(Q1)Aさんが居住するマンションの処分価値が300万円の場合、Aさんはこのマンションに居住したまま生活保護を利用することができますか?(Q2)Aさんが居住するマンションの処分価値が1000万円の場合、Aさんはこのマンションに居住したまま生活保護を利用することができますか?

(A1)はい、処分価値が300万円というだけで、Aさんがマンションを売却しなければ生活保護を利用できない、とは限りません。

生活保護では、利用できる資産は原則として活用する必要がありますが、現在実際に居住している持ち家については、一定の場合に保有したまま生活保護を受けることが認められます。 厚生労働省も「持ち家がある人でも申請でき、居住用の持ち家は保有が認められる場合がある」と案内しています。

Aさんのマンションが300万円の場合、福祉事務所は単純に「300万円あるから売却」と判断するのではなく、主に実際の処分価値、売却できる可能性、売却後に転居できるか、Aさんの年齢・健康状態・生活歴、地域の持ち家事情などを総合的に検討します。厚労省の問答でも、これらの事情をケース診断会議等で検討することとされています。

例えば、Aさんがそのマンションに長年住んでおり、300万円程度でしか売却できず、売却して賃貸住宅へ移れば新たに家賃負担が発生する場合には、売却させるよりも、そのまま居住させる方が生活の安定や保護費の観点から合理的と判断される可能性があります。

反対に、非常に高額な不動産で、売却すれば長期間自力で生活できるだけの資金を確保できる場合などは、資産活用として売却を求められる可能性があります。

なお、厚生労働省には土地・家屋についてケース診断会議等に付するための**「選定目安額」**がありますが、これはあくまで「詳しく検討するかどうか」の目安です。その金額を超えたら生活保護不可、下回ったら必ず保有可能、という基準ではありません。

したがって、今回のケースでは、マンションの処分価値が300万円であるという一事情だけなら、Aさんがそのマンションに住み続けながら生活保護を受けられる可能性は十分あります。 最終的には、売却可能性や転居の合理性、Aさんの生活状況などを福祉事務所が総合判断します。

要するに、「持ち家300万円=必ず売却」ではなく、「その住居を保有させることが最低生活や資産活用の観点から妥当か」を個別に判断するということです。

(A2)Aさんのマンションの処分価値が1,000万円であっても、それだけで直ちに「売却しないと生活保護を受けられない」と決まるわけではありません。

生活保護では、居住用不動産について、単純に金額だけで判断せず、その家を保有し続けることが妥当かどうかを総合的に判断します。厚生労働省の実施要領では、一定額を超える不動産について「ケース診断会議等」で検討するための選定目安額がありますが、この目安額はあくまで「詳しく検討するケースを選ぶ基準」であって、保護を受けられる・受けられないを機械的に決める金額ではありません。

ケース診断会議等では、主に、①実際の売却見込額、②本当に売却できるか、③転居できるか、④Aさんの年齢・健康状態・生活歴、⑤近隣との関係、⑥今後の自立可能性、⑦地域の低所得世帯の持ち家状況や住宅事情などを総合的に検討します。

したがって、1,000万円のマンションについても、例えばAさんが高齢で長年そこに居住しており、売却して賃貸住宅へ移ることが生活上大きな負担になる、あるいは売却後に新たな家賃負担が継続的に発生するといった事情があれば、保有を認めたまま生活保護を適用する可能性があります。

一方で、1,000万円で実際に容易に売却でき、その売却代金によって相当期間、自力で最低生活を維持できると判断される場合には、生活保護法4条の「資産活用」の原則から、売却・活用を求められる可能性は300万円の場合より高くなります。 その場合でも、「1,000万円だから自動的に売却」ではなく、上記の事情を検討して判断します。

なお、住宅ローンが残っているマンションについては別の注意が必要です。厚労省の問答では、ローン返済中の住宅を保有したまま保護を受けることは原則として適当でないとされています。生活保護費が結果的に住宅ローンの返済に充てられることになるためです。

要するに、

処分価値300万円 → 保有容認される可能性を比較的検討しやすい

処分価値1,000万円 → より慎重に資産活用を検討されるが、金額だけで売却決定にはならない

という理解が分かりやすいです。

最終的には、「1,000万円という価格」だけではなく、売却可能性・転居可能性・本人の健康や生活状況・地域の住宅事情を踏まえて、保有を認めるか、売却を求めるかを個別判断することになります。

記事のお問い合わせ先 生活保護専門 神戸市の義足行政書士事務所