(Q)賃金改善の方法として、基本給等の引上げではなく、一時金の支給時期を見直して「重複期間」を活用した場合でも、ベースアップ等による改善額が賃金改善額の3分の2以上という要件を満たさなくても問題ありませんか。

(A)はい。令和6年6月の新加算への移行に伴い、賃金改善の支給時期を変更したことで「重複期間」が生じた場合は、一時金を活用することが認められています。

また、一定の条件のもとでは、賃金改善額の3分の2以上をベースアップ等に充てるという要件を満たさなくても問題ありません。

厚生労働省のQ&A(問1-8-3)に基づいて、分かりやすく説明します。

① 結論

令和6年4月・5月分の旧ベースアップ等支援加算については、支給時期の変更による重複期間に対応するため、一時金を支給した結果、3分の2以上のベースアップ等要件を満たせなくても差し支えありません。

厚生労働省のQ&Aでは、この取扱いを明確に認めています。

ただし、すべての期間について3分の2要件が免除されるわけではありません。

② 「3分の2以上の要件」とは?

旧ベースアップ等支援加算には、賃金改善額の3分の2以上を、基本給または毎月決まって支払われる手当の引上げに充てるという要件がありました。

例えば、賃金改善額が30万円の場合です。

賃金改善の方法通常の要件
基本給・毎月支払う手当の引上げ20万円以上
賞与・一時金など残り10万円以内
合計30万円

通常は、このような配分が必要でした。

しかし、今回の制度移行時には例外があります。

③ 具体例:重複期間に一時金を支給する場合

例えば、就労継続支援A型事業所で、次のように支給方法を変更した場合です。

変更前:旧3加算を2か月遅れで支給

変更後:新加算を当月払いで支給

支給月旧3加算新加算
令和6年5月3月分なし
6月4月分6月分
7月5月分7月分
8月なし8月分

この場合、6月と7月には、旧3加算と新加算の支給が重なります。

例えば、6月に次の賃金改善が必要だったとします。

  • 旧加算の4月分:10万円
  • 新加算の6月分:15万円
  • 合計:25万円

このとき、25万円すべてを基本給の引上げで対応することが難しい場合があります。

そこで、次のような支給方法が認められます。

賃金改善の方法金額
新加算による基本給等の改善15万円
旧加算による一時金の支給10万円
合計25万円

このように、新加算分は基本給等で改善し、重複する旧加算分を一時金で支給する方法が可能です。

④ 3分の2要件を満たさなくてもよい期間

ここが今回の質問で最も重要な部分です。

厚生労働省のQ&Aでは、次のように取り扱われています。

対象期間3分の2要件の取扱い
令和6年4月分重複期間への対応として満たせなくても差し支えない
令和6年5月分重複期間への対応として満たせなくても差し支えない
その他の期間この特例が当然に適用されるわけではない

つまり、令和6年4月・5月分については、重複期間の賃金改善を一時金で行った結果、3分の2以上のベースアップ等要件を満たせなくても認められるということです。

⑤ 注意点

この取扱いについて、特に注意していただきたいのは次の3点です。

① 令和6年の制度移行時に関する特例であること

現在の処遇改善加算について、いつでも3分の2要件を免除できるという意味ではありません。

② 加算額以上の賃金改善は必要であること

3分の2要件が緩和されても、必要な賃金改善額そのものが減額されるわけではありません。

③ 新加算の月額賃金改善要件は別に確認すること

旧ベースアップ等支援加算の3分の2要件に関する特例と、新加算の月額賃金改善要件は区別して考える必要があります。

⑥ まとめ

今回の質問に対する答えは、**「はい。一定の条件のもとで問題ありません」**となります。

令和6年6月の新加算への移行に伴い、支給時期を変更したことで重複期間が発生した場合、旧加算分の賃金改善に一時金を活用できます。

その結果、令和6年4月・5月分について、賃金改善額の3分の2以上をベースアップ等に充てる要件を満たせなくても差し支えありません。

ただし、これは制度移行時の限定的な取扱いであり、必要な賃金改善額の確保は引き続き必要です。

参考資料: 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(第3版)」問1-8-3

※上記は介護保険サービスに関するQ&Aです。障害福祉サービスの実務に適用する際は、障害福祉サービス向けの通知・Q&Aも併せて確認してください。

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