(Q1)テントや段ボールハウスなどで生活している人が生活保護を申請した場合、実施機関はどのような対応を取るべきですか?(Q2)就労意欲と能力があるものの失業状態にあり、各種就労対策を実施しても就労が困難と判断された場合、どのような支援が検討されますか?
(A1)はい。ホームレス状態(テント生活、段ボールハウス、公園・河川敷・駅などで寝泊まりしている人)であっても、生活保護を申請する権利があります。
実施機関(福祉事務所)は、単に「住所がない」「家がない」という理由で申請を断ることはできません。
わかりやすく言うと
① まず申請を受け付ける
- テントや段ボールハウスで生活していても申請は可能です。
- 「住民票がない」「住所がない」という理由だけで申請を拒否してはいけません。
② 現在の生活状況を確認する
- 食事は取れているか
- 病気や障害はないか
- 所持金はいくらか
- 夜はどこで寝ているか
などを確認します。
③ 緊急性が高い場合は保護を急ぐ
所持金がほとんどなく、
- 食べる物がない
- 病気で治療が必要
- 高齢者
- 障害がある
- 女性や子どもがいる
といった場合は、速やかに保護を開始する必要があります。
④ 一時的な宿泊先を確保する
住居がない場合は、
- 無料低額宿泊所
- 救護施設
- 一時生活支援事業
- ビジネスホテル等
を利用しながら生活保護を開始することがあります。
⑤ アパート入居を支援する
保護開始後は、
- 敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 火災保険料
- 引越費用(必要な場合)
などの住宅扶助が認められる場合があり、アパートへの入居支援を行います。
福祉事務所がやってはいけない対応
次のような対応は不適切です。
❌「住所がないから申請できない」
❌「まず仕事を探してから来てください」
❌「施設に入らないなら申請できない」
❌「住民票を移してから来てください」
❌「アパートを借りてから来てください」
生活保護法上、申請権は保障されており、住居がないこと自体が保護を必要とする事情だからです。
行政書士としての実務上のポイント
ホームレス状態の方の場合は、
- まず申請を受理させる
- 所持金・健康状態を確認する
- 緊急保護の必要性を主張する
- 住居確保給付金や住宅扶助の活用を検討する
- アパート入居までの支援計画を福祉事務所と協議する
という流れになります。
特に高齢者、障害者、病気のある方については、福祉事務所は居宅生活への移行も含めて支援を検討する必要があります。生活保護法では「保護は居宅で行うことが原則」とされています。したがって、テント生活だからといって長期間施設に留め置くのではなく、可能な限り住居の確保を支援することが求められます。
(A2)生活保護制度において、
**「働く意欲も能力もあるが、仕事が見つからず、ハローワーク利用や就労支援などを行っても就職が難しいと判断された場合」**は、次のような支援が検討されます。
わかりやすく言うと
「働ける人だから生活保護は受けられない」ということではありません。
本人が真面目に求職活動をしているにもかかわらず、年齢、障害、病気、地域の雇用状況などの理由で就職できない場合は、生活保護を受けながら支援を継続することになります。
主な支援内容
① 生活保護の継続
就職先が見つかるまで、最低生活費を保障するために生活保護が継続されます。
② 就労支援
ケースワーカーや就労支援員による
- ハローワークへの同行
- 求人情報の提供
- 履歴書作成支援
- 面接対策
などが行われます。
③ 障害や病気がある場合の支援
障害や病気が就労の妨げになっている場合は、
- 障害福祉サービスの利用
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型・B型
- 医療機関への受診
などが検討されます。
④ 高齢者等への支援
高齢や体力低下により一般就労が困難な場合は、
無理な就職活動を求められず、生活保護による生活維持を中心とした支援に切り替わることがあります。
まとめ
働く意思と能力があり、就職活動も行っているのに仕事が見つからない場合は、生活保護が打ち切られるのではなく、生活保護を継続しながら就労支援や福祉サービスの利用など、その人の状況に応じた支援が行われます。
つまり、
「働く努力をしているが就職できない人」は、生活保護を受けながら自立に向けた支援を受けることができます。
ということです。
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