(Q)局長通知第5の2の(1)による扶養の可能性の調査とは、どのような場合に行われますか?
次のうち、扶養義務の履行が期待できないと判断されるのはどのような場合ですか?具体例を挙げてください。
(A)局長通知第5の2の(1)による「扶養の可能性の調査」とは、生活保護の申請者について扶養義務者が把握された場合に、その親族から実際に金銭的・精神的な援助を受けられる可能性があるかを確認するための調査です。
厚生労働省の局長通知では、扶養義務者について、職業・収入などを本人その他から聴取して扶養の可能性を調べるほか、金銭的援助だけでなく、定期的な訪問・電話、手紙のやり取り、子どもの一時的な預かりなどの精神的な支援の可能性も確認するとされています。
ただし、扶養義務者がいるからといって、すべての親族に一律に扶養照会をしなければならないわけではありません。 調査の結果、「明らかに扶養義務の履行が期待できない」と判断できる人については、その事情に応じて直接照会をしない取扱いが認められています。
具体的には、主に次のような場合です。
- ① 扶養義務者自身が生活保護を受けている場合
例えば、申請者の母親自身も生活保護受給者である場合です。母親にも最低生活を維持する必要があるため、通常、申請者を経済的に扶養する余力は期待できません。 - ② 扶養義務者が社会福祉施設に入所している場合
例えば、父親が特別養護老人ホーム等に入所し、自身の生活・介護で精一杯という場合です。実施機関がこれと同様の状態と認める人も含まれます。 - ③ 要保護者の生活歴などから、明らかに扶養できない特別な事情がある場合
例えば、長期間音信不通で事実上関係が断絶している、扶養義務者自身が極めて困窮しているなど、個別事情から扶養を期待することが現実的でない場合です。これは一律ではなく、個別に慎重に判断します。 - ④ DV被害などで、扶養を求めることが本人の安全や自立を害する場合
例えば、夫の暴力から逃れて生活保護を申請した妻子について、その夫へ「妻が生活保護を申請しています」と扶養照会を行えば、居場所を探られたり、再び接触・暴力を受けたりする危険があります。このような場合は、直接照会することが真に適当でない場合として扱います。 - ⑤ 親からの虐待などの経緯がある場合
例えば、幼少期から父親から重大な虐待を受け、成人後も接触を避けている人が生活保護を申請した場合です。その父親へ扶養を求めることで精神状態が悪化したり、自立が妨げられたりするのであれば、扶養の履行は期待できないものとして扱います。
特に④・⑤については重要で、厚生労働省は、「夫の暴力から逃れてきた母子、虐待等の経緯がある者等」について、扶養を求めることで明らかに本人の自立を阻害する場合には、扶養照会を行わない取扱いをすることを明確にしています。
また、「扶養義務の履行が期待できない」と判断した場合には、福祉事務所は何となく照会を省略するのではなく、なぜ扶養を期待できないと判断したのか、その検討結果・判定を保護台帳やケース記録に明確に記録する必要があります。
逆に、親族と定期的に交流があり、相手に十分な収入・資産があり、扶養手当や税法上の扶養控除を受けているなどの事情がある場合には、扶養が期待できる可能性が高くなります。厚労省も、こうした交際状況や経済力などを総合して判断することとしています。
したがって、簡単にまとめると、**「扶養の可能性の調査では、親族がいるかだけでなく、実際に援助できる経済力や関係性があるかを確認する。そして、扶養義務者自身が生活保護受給者・施設入所者である場合や、DV・虐待、関係断絶などにより扶養を求めることが本人の安全や自立を害する場合には、『扶養義務の履行が期待できない』として扶養照会を行わないことができる」**という取扱いです。
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