(Q1)相対的扶養義務者に対する調査の意義について、どのような点が重要とされていますか?(Q2)被保護者が絶対的扶養義務者を除く3親等以内の親族(例:叔父、甥、姪など)に対して、家庭裁判所の審判を経て生活保護上の扶養義務の履行を求める場合、その法律的根拠は何ですか?
(A1)相対的扶養義務者に対する調査の目的は、「扶養を強制すること」ではなく、援助できる可能性があるかを確認することです。
生活保護では、扶養義務者にも優先順位があります。
- 絶対的扶養義務者
- 配偶者
- 親子
- 祖父母・孫などの直系血族
- 兄弟姉妹
- 相対的扶養義務者
- 家庭裁判所の審判などにより扶養義務を負うことがある親族
- 特別な事情がある場合に扶養義務が生じる人
相対的扶養義務者への調査では、次の点が重要とされています。
- 援助が可能かどうかを確認すること
- 援助を依頼することはできますが、強制はできません。
- 生活保護の開始を遅らせないこと
- 扶養調査の結果を待つために、保護決定を遅らせてはいけません。
- 扶養の意思を尊重すること
- 「援助できない」という回答であれば、それを踏まえて保護の要否を判断します。
- 扶養が受けられないことを理由に保護を拒否しないこと
- 扶養が受けられなくても、保護の要件を満たせば生活保護は受けられます。
わかりやすく言うと
相対的扶養義務者への調査は、
「援助できるならお願いできますか?」と確認するためのものであり、援助を義務付けたり、生活保護の代わりに扶養を受けるよう強制したりするものではありません。
まとめ
相対的扶養義務者に対する調査で重要なのは、「援助の可能性を確認すること」であり、「扶養を強制しないこと」「調査を理由に生活保護の決定を遅らせないこと」です。
(A2)法律上の根拠は、主に民法第877条第2項です。
同条第1項では、父母・子・祖父母・孫などの直系血族と兄弟姉妹が、当然に扶養義務を負うとされています。
これに対して、叔父・叔母、甥・姪などは、親族であるだけで当然に扶養義務を負うわけではありません。しかし、民法第877条第2項により、特別の事情がある場合には、家庭裁判所が3親等内の親族に扶養義務を負わせることができます。
生活保護との関係では、生活保護法第4条第2項が、民法上の扶養義務者による扶養は生活保護に優先すると定めています。したがって、家庭裁判所の審判によって叔父・甥・姪などに扶養義務が認められた場合、その扶養は生活保護に先立って活用される関係になります。
ただし、重要なのは次の点です。
叔父・甥・姪だから自動的に扶養義務者になるのではありません。
家庭裁判所が、
- 過去に長期間同居していた
- 実際に生計を同じくしていた
- 親子や兄弟姉妹に近い生活関係があった
- 扶養を求めることが公平といえる特別な事情がある
などを個別に審理し、扶養義務を負わせる審判をした場合に限られます。
また、家庭裁判所の審判がない段階では、福祉事務所が叔父・甥・姪に対して、当然の義務として扶養を強制することはできません。
まとめ
法的な流れは、
民法877条2項
→ 特別な事情があれば、家庭裁判所が3親等内の親族に扶養義務を負わせる
生活保護法4条2項
→ その審判で認められた扶養は、生活保護に優先する
という関係です。
したがって、叔父・甥・姪などに生活保護上の扶養義務の履行を求めるには、原則として民法第877条第2項に基づく家庭裁判所の審判が必要です。
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