(Q)入院期間が6か月以上である35歳の入院患者と、その母親からなる世帯について、世帯の収入が母親の受給する年金のみである場合、世帯分離を認めてよいでしょうか?また、この場合において世帯分離が自立を阻害するかどうかの認定基準はどのように考えるべきでしょうか?

(A)このケースでは、「必ず世帯分離できる」「必ずできない」というものではなく、世帯分離によって世帯全体の自立を阻害するかどうかを個別に判断します。」

結論

35歳の入院患者が6か月以上の長期入院をしており、同居していない状態で、世帯の収入が母親の年金のみである場合は、

世帯分離が認められる可能性があります。

ただし、

  • 世帯分離によって保護費が増えるだけである
  • 将来的に退院後も母親と生計を一にする見込みが高い
  • 世帯全体の自立を妨げる

と判断される場合は、世帯分離が認められないことがあります。


世帯分離とは?

生活保護では原則として同居親族は同一世帯として扱います。

しかし、

  • 長期入院
  • 長期入所
  • 施設入所
  • 長期別居

などの場合には、例外的に世帯を分けて扱うことがあります。


このケースでの判断ポイント

福祉事務所は次のような事情を確認します。

① 入院期間

6か月以上の長期入院であるか

→ 本件は6か月以上なので該当します。


② 退院の見込み

  • 近いうちに退院予定か
  • 退院後も母親と同居予定か

を確認します。

退院予定がなく長期療養であれば、世帯分離が認められやすくなります。


③ 母親の生活状況

例えば、

  • 母親の年金だけで生活している
  • 患者本人に収入がない

場合、

世帯分離をしても母親の生活に大きな支障がないか確認します。


④ 自立阻害になるか

「自立阻害」とは、

世帯分離をした結果、

  • 世帯全体の収入が不利になる
  • 自立への意欲を失わせる
  • 将来の世帯再統合を困難にする

などの場合をいいます。


実務上の考え方

今回のように

  • 患者35歳
  • 6か月以上の入院
  • 母親は年金生活
  • 患者本人に収入なし

であれば、

通常は

「長期入院による世帯分離の検討対象」

となります。

そして、

  • 退院の目途がない
  • 別々に生活実態がある

のであれば、

世帯分離を認めても自立阻害にはならないと判断されることが多いです。


行政書士としての実務的な説明

福祉事務所に対しては、

「本人は6か月以上継続して入院しており、退院時期も未定である。現在は母親とは別に生活実態が存在しており、母親は年金により生計を維持している。世帯分離を行っても世帯の自立を阻害する事情はなく、むしろ適切な保護実施のため世帯分離が相当である。」

という形で説明するとよいでしょう。

なお、実際には入院の理由(精神科・一般病院等)、退院見込みの有無、母親の年齢や年金額などによって判断が変わるため、ケースワーカーは個別事情を確認したうえで決定します。

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