(Q3)虐待防止措置の講じ方や具体的な手順にはどのようなものがありますか?
(A3)虐待防止措置は、単に委員会を置くだけではなく、**「体制をつくる→職員に周知・研修する→日常的に確認する→問題があれば通報・改善する」**という流れで実施します。
具体的な手順
1.虐待防止の担当者を決める
管理者やサービス管理責任者などから、虐待防止措置を適切に実施するための虐待防止担当者・責任者を選任します。担当者名や役割を運営規程、組織図、職員への周知文書などで明確にしておきます。
2.虐待防止委員会を設置し、定期的に開催する
委員会では、主に次の内容を検討します。
- 虐待防止の年間計画
- 虐待が起こりやすい職場環境や支援方法
- ヒヤリ・ハットや苦情、不適切な支援の分析
- 虐待事案が発生した場合の原因検証と再発防止策
委員会の開催後は、議事録を作成し、検討結果を全職員に周知します。委員会は法人内の複数事業所で合同開催することも可能です。
3.虐待防止の指針・マニュアルを整備する
事業所として、次のような内容を文書化します。
- 虐待に当たる行為の具体例
- 虐待を発見した場合の報告・通報手順
- 利用者の安全確保の方法
- 事実確認を行う際の手順
- 市町村や家族、関係機関への連絡方法
- 再発防止の方法
運営規程にも、担当者、委員会、研修、苦情解決体制などの虐待防止措置を定めます。
4.全職員に虐待防止研修を実施する
虐待の種類、通報義務、利用者の権利擁護、不適切な支援の具体例、身体拘束の適正化などを研修します。新人職員には採用時に行い、その後も定期的に実施し、日時・参加者・内容を記録しておきます。外部研修への参加を事業所内で共有する方法も考えられます。
5.日常の支援を点検する
職員用チェックリスト、利用者・家族への聞き取り、苦情、事故報告、ヒヤリ・ハットなどを活用して、不適切な支援がないか定期的に確認します。職員の人手不足、長時間労働、ストレス、支援方法の統一不足など、虐待につながりやすい職場環境も見直します。
6.虐待が疑われた場合は、速やかに通報する
虐待を受けたと思われる利用者を発見した場合は、事業所内だけで処理せず、市町村の障害者虐待防止センターなどへ速やかに通報します。確実な証拠がそろうまで待つ必要はありません。併せて、利用者の安全確保、管理者への報告、事実経過の記録を行います。障害者虐待防止法では、虐待を受けたと思われる障害者を発見した人に通報義務が設けられています。
7.原因を検証し、再発防止を行う
虐待や不適切な支援が起きた場合は、個人の責任だけで終わらせず、職員体制、支援方法、情報共有、研修不足などの組織的な原因を検証します。改善策を決め、実施状況を委員会で継続的に確認します。
最低限保存しておく記録
実地指導などに備え、次の資料を整理しておくことが重要です。
- 虐待防止担当者の選任記録
- 虐待防止委員会の議事録
- 委員会結果を職員に周知した記録
- 研修計画、研修資料、参加者名簿
- 虐待防止マニュアルやチェックリスト
- 苦情、ヒヤリ・ハット、改善状況の記録
簡潔に言うと
担当者を置き、委員会を定期開催し、職員研修と日常点検を行い、虐待が疑われた場合は速やかに市町村へ通報して、原因検証と再発防止まで行うことが、虐待防止措置の基本的な手順です。
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