(Q1)自宅から通勤している被保護世帯出身の子どもについて、世帯分離の取扱いは認められるのでしょうか?また、どのような場合に世帯分離が可能となりますか?(Q2)同一世帯にいる20歳未満の者が稼働収入を得ている場合、どのような特別な控除や配慮が設けられていますか?
(A1)はい。自宅から通勤している被保護世帯の子どもであっても、一定の場合には世帯分離が認められます。
世帯分離とは?
生活保護では通常、同じ家に住んでいる家族は「同一世帯」として扱われます。
しかし、家族の中に就職して収入を得ている人がいる場合、その人を生活保護世帯から切り離して取り扱うことを「世帯分離」といいます。
自宅から通勤している場合でも世帯分離できる?
原則
自宅から通勤しているだけでは、直ちに世帯分離にはなりません。
ただし、次のような事情がある場合には世帯分離が認められることがあります。
① 就職して経済的に自立している場合
例えば、
- 高校卒業後に就職した
- 給与収入で自分の生活費を賄える
- 将来的に独立が見込まれる
このような場合は、生活保護世帯から分離して取り扱うことがあります。
② 就労収入が世帯の保護費に大きく影響し、就労意欲を阻害する場合
例えば、
- 子どもが働いているが、その収入が全て世帯収入として認定される
- 本人の勤労意欲や自立更生を促す必要がある
このような場合に世帯分離が認められることがあります。
③ 技能習得や将来の自立を目的としている場合
例えば、
- 職業訓練を受けながら働いている
- 将来の独立資金を貯めている
など、自立助長の観点から世帯分離が認められることがあります。
世帯分離が認められた場合どうなる?
世帯分離された子どもは、
- 保護費の計算対象から外れる
- 給与収入が世帯の収入認定対象にならない
- 自分の収入で生活することになる
一方で、
- 医療扶助
- 住宅扶助
- 生活扶助
などの保護は原則受けられなくなります。
行政書士実務でのポイント
ケースワーカーは次の点を確認します。
- 年齢
- 就労状況
- 収入額
- 家庭への生活費負担状況
- 将来の独立見込み
- 自立更生の必要性
そのため、世帯分離を希望する場合は、
「本人は就労により自立を目指しており、将来的な独立のために収入を管理したい」
という事情を整理して福祉事務所へ説明することが重要です。
具体例
- 18歳で高校卒業後に正社員として就職 → 世帯分離が認められることが多い
- アルバイト収入のみで家計への依存が大きい → 世帯分離が認められないことが多い
- 自宅から通勤していても安定した収入があり自立が見込まれる → 世帯分離が認められる可能性あり
したがって、「自宅から通勤しているかどうか」ではなく、「就労による自立が認められるかどうか」が世帯分離の判断ポイントになります。
(A2)わかりやすく言うと、
生活保護世帯の中にいる20歳未満の子ども(高校生など)がアルバイトをした場合は、通常の勤労控除に加えて「20歳未満控除(未成年者控除)」という特別な控除が受けられます。
具体的には?
例えば高校生がアルバイトで月5万円稼いだ場合、
- 通常の「基礎控除(勤労控除)」
- 「20歳未満控除(月額11,600円)」
の両方が適用されます。
そのため、
アルバイト代の全額が生活保護費から差し引かれるわけではなく、一定額は本人の手元に残せるよう配慮されています。
なぜこの制度があるの?
厚生労働省は、
- 未成年者の就労意欲を高めること
- 進学や自立に向けた準備を支援すること
- 将来の自立を促進すること
を目的として、この控除を設けています。
さらに認められることがある
高校生のアルバイト収入については、
- 大学・専門学校の入学金
- 受験費用
- 学習塾費用
- 自動車運転免許取得費用
- 修学旅行積立金
など、将来の進学や自立のための目的がある場合には、一定の範囲で貯蓄が認められることがあります。
行政書士試験・実務での説明例
「生活保護世帯の高校生等(20歳未満)がアルバイトをした場合は、通常の勤労控除に加えて月額11,600円の20歳未満控除が適用されます。そのため収入の一部は収入認定されず、進学や将来の自立のために活用できるよう配慮されています。」
生活保護申請同行の際にお客様へ説明するのであれば、
「高校生がバイトをしても全部が保護費から引かれるわけではありません。将来の進学や自立のために使えるよう特別な控除があります。」
と説明すると非常にわかりやすいです。
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