(Q1)日本に在留している外国人を主な対象とした、いわゆる民族学校(学年制の学校)について、どのような特徴や課題がありますか?(Q2)民族学校に通う外国人の子どもたちの教育環境や支援体制について、どのような点が重要と考えられますか?

(A1)結論

いわゆる**「民族学校」**とは、日本に在留する外国人の子どもなどを主な対象として、その民族の言語・文化・歴史などを重視した教育を、学年制で継続的に行う学校を一般に指します。

代表的には外国人学校などが該当します。ただし、「民族学校」という名称自体が学校教育法上の正式な学校区分というわけではありません。

1.日本の法律上、どのような学校になるのか

民族学校の法的位置付けは学校によって異なります。

学校教育法第1条の「一条校」として認可されている学校もありますが、外国人学校の多くは、**学校教育法第134条の「各種学校」**として認可されているか、場合によっては無認可の教育施設となっています。文部科学省も、インターナショナルスクールについて同様の整理をしています。

したがって、

民族学校だから当然に日本の小学校・中学校と同じ法律上の扱いになるわけではない

という点が重要です。

2.外国籍の子どもは民族学校に通えるのか

はい、通うことができます。

外国籍の児童・生徒の保護者には、日本の学校教育法上の就学義務は課されていません。そのため、日本の公立小中学校だけでなく、民族学校やインターナショナルスクールを選択することも可能です。

一方、日本国籍を有する子どもの場合には注意が必要です。一条校ではない民族学校・インターナショナルスクールだけに通わせても、原則として学校教育法上の就学義務を履行したことにはなりません。

3.民族学校の特徴

学校によって内容は大きく異なりますが、一般的には、日本で生活するための教育に加えて、

母語・民族の歴史・文化・伝統などを学び、その子どもの文化的・言語的背景を維持する

という役割があります。

そのため、日本の一般的な小中学校とは、教育課程、使用言語、教材などが異なる場合があります。

4.生活保護では特に注意が必要です

今回までのご質問との関係では、ここが重要です。

生活保護を受けている外国人の子どもが民族学校へ通っている場合、民族学校に通っているから、その費用が当然に「教育扶助」から支給されるわけではありません。

厚生労働省の昭和29年通知では、生活に困窮する外国人について生活保護法に準じた措置を行う一方、外国人の子どもが学校教育法第1条の小学校・中学校以外の各種学校等で受ける特別な教育について、その教育費や特定の学校への通学費を教育扶助として認めることはできないという取扱いが示されています。

例えば、生活保護世帯の外国籍の子どもが、一条校ではない民族学校に通っていて、

「授業料が必要」「民族学校まで電車代が必要」

という場合でも、それだけで教育扶助の授業料・通学費として認定できるわけではないということです。

まとめ

簡単に整理すると、

民族学校とは、外国人の子ども等を主な対象として、その民族の言語・文化・歴史などを含む教育を学年制で行う学校ですが、法律上の位置付けは学校ごとに異なります。

そして生活保護実務では、「民族学校に在籍している=通常の小中学校と同じように教育扶助を支給できる」とは限らないため、その学校が一条校なのか各種学校なのか、また、どの費用について認定を求めているのかを確認することが重要です。

(A2)結論

民族学校に通う外国人の子どもたちの教育環境を考える場合、重要なのは、「民族学校に通っている」という理由だけで教育の機会や必要な支援から取り残されないようにすることです。

特に次の点が重要です。

  • 学習環境の確保:教室、教材、ICT機器など、継続して学習できる環境を整えること。
  • 言語面の支援:母語・継承語を学ぶ機会を大切にするとともに、日本で生活・進学するために必要な日本語教育も確保すること。
  • 文化的背景への配慮:子どもの民族的・文化的背景を尊重し、言語、歴史、文化などを学ぶ機会を保障すること。
  • 進学・進路支援:高校・大学等への進学や就職について、在籍する学校の法的位置付けや入学資格なども踏まえて、早い段階から情報提供・相談支援を行うこと。
  • 経済的な支援:低所得世帯では授業料、教材費、通学費等が大きな負担になります。ただし、公的支援の対象になるかは、学校が「一条校」「各種学校」などのどの位置付けにあるか、また各制度の対象要件によって異なります。
  • 行政・学校・家庭の連携:教育委員会、自治体、学校、保護者、必要に応じて福祉機関などが連携し、就学状況や生活上の問題を把握することが重要です。

文部科学省も、外国人の子どもの就学促進について、自治体が外国人の子どもの状況を把握し、就学案内、日本語指導、保護者への情報提供などを行うことを重視しています。文部科学省「外国人児童生徒等の教育」

生活保護との関係で特に注意すること

ここは前のご質問との関係で重要です。

「教育上支援する必要があること」と「その費用を生活保護の教育扶助として支給できること」は、別の問題です。

民族学校に通うことに教育上の意義があったとしても、授業料・教材費・通学費などを生活保護から支給できるかどうかは、生活保護の実施要領等に定められた支給要件に該当するかを個別に確認する必要があります。

したがって実務では、

①子どもの教育を受ける機会を確保すること
②民族的・文化的背景を尊重すること
③日本語教育や進路支援を行うこと
④経済的に困難な場合には利用可能な制度を案内すること
⑤生活保護から支給する場合は、教育扶助等の対象要件を別途確認すること

というように、教育上の支援と生活保護上の費用認定を分けて考えるのがポイントです。

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