(Q1)「障害により日常生活のすべてについて介護を必要とするもの」とは、具体的にどのような状況を指しますか?(Q2)障害福祉サービスを利用している場合でも、家族介護料は算定されますか?(Q3)被保護世帯に家族介護料の算定対象となる障害者が複数いる場合、どのように算定されますか?

(A1)「障害により日常生活のすべてについて介護を必要とするもの」とは、

自分ひとりでは日常生活をほとんど送ることができず、常に誰かの介護が必要な状態を指します。

具体的には、次のような場面で介助が必要な人です。

  • 食事:自分で食べられず、食べさせてもらう必要がある。
  • 排せつ:トイレの介助や、おむつ交換が必要。
  • 入浴:一人では入浴できず、介助が必要。
  • 着替え:衣服の着脱を一人でできない。
  • 移動:ベッドから車いすへの移乗や歩行に介助が必要。
  • 寝返り・起き上がり:自力でできない。
  • 日常の見守り:常に付き添いや見守りが必要。

つまり、「一部の動作だけ手伝ってもらえば生活できる」という程度ではなく、生活全般にわたって他人の介護が欠かせない状態をいいます。

判断のポイント

生活保護では、家族介護料などの対象になるかどうかを判断する際に、次のような点を総合的に確認します。

  • 医師の診断書や意見書
  • 障害の程度(身体障害者手帳など)
  • 日常生活動作(ADL)の状況
  • 実際にどの程度介護が必要か
  • 家族がどのような介護を行っているか

わかりやすい例

対象になる可能性が高い例

  • 四肢まひなどで、自分では食事・排せつ・着替え・移動などがほとんどできず、家族が毎日介護している。

対象になりにくい例

  • 杖や義手を使えば一人で生活できる。
  • 掃除や買い物だけ手伝ってもらっている。
  • 入浴だけ介助が必要で、それ以外は自分でできる。

このように、「日常生活のすべてについて介護を必要とする」とは、生活全般において常時介護が必要な重度の障害状態を意味します。生活保護では、医師の意見や介護の実態をもとに、福祉事務所が個別に判断します。

(A2)はい、障害福祉サービスを利用していても、家族介護料が算定される場合があります。
ヘルパーなどを利用していることだけを理由に、一律に家族介護料の対象外にはできません。

厚生労働省の生活保護問答集では、福祉サービスを受けていても、同一世帯の家族が実際にどの程度介護しているかを確認して、個別に認定するとされています。また、家族が「日常的かつ継続的」に介護していることが必要です。

算定される可能性がある例

たとえば、日中に数時間ヘルパーを利用していても、サービスのない時間に家族が毎日、

  • 食事の介助
  • 排せつの介助
  • 入浴の介助
  • 移乗や体位交換
  • 夜間の見守りや介助

などを継続して行っている場合です。

この場合は、障害福祉サービスだけで介護のすべてが行われているわけではないため、家族の介護実態を踏まえて家族介護料が認められる可能性があります。

算定されにくい例

反対に、必要な介護のほとんどがヘルパーなどによって行われ、家族が日常的・継続的な介護をしていない場合は、家族介護料が認められない可能性があります。

また、家族が同居しているだけ、声かけや時々の手伝いをしているだけでは、通常は十分ではありません。

判断される主な内容

福祉事務所は、次の内容を確認して判断します。

  • 利用している障害福祉サービスの種類・曜日・時間
  • サービスで行われている介護内容
  • サービス時間外に家族が行っている介護
  • 食事・排便・入浴などの介助の必要性
  • 夜間や休日の介護状況
  • 家族の介護が日常的・継続的であるか

なお、生活保護受給世帯の障害福祉サービスの利用者負担上限月額は、原則として0円です。

したがって、結論は、「障害福祉サービスを使っているから家族介護料は出ない」という取扱いではなく、サービスを利用したうえでも家族が日常的かつ継続的に必要な介護を行っているかによって判断されるということです。

(A3)被保護世帯に、家族介護料の対象となる障害者が複数いる場合は、対象となる障害者それぞれについて、家族介護料を算定できます。

つまり、家族介護料は「介護する家族1人につき1件」ではなく、原則として介護を必要とする障害者1人ごとに認定されます。

具体例

同じ世帯に、次の2人がいるとします。

  • 障害者Aさん:食事・排便・入浴のすべてに介護が必要
  • 障害者Bさん:同じく、食事・排便・入浴のすべてに介護が必要
  • 同一世帯の家族が、AさんとBさんの両方を日常的・継続的に介護している

この場合、要件を満たせば、

  • Aさんについて家族介護料を1件
  • Bさんについて家族介護料を1件

というように、2人分をそれぞれ算定して差し支えないとされています。厚生労働省の生活保護問答集にも、「同一世帯に属する者が複数人に対して介護している場合には、介護の対象となる障害者にそれぞれ加算を認定して差し支えない」と示されています。

ただし、単に障害者が複数いるだけで自動的に人数分が支給されるわけではありません。それぞれの障害者について、

  • 家族介護料の障害要件を満たしているか
  • 食事・排便・入浴のすべてに介護が必要か
  • 同一世帯の家族が実際に介護しているか
  • 介護が日常的・継続的に行われているか

を個別に確認したうえで、福祉事務所が認定します。

結論としては、対象者が2人なら最大2人分、3人なら最大3人分というように、それぞれの対象者ごとに算定する取扱いです。

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