(Q1)ケース診断会議等では、どのような点に留意して生活支援や土地・家屋の活用について検討すべきですか?(Q2)被保護世帯や地域住民の生活内容と比較して、居住することによって営まれる生活の内容がバランスの取れたものか、また生活保護の補足性の観点から著しい不公平が生じていないか、どのように判断しますか?

(A1)ケース診断会議等では、単に「土地・家屋の評価額が高いか」だけで判断するのではなく、その世帯の生活状況、住宅を処分できる可能性、転居の可否、健康状態などを総合的に検討することが求められています。

厚生労働省の課長通知第3・問16では、特に次の点を検討するとされています。

  • 土地・家屋の見込処分価値
    実際に売却した場合、どの程度の金額になるのか。
  • 土地・家屋を実際に処分できるか
    買い手が見つかるのか、共有名義など売却を困難にする事情がないか。
  • 世帯が転居できるか
    売却した場合、代わりとなる住宅を確保できるか。
  • 世帯員の健康状態や生活歴
    高齢、障害、疾病などにより転居が大きな負担にならないか、長期間その地域で生活しているなどの事情がないか。
  • 近隣との関係
    近隣住民や地域とのつながりが、現在の生活維持に重要な役割を果たしていないか。
  • 世帯の自立の可能性
    現在の住宅を維持することが、将来の生活安定や自立につながるか。
  • 地域の住宅事情
    地域の低所得世帯の持ち家状況、土地・家屋の平均面積、地域住民の意識など。
  • その他、その世帯特有の事情
    個別事情を含めて総合的に判断します。

特に重要なのは、長期的な視点で考えることです。通知では、その土地・家屋で営まれている生活が、他の被保護世帯や地域の住民と比べて最低生活の観点から著しくバランスを欠いていないか、また、生活保護の補足性の観点から、その不動産を保有させることが著しい不公平を生じさせないかを検討するとしています。

「売却するか、保有するか」だけを考える会議ではありません

ここも大切です。

ケース診断会議では、最終的に、

①そのまま土地・家屋の保有を認めるのか
②土地・家屋を何らかの形で活用するのか
③売却・転居等を進めるのか

という援助方針を、世帯の実情に応じて検討します。

例えば「活用する」といっても、すぐに売却することだけではありません。厚労省は、援助方針を作る際には、

不動産を担保とした貸付制度の利用、不動産の賃貸、公営住宅等への転居、他法他施策の利用、親族との関係など

も含め、世帯の自立につながる方法を幅広く検討するよう求めています。

将来の生活への不安にも配慮する

さらに通知では、土地・家屋の活用方針を決める場合、その世帯に将来の生活への不安を抱かせることのないよう配慮する必要があると明記されています。

したがって、

「家の評価額が高いから売りなさい」

と機械的に決めるのではありません。

例えば、高齢者が何十年も住んできた住宅で、近隣住民から日常的な支援を受けており、転居すると生活が著しく不安定になるケースであれば、評価額だけでなく、その人の健康、生活歴、地域とのつながり、転居後の生活などまで含めて判断する必要があります。

一方で、非常に高額な住宅で、売却も容易であり、売却後も適切な住宅を確保できるというケースであれば、資産活用を求める方向で検討される可能性があります。

要するに、ケース診断会議等では「不動産の金額」だけを見るのではなく、「この人が今後どのように生活していくのが適切か」という生活支援の視点を含めて、土地・家屋の保有・活用・処分を総合的に判断する、ということです。

(A2)この判断は、土地・家屋の価格だけを見て機械的に決めるものではなく、「その住宅で暮らし続けることが、最低生活の水準や地域の一般的な生活実態と比べて著しく不釣り合いではないか」を、世帯事情も含めて総合的に判断するものです。厚生労働省の課長通知・問16も、そのような長期的・総合的な検討を求めています。

具体的には、ケース診断会議等で主に次の点を確認します。

  • 土地・家屋の見込処分価値
    実際に売却すると、どの程度の金額になるのかを確認します。単なる固定資産税評価額だけではなく、実際の処分可能性も考慮します。
  • 売却できる可能性
    高額な評価額でも、共有名義、立地条件、接道状況などから実際には簡単に売れない場合があります。
  • 転居できるかどうか
    売却後に、その地域で適切な賃貸住宅を確保できるか、高齢・障害・病気などのため転居が困難でないかを検討します。
  • 本人・世帯員の健康状態や生活歴
    長期間その住宅で生活している高齢者などの場合、住環境を変えることによる生活への影響も考慮します。
  • 近隣との関係
    親族や近隣住民から日常的な見守り・援助を受けているなど、その地域に住み続けることが生活維持に重要かどうかも見ます。
  • 自立の可能性
    住宅を維持することが世帯の自立に役立つのか、それとも資産を活用した方が今後の生活の安定につながるのかを検討します。
  • 地域の一般的な住宅事情
    地域の低所得世帯の持ち家状況、土地・家屋の平均的な広さ、地域住民の住宅水準や地域感情などと比較します。

「著しい不公平」とはどう考えるのか

ここでいう不公平は、

「生活保護受給者が持ち家に住んでいること自体が不公平」

という意味ではありません。

例えば、地方にある古い一戸建てで、土地が広くても実際の売却価格は低く、周辺でも低所得の高齢者が同程度の住宅を所有しているのであれば、地域の生活実態と比べて著しく不釣り合いとは言いにくいでしょう。

反対に、非常に高額な住宅で、売却も容易であり、売却代金によって長期間生活でき、しかも転居による特別な支障もないような場合には、

「その高額な資産を保有したまま公費による生活保護を受け続けることが、補足性の原則からみて適切か」

という観点から、資産活用をより慎重に検討することになります。これは個別事情による判断です。

したがって、「○㎡以上なら不公平」「○万円以上なら必ず売却」といった一律の判断ではありません。 厚労省通知は、①処分価値、②処分可能性、③転居可能性、④健康状態・生活歴、⑤近隣関係、⑥自立可能性、⑦地域の低所得者の持ち家状況・平均面積・地域感情、⑧その他必要事項を踏まえ、世帯の実情に応じて総合的な意見をまとめるよう求めています。

つまり一言でいうと、「その家が高いか安いか」だけではなく、「その人がその家に住み続ける生活が、地域の一般的な低所得世帯の生活水準と比べて著しく不相応ではないか」「その資産を活用しないまま生活保護を受けることが著しく不公平ではないか」を、本人の健康・生活歴・転居可能性まで含めて判断するということです。

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