(Q)父Aが亡くなり、相続人は私B・弟C・妹Dの3人です。遺産には、不動産(相続開始時は3600万円)と預貯金7200万円があります。
調停では、私は不動産を、弟と妹は預貯金を希望しましたが合意できず、審判に進みました。
ところが、相続開始から2年たった今、不動産の価値が3000万円に下がっています。
この場合、審判で私Bが不動産を取得するときの評価額はいつの時点の金額を使うのか、また相続税はどの金額で計算するのかが問題になっています。
(A)① 家庭裁判所の審判で使われる不動産の評価額
遺産分割審判での財産評価は、原則として“審判時(または審判の直前時点)の評価額”が採用されます。
理由は、遺産分割は「清算的な性質」を持ち、現実の価値に基づいて公平な分配をする必要があるためです。
そのため、
- 相続開始時 → 3600万円
- 審判時(2年後) → 3000万円
なら、3000万円を基準に分割内容が決められるのが通常の扱いです。
✔ 結論(遺産分割審判)
あなたBが不動産を取得する場合の価値は 3000万円 で計算される可能性が極めて高い。
② 相続税の計算で使う評価額
相続税は、相続開始時点(=お父様が亡くなった時)の評価額で確定します。
これは法律で明確に決められています(相続税法)。
したがって、
✔ 結論(相続税)
相続税は、3600万円(相続開始時の評価額)で申告・計算します。
2年後に価値が3000万円に下がっていても、相続税が減額されることはありません。
【まとめ】
| 争点 | 使われる評価額 | 理由 |
|---|---|---|
| 遺産分割審判 | 審判時の評価額=3000万円 | 公平性のため、現時点の実勢価値を反映する |
| 相続税の計算 | 相続開始時の評価額=3600万円 | 相続税法の原則。価値変動は反映されない |
【補足】
もし、価値下落が大きく、相続税の負担が不公平になる場合でも、相続税の更正(減額)は原則できません。
ただし、特定の要件を満たす場合は「物納」など別の方法で負担を調整するケースはあります。