(Q1)どのような場合に、出身世帯員と同一世帯として認定することが、その出身世帯員の自立助長を阻害すると判断され、世帯分離が認められますか?(Q2)6か月以上入院等を要する患者等の出身世帯員のうち、生活保持義務関係にない者が収入を得ている場合、同一世帯として認定することが適当かどうか、また自立を阻害するかどうかはどのように判断されますか?

(A1)生活保護では、原則として「同じ家に住み、生計を一緒にしている人」は同一世帯として認定されます。しかし、同一世帯として扱うことで本人の自立を妨げる場合には、「世帯分離」が認められることがあります。

ご質問の「出身世帯員と同一世帯として認定することが、その出身世帯員の自立助長を阻害すると判断される場合」とは、次のようなケースです。

わかりやすい例

① 就職や就学のために別の場所で生活している場合

例えば、

  • 子どもが大学進学のため下宿している
  • 職業訓練校に入所している
  • 就職のため寮に入っている

このような場合、同一世帯として扱うと学業や就職活動に支障が出るため、世帯分離が認められることがあります。


② 長期入院・施設入所中の場合

例えば、

  • 精神科病院に長期間入院している
  • 障害者支援施設に入所している
  • 特別養護老人ホームに入所している

入院・入所中の人を同一世帯として扱うよりも、独立した生活設計を支援する方が適切な場合があります。


③ 自立更生のために別々の生活管理が必要な場合

例えば、

  • DV被害者が避難している
  • 家族関係が著しく悪化している
  • アルコール依存症や薬物依存症の回復のため家族と生活を分ける必要がある

このような場合は、同一世帯として扱うことが本人の自立を妨げるため、世帯分離が認められることがあります。


④ 障害福祉施設や更生施設等に入所している場合

例えば、

  • 障害者支援施設
  • 救護施設
  • 更生施設

などに入所している人については、施設で独立した生活支援を受けているため、世帯分離が認められることがあります。


実務上のポイント

世帯分離が認められるかどうかは、

  • 本人の自立に役立つか
  • 同一世帯認定が不利益にならないか
  • 福祉事務所が個別事情を確認した結果どう判断するか

によって決まります。

単に「保護費を増やしたい」「収入認定を避けたい」という理由だけでは、世帯分離は認められません。

行政書士実務での説明例

「世帯分離とは、同居していても、その人の就学・就労・療養その他の自立を促進するために、生活保護上は別世帯として取り扱う制度です。本人の自立助長に効果があると福祉事務所が判断した場合に認められます。」

この考え方は、生活保護法の世帯単位の原則の例外として、厚生労働省の生活保護手帳別冊問答集などで示されています。実際の判断は福祉事務所が個別事情を確認して行います。

(A2)この質問は、生活保護の「世帯認定」の考え方に関するものです。

わかりやすく言うと、

「長期間入院している人の家族と一緒に生活保護を考えるべきか、それとも別世帯として考えるべきか」
という問題です。

基本的な考え方

生活保護では、通常は同じ家に住み、生計を一緒にしている人を一つの世帯として認定します。

しかし、

  • 6か月以上の入院
  • 長期入所施設への入所
  • その他長期間家を離れている場合

は、実際には生活を共にしていないため、世帯を分けて認定できる場合があります。


質問の「生活保持義務関係にない者」とは?

例えば、

  • 兄弟姉妹
  • 成人した子ども
  • その他扶養義務が弱い親族

などです。

これらの人が収入を得ていても、

その収入で入院中の本人を実際に養っていないのであれば、直ちに同一世帯とはなりません。


「同一世帯として認定することが適当かどうか」の判断

福祉事務所は次のような事情を確認します。

① 入院が長期化しているか

  • 6か月以上継続
  • 今後も退院の見込みがない

② 家計が別になっているか

  • 入院者の年金や預金は本人管理
  • 家族の給料は家族が使用

③ 家族から生活費の援助があるか

  • 毎月仕送りしている
  • 医療費や生活費を負担している

など

実際に経済的な結び付きがあるかを見ます。


「自立を阻害するかどうか」の判断

これは、

「無理に世帯を分けることで、かえって生活保護制度の趣旨に反しないか」

を判断するという意味です。

例えば、

自立阻害にならない例

  • 1年以上入院
  • 兄弟は別収入で生活
  • 仕送りなし
  • 退院予定なし

→ 世帯分離が認められやすい


自立阻害になる例

  • 退院予定が近い
  • 家族が生活費を負担している
  • 元々同じ家計で生活している

→ 世帯分離が認められにくい


実務上の結論

6か月以上入院している方について、

同居している兄弟姉妹や成人した子どもなど、生活保持義務関係のない者に収入があっても、

  • 生計が別である
  • その収入で本人を扶養していない
  • 長期入院により生活実態が分離している

のであれば、

世帯分離(別世帯認定)が認められる可能性が高い

ということになります。

根拠としては、生活保護法そのものではなく、厚生労働省の生活保護手帳別冊問答集や世帯認定に関する通知・実施要領で示されている運用です。行政書士として福祉事務所と協議する際は、

  • 入院期間
  • 退院見込み
  • 家計状況
  • 仕送りの有無

を整理して説明すると判断されやすくなります。

記事のお問い合わせ