改善や再発防止、社会復帰を目的として、継続的に利用する事業・団体の活動です。
実施主体は行政機関に限られません。**精神保健福祉センター、保健所、市町村などの公的事業のほか、断酒会やAA・NAなどの民間の自助グループも対象になり得ます。**ただし、参加が本人や世帯の自立に「必要かつ有効」と福祉事務所に認められることが必要です。
対象となる活動の例
1.精神保健福祉センターが行う事業
例えば、次のようなものです。
- アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症相談
- 回復支援プログラム
- 再発防止教室
- 本人向けグループ活動
- 家族教室・家族相談
- 社会復帰相談や生活指導
精神保健福祉センターは、依存症に関する相談、家族支援、治療・回復プログラムなどを実施する相談拠点とされています。
2.保健所が行う事業
例えば、
- 断酒・断薬のための教室
- 依存症本人への相談指導
- 家族教室
- 継続的なグループミーティング
- 医療機関や自助グループにつなぐ支援
などが対象になり得ます。
3.市町村が行う事業
例えば、
- 依存症相談会
- 回復者支援プログラム
- 生活再建・社会復帰支援
- 家族支援事業
- 居場所づくりや継続的な相談支援
などです。
行政が直接実施する場合だけでなく、自治体が医療機関や民間団体へ委託している事業も、内容が病状改善や社会復帰を目的としていれば対象になり得ます。
4.民間団体・自助グループの活動
代表的には次のような活動です。
- 断酒会の例会
- AA(アルコホーリクス・アノニマス)
- NA(ナルコティクス・アノニマス)
- GAなどギャンブル依存症の自助グループ
- 依存症回復支援施設のミーティング
- 依存症者の家族会・家族自助グループ
- 民間団体が行う回復プログラムや社会復帰訓練
民間団体だから対象外になるのではありません。活動内容が病状改善や社会復帰に結び付き、継続利用が必要かつ有効であるかで判断します。厚生労働省も、依存症本人や家族を支える自助グループ、家族会、民間支援団体を地域の支援資源として位置付けています。
同一世帯員の活動も対象になり得る
依存症のある本人だけでなく、同一世帯の家族が家族教室や家族会を継続的に利用する場合も、世帯全体の自立や病状改善に必要かつ有効であれば対象になり得ます。
例えば、家族が依存症への対応方法を学ぶことで、本人の再発防止や家庭生活の安定につながる場合です。
対象になりにくい活動
次のようなものは、通常は移送費の対象になりにくいです。
- 単なる親睦会や懇親会
- 飲食・観光を主目的とする行事
- 一般的な趣味・娯楽活動
- 病状改善や社会復帰との関係が不明な集会
- 単発の記念大会や交流イベント
- 遠方の会場へ行く必要性がなく、近隣に同等の活動がある場合
団体の名称だけでなく、その日の活動内容と参加目的が確認されます。
認定時の主な確認事項
福祉事務所は、一般に次の点を確認します。
- 依存症またはその既往があるか
- 活動が病状改善・再発防止・社会復帰を目的としているか
- 継続参加が本人や世帯に必要か
- 主治医や支援者が参加を有効と認めているか
- 開催場所・回数が合理的か
- 近くに同等の活動がないか
- 無料送迎や他制度の交通費助成がないか
- 最も経済的な交通経路を利用しているか
支給される範囲
通常の例会や相談事業では、原則として会場までの必要最小限の往復交通費が対象です。
一方、一定の宿泊研修については、病状改善や社会復帰への効果が期待でき、原則として同一都道府県内の2泊3日以内などの要件を満たす場合に、交通費のほか宿泊料・飲食物費が検討されます。
したがって、対象活動を簡潔にまとめると、
行政機関または民間団体が行う、依存症の回復・再発防止・家族支援・社会復帰のための継続的な相談、教室、例会、ミーティング、回復プログラム
が中心です。最終的には、活動名ではなく、その活動が本人または世帯の自立に必要かつ有効かによって個別に認定されます。
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