(Q1)妻と死別した単身者が長期入院を要し、収入も途絶した場合、医療扶助の適用は可能ですが、入院患者日用品費については亡妻の実家(妻の父)から扶養を仰ぐよう指導しても差し支えないでしょうか?(Q2)同人には市内に弟が1人いますが、弟は最近結婚したばかりで生活に余裕がなく、兄を扶養する能力がありません。この場合、弟の妻の実家が近隣にあり豊かな生活をしている場合でも、弟の妻の実家に対して扶養を仰ぐよう指導することは可能でしょうか?

(A1)のような指導は、原則として適切ではありません。

亡くなった妻の父、つまり本人から見た義父は、通常、生活保護法上の扶養を当然に求められる扶養義務者には当たりません。

民法上、当然に扶養義務を負うのは、基本的に次の人です。

  • 配偶者
  • 父母・子・祖父母・孫などの直系血族
  • 兄弟姉妹

妻の父は本人の姻族であり、直系血族ではありません。家庭裁判所が特別の事情により扶養義務を負わせた場合を除き、当然に扶養義務を負うものではありません。

したがって、長期入院により収入がなく、本人に入院中の日用品費を賄う資力がない場合は、医療扶助だけでなく、必要に応じて生活扶助として入院患者日用品費を認定することになります。入院患者日用品費は、入院中の衣類、洗面用品、通信費などの日常生活上の需要に対応する生活扶助です。

義父が任意に援助を申し出ること自体は差し支えありません。その援助を実際に受けた場合は、原則として収入申告が必要です。しかし、

「義父から援助を受けなければ、入院患者日用品費を支給しない」

という条件を付けたり、義父への扶養依頼を事実上強制したりすることは適切ではありません。

まとめると、
亡妻の父は原則として当然の扶養義務者ではないため、義父から扶養を受けるよう指導するのではなく、本人の収入・資産を確認したうえで、必要な入院患者日用品費を生活扶助として認定するのが基本です。

(A2)弟の妻の実家に扶養を求めるよう指導することは、原則としてできません。

弟は本人の兄弟なので、民法上の扶養義務者に当たります。しかし、弟に生活の余裕がなく扶養能力がない場合は、無理に援助を求めることはできません。

一方、弟の妻の父母や兄弟などは、本人とは直接の親族関係がありません。
単に「弟の妻の実家が裕福である」という理由だけでは、本人を扶養する義務はありません。民法上、当然に扶養義務を負うのは、配偶者、直系血族、兄弟姉妹などです。

したがって、

  • 弟本人に扶養能力がない
  • 弟の妻の実家は裕福である

という場合でも、弟の妻の実家に対して、本人への金銭援助を求めるよう指導することは適切ではありません。

弟の妻の実家が自発的に援助することは可能ですが、援助を強制したり、援助を受けることを生活保護の条件にしたりすることはできません。実際に援助を受けた場合は、その金額を福祉事務所に申告します。

まとめると、弟には形式上扶養義務がありますが、扶養能力がなければ援助は求められません。弟の妻の実家には原則として扶養義務がないため、そこから扶養を受けるよう指導することはできません。

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