(Q)最低賃金を満たしているかどうかを計算する際、新加算等によって得た加算額は、最低賃金額と比較する賃金に含めるべきですか?
(A)はい。ご質問は、福祉・介護職員等処遇改善加算(新加算)によって支給された賃金を、最低賃金の計算に含めてよいのかということですね。
① 結論
新加算を財源として職員に支払った賃金は、最低賃金の計算に含めることができます。
ただし、すべての手当や一時金を含められるわけではありません。
最低賃金との比較では、加算金の名称や財源ではなく、職員にどのような形で賃金が支払われているかが重要になります。
② 最低賃金の計算に含められるもの
例えば、次のような賃金です。
| 賃金の種類 | 最低賃金の計算 | 理由 |
|---|---|---|
| 基本給 | ○ 含める | 毎月支払われる基本的な賃金 |
| 毎月支給する処遇改善手当 | ○ 原則含める | 毎月定期的に支払われる賃金 |
| 職務手当 | ○ 原則含める | 通常の労働に対する賃金 |
| 資格手当 | ○ 原則含める | 毎月支払われる通常の賃金 |
| 処遇改善による賞与 | × 含めない | 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 |
| 臨時の処遇改善一時金 | × 含めない | 臨時に支払われる賃金 |
| 通勤手当 | × 含めない | 最低賃金の計算から除外 |
| 家族手当 | × 含めない | 最低賃金の計算から除外 |
| 精皆勤手当 | × 含めない | 最低賃金の計算から除外 |
| 時間外・休日・深夜労働の割増賃金 | × 原則除外 | 通常の労働時間に対する賃金ではないため |
つまり、毎月支払う処遇改善手当であれば、原則として最低賃金の計算に含められます。
ただし、毎月支払っていても、通勤手当など法令上の除外対象に該当するものは含められません。
③ 具体例
例えば、ある福祉事業所で働く職員の給与が次のとおりだったとします。
- 基本給:月額180,000円
- 処遇改善手当:月額20,000円
- 通勤手当:月額10,000円
- 1か月の所定労働時間:160時間
この場合、最低賃金の計算に含めるのは、基本給と処遇改善手当です。
180,000円+20,000円=200,000円
これを所定労働時間で割ります。
200,000円÷160時間=時給1,250円
したがって、この職員の最低賃金との比較に用いる時間額は、1,250円となります。
通勤手当10,000円は含めません。
※月給制の場合、実際には年間所定労働時間から算出した1か月平均所定労働時間を用いるのが基本です。上記は毎月160時間と仮定した例です。
④ 注意点:加算額そのものを含めるわけではありません
ここは特に重要です。
例えば、事業所が処遇改善加算として月額30万円を受け取っていても、その30万円をそのまま最低賃金の計算に含めることはできません。
最低賃金の計算対象になるのは、事業所が受け取った加算額ではなく、その加算を財源として職員に実際に支払う賃金です。
また、処遇改善加算には賃金改善額の算定や配分に関する別のルールがあります。
そのため、最低賃金を満たしていることと、処遇改善加算の賃金改善要件を満たしていることは、別々に確認する必要があります。
⑤ まとめ
福祉・介護職員等処遇改善加算による賃金改善額については、次のように整理できます。
毎月支給する処遇改善手当 → 原則として最低賃金の計算に含められる。
賞与や臨時の一時金 → 最低賃金の計算には含められない。
事業所が受け取った加算額そのもの → 最低賃金の計算には含められない。
したがって、新加算を財源として支払う賃金であっても、最低賃金法上の算入対象となる賃金であれば、最低賃金との比較に含めて差し支えありません。
ただし、処遇改善加算の算定に当たっては、最低賃金の遵守とは別に、賃金改善の実施状況や加算額の配分についても確認が必要です。
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