(Q)キャリアパス要件や職場環境要件を満たすために取り組む費用に、賃金改善額を含めてもよいのでしょうか?
(A)はい。福祉・介護職員等処遇改善加算について、分かりやすく説明します。
① 結論
キャリアパス要件や職場環境等要件を満たすための取組費用に、賃金改善額を含めることは、原則としてできません。
ただし、その取組に伴って職員に支払う賃金そのものを改善した場合は、賃金改善額として計上できることがあります。
重要なのは、「職員の給与を増やした費用」なのか、「研修や職場環境を整備するための経費」なのかを区別することです。
② 具体例
| 支出内容 | 賃金改善額に含められるか | 理由 |
|---|---|---|
| 職員の基本給を引き上げた | ○ | 職員の賃金が増加しているため |
| 処遇改善手当を新たに支給した | ○ | 職員の賃金改善に該当するため |
| 研修受講に伴い、職員の給与を増額した | ○ | 増額した部分は賃金改善に当たるため |
| 資格取得後に資格手当を増額した | ○ | 職員の賃金改善に該当するため |
| 外部研修の受講料を事業所が負担した | × | 研修費用であり、賃金ではないため |
| 研修講師への謝金を支払った | × | 研修実施の経費であるため |
| ICT機器やパソコンを購入した | × | 設備購入費であり、賃金ではないため |
| 業務改善のためのソフトを導入した | × | システム導入費であり、賃金ではないため |
※賃金改善額に計上できるのは、原則として従来の賃金水準から実際に増加した部分です。
③ 具体例:研修費用と賃金改善額の違い
例えば、就労継続支援A型事業所で、職員の資格取得を支援するとします。
事業所が次の費用を負担した場合です。
- 研修受講料:3万円
- 研修講師への謝金:2万円
- 資格取得後の資格手当の増額:月額5,000円
この場合、研修受講料3万円と講師謝金2万円は、賃金改善額に含められません。
一方、資格手当の増額分は、年間で次の金額になります。
5,000円 × 12か月 = 60,000円
この6万円については、賃金改善額として計上できることが考えられます。
④ 職場環境等要件の取組費用も同じ
例えば、職員の負担軽減を目的として、支援記録ソフトを導入した場合です。
ソフトの購入費用や利用料は、職場環境等要件を満たすための取組経費にはなりますが、賃金改善額には含められません。
一方、業務改善によって生じた余力を活用し、職員の基本給や手当を引き上げた場合には、その増額部分を賃金改善額として計上できます。
⑤ 注意点
処遇改善加算では、加算によって得た収入を、所定のルールに従って職員の賃金改善に充てる必要があります。
したがって、加算収入を研修費や設備購入費などに充て、それを賃金改善額として計上することはできません。
また、賃金改善額には、賃金改善に伴って増加した法定福利費等の事業主負担分を含められる場合があります。
⑥ まとめ
キャリアパス要件や職場環境等要件を満たすための取組費用と、賃金改善額は区別して考える必要があります。
例えば、研修費やICT導入費は賃金改善額に含められませんが、研修成果や資格取得に応じて職員の給与を増額した場合、その増額分は賃金改善額として計上できます。
つまり、「取組を実施するための費用」は対象外、「取組に伴って実際に職員の賃金を増やした金額」は対象になり得る、ということです。
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