(Q1)福祉型障害児入所施設において、18歳以上の者に対して給付されていた経過的サービス費とはどのようなものですか?(Q2)経過的サービス費の給付対象者や条件には、どのような基準がありますか?
(A1)はい。ここでいう**「経過的サービス費」**は、簡単にいうと、18歳になった後も福祉型障害児入所施設から成人向け施設等への移行ができていない人について、すぐに退所させることなく、当面その施設で生活を続けられるようにするための特例的な給付です。
なぜ設けられていたのか
本来、障害児入所施設は「児童」を対象とする施設なので、18歳を超えた人については、原則としてグループホームや障害者支援施設などの成人向け障害福祉サービスへ移行することが想定されています。
ところが実際には、重度の障害がある、強度行動障害がある、地域に受入先がない、本人に適したグループホーム等が見つからない、といった事情から、18歳になっても移行先が決まらない「過齢児」が存在していました。
そこで、「18歳になったから直ちに施設を出てください」ということにならないようにするため、障害児入所施設を一定期間、成人向け障害福祉サービスの施設と「みなして」、成人向けサービス費を支給できる仕組みが設けられていました。厚生労働省も、この制度について「移行先が決まらないまま退所を迫られることのないようにするため」の経過措置だったと説明しています。
福祉型障害児入所施設では何が支給されていたのか
代表的なものが、
① 経過的施設入所支援サービス費
→ 夜間や休日を含め、施設で生活するための介護・生活支援等に対応する給付
② 経過的生活介護サービス費
→ 日中の介護、生活支援、活動機会の提供などに対応する給付
です。
つまり、18歳以上になると「障害児」としてのサービスではなく、制度上は成人の「施設入所支援」や「生活介護」に相当するサービスを受けているものとして給付する仕組みになっていました。
ただし重要なのは、通常の成人向け障害者支援施設として完全に基準を満たしているから支給していたわけではない点です。
厚労省は、この経過的サービス費について、
成人向け施設としての基準を満たしていない障害児施設を、特例的に成人サービスの施設とみなして給付する仕組み
という趣旨で説明しています。
具体例で考えると
たとえば、17歳から福祉型障害児入所施設に入所しているAさんが18歳になったとします。
本来なら成人向けのグループホームや障害者支援施設などへの移行を検討します。
しかし、Aさんに強度行動障害があり、
「受入可能なグループホームが見つからない」
という状況だったとします。
この場合に、
18歳になった → 障害児施設の対象外 → 直ちに退所
としてしまうと、Aさんの生活の場がなくなる可能性があります。
そこで経過措置として、
福祉型障害児入所施設に引き続き入所しながら、「経過的施設入所支援サービス費」「経過的生活介護サービス費」によって支援を継続する
という仕組みが設けられていた、ということです。
なお、経過的サービス費を利用して障害児入所施設に残っている18歳以上の人についても、成人サービスとしてサービス等利用計画が必要であり、計画相談支援を利用しながら成人期の生活の場への移行を進めることが原則とされていました。
まとめると、経過的サービス費は「18歳以上になっても移行先が見つからない人を障害児施設から機械的に退所させないための、一時的な成人向け給付の特例」です。
なお、この「経過的サービス費(みなし規定)」は現在の18歳以上の入所者に関する仕組みとは制度が変わっています。現在の児童福祉法24条の24には、一定の条件で20歳まで、さらに特別な場合には23歳まで障害児入所給付費等を継続できる仕組みが設けられています。
必要でしたら次に、**「この経過的サービス費はいつ廃止され、令和6年度からどのような制度に変わったのか」**について、旧制度→現行制度の違いが分かるように整理して説明できます。
(A2)福祉型障害児入所施設における経過的サービス費の対象者・条件は、簡単にいうと、18歳以上になった後も、成人向けの障害福祉サービスへ直ちに移行することが難しく、従来の障害児入所施設で引き続き支援を受ける必要がある人を対象とした経過措置です。厚生労働省は、18歳以上の入所者が「移行先が決まらないまま退所を迫られることのないようにする」ための仕組みとして説明しています。
具体的には、主に次のような条件がポイントになります。
- 18歳以上であること
- 従来から障害児入所施設に入所していること
- 18歳になった後も、引き続きその施設で支援を受ける必要があること
- 成人向けの障害者支援施設、グループホームなどへの移行先が確保できていないこと
- 施設側が、障害者総合支援法上の「特例による指定(みなし指定)」を受けていること
- 市町村による障害福祉サービスの支給決定が行われていること
厚生労働省のQ&Aでは、福祉型障害児入所施設について、18歳以上の入所者が引き続き必要なサービスを受けられるよう、児童福祉法上の指定基準を満たしている施設について、障害者総合支援法上の施設障害福祉サービスの基準も満たしているものとする**「特例による指定」**を設けるとされています。
障害支援区分が高くなければ対象にならなかったのか
ここは重要です。
通常の「生活介護」や「施設入所支援」では、原則として障害支援区分について一定の要件があります。しかし、経過的サービス費は通常の成人サービスとは違い、障害児施設から成人サービスへの移行のための特例でした。
そのため、施設が特例による指定を受けている間は、厚労省Q&Aで、
障害支援区分にかかわらず、経過的生活介護サービス費・経過的施設入所支援サービス費を算定する
という取扱いが示されていました。
したがって、
「区分4以上でなければ経過的サービス費を受けられない」
という単純な仕組みではありませんでした。
対象となるサービス
福祉型障害児入所施設の場合、大きく分けると、
日中の支援
→ 経過的生活介護サービス費
夜間を含む施設での生活支援
→ 経過的施設入所支援サービス費
という構成でした。
施設が特例指定を受けている場合には、利用者ごとに通常の障害支援区分に基づく生活介護・施設入所支援と、経過的サービス費を混在させるのではなく、原則としてその特例の仕組みに基づいて算定する扱いとされていました。
具体例
例えば、17歳から福祉型障害児入所施設に入所しているAさんが18歳になったとします。
Aさんには重度の知的障害があり、地域のグループホームや障害者支援施設を探しているものの、受入先が見つかっていないとします。
この場合、
18歳になったから障害児入所施設を退所
ではなく、
移行先が確保されるまで、特例的に現在の施設を成人向けサービスの施設とみなし、経過的生活介護・経過的施設入所支援として支援を継続する
ことができた、という制度です。厚労省の実務者会議報告書でも、この経過的サービス費について、成人向け施設としての基準を完全に満たしていない「児」の施設を「者」の施設とみなしてサービス費を支給する仕組みだったと整理されています。
重要な注意点
この制度は、18歳以上の人を障害児施設に恒久的に入所させ続けるための制度ではありません。
あくまでも、
障害児施設 → 成人期にふさわしい生活の場
へ移行するまでの経過措置として設けられたものです。
そのため、本人の障害特性、本人・家族の意向、地域生活の可能性、障害者支援施設・グループホーム等の受入状況などを踏まえながら、成人期にふさわしい生活の場への移行を進めることが制度の前提でした。
要するに、経過的サービス費の対象者は、「18歳を超えたから自動的に対象」というものではなく、障害児入所施設に引き続き入所しており、成人向けサービスへの移行が完了していないため、特例的に現在の施設で支援を継続する必要がある人」です。
なお、現在はこの旧来の「みなし規定による経過的サービス費」とは制度の仕組みが変更されています。現行の児童福祉法では、一定の要件の下で20歳まで、さらに特別な場合には23歳まで障害児入所給付費等を支給できる仕組みが設けられています。
必要であれば次に、**「18歳以上であれば何歳まで経過的サービス費を算定できたのか・算定期間に上限があったのか」**を、制度改正の時系列も含めてわかりやすく整理できます。
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