(Q1)専門的支援実施計画について、具体的にどのような項目を記載することが求められますか?(Q2)専門的支援実施計画は、個別支援計画と一体的に作成することができますか?その際の留意点は何ですか?

(A1)結論

専門的支援実施計画には、こども家庭庁のQ&A上、少なくとも次の内容を記載することが想定されています。

  • 専門職によるアセスメントの結果
  • 5領域との関係の中で、特に支援が必要な領域
  • 専門的支援によって目指す達成目標
  • 目標を達成するための具体的な支援内容
  • 支援の実施方法

また、これらに限らず、その児童のニーズに応じて必要な項目を追加し、実際の支援に使える具体的な計画にすることが求められます。

① 専門職によるアセスメント結果

まず、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理職などの専門職が、その児童の状態を評価した結果を書きます。

例えば、

「姿勢保持が不安定で、座位を長く保つことが難しい」

「発音が不明瞭で、自分の要求を言葉で伝えにくい」

「感覚過敏があり、大きな音のある環境では活動への参加が難しい」

などです。

単に「発達が遅れている」と書くのではなく、専門職の視点から具体的な状態を記載することが大切です。

② 5領域のうち、特に支援が必要な領域

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、本人支援を次の5領域との関連で整理します。

5領域具体例
健康・生活睡眠、食事、生活習慣、身辺自立
運動・感覚姿勢、歩行、手先の動き、感覚調整
認知・行動注意、理解、行動調整
言語・コミュニケーション発語、意思表示、会話
人間関係・社会性他者との関わり、集団参加

専門的支援実施計画では、この中から、特に専門的支援が必要な領域を明確にします。

例えば、作業療法士による支援なら、

主な領域:運動・感覚
関連領域:健康・生活、人間関係・社会性

というように整理できます。

③ 専門的支援による達成目標

「何ができるようになることを目指すのか」を具体的に設定します。

例えば、

×「運動能力を向上させる」

だけでは抽象的です。

〇「両足で10秒程度立位を保持し、自分でズボンを上げられるようになる」

〇「身振りや2語文を使って、自分の要求を職員へ伝えられるようになる」

というように、児童の変化が分かる目標にします。

④ 具体的な支援内容

目標達成のため、専門職が実際に何をするのかを書きます。

例えば作業療法士の場合、

「バランス遊具を使い、姿勢保持や重心移動を練習する」

言語聴覚士の場合、

「絵カードを用いて要求場面を設定し、身振り・発語による意思表示を促す」

心理職の場合、

「視覚的なスケジュールを用い、活動の見通しを持てるよう支援する」

などです。

誰が読んでも、どのような専門的支援を行うのか分かる程度に具体的に書くことが重要です。

⑤ 支援の実施方法

「どのように支援するのか」も記載します。

例えば、

  • 個別支援で実施する
  • 小集団で実施する
  • 週1回実施する
  • 月4回実施する
  • 1回30分程度実施する
  • 作業療法士が担当する

などです。

専門的支援は個別実施を基本としつつ、児童ごとのニーズが確保される場合は、5名程度までの小集団で行うことも可能とされています。

個別支援計画との関係も重要

専門的支援実施計画は、個別支援計画を踏まえて作成します。

例えば個別支援計画に、

「自分の気持ちを言葉や身振りで伝えられるようになる」

という目標があれば、専門的支援実施計画では、

「言語聴覚士が発語・意思表示を評価し、絵カードや模倣課題を用いた個別支援を週1回実施する」

というように、より専門的・具体的に落とし込みます。

個別支援計画にも、専門的支援実施加算を行うことや、その計画との関連性を記載することが求められています。

別々に作成する必要があります

ここは重要です。

専門的支援実施計画は、個別支援計画とは別に作成する必要があります。

一体化して1枚だけにするのではなく、個別支援計画を踏まえて、専門職が児童ごとの専門的支援実施計画を別途作成します。

さらに、事前に給付決定保護者へ説明し、同意を得ることも必要です。

記載例

例えば、作業療法士による専門的支援なら、次のように整理できます。

アセスメント結果
姿勢保持が不安定で、椅子に座って活動できる時間が短い。手先の操作にもぎこちなさがみられる。

特に支援を要する5領域
運動・感覚、健康・生活

達成目標
安定した座位姿勢で10分程度机上活動に取り組めるようになる。

具体的な支援内容
バランス遊具や体幹を使う遊びを取り入れ、姿勢保持能力を高める。机上活動では姿勢を保持しやすい椅子・机の高さを調整する。

実施方法
作業療法士による個別支援を週1回、30分程度実施する。

このように、アセスメント → 課題 → 目標 → 支援内容 → 実施方法がつながっている計画にすると分かりやすくなります。

まとめ

専門的支援実施計画は、

「専門職が児童をどう評価し、何を課題と考え、何を目標として、どのような専門的支援を行うのか」を具体的に示す計画

です。

特に重要なのは、5領域との関連性を明確にし、個別支援計画と整合させ、実際の支援方法まで具体的に記載することです。専門的支援実施計画は個別支援計画とは別に作成し、保護者の同意を得る必要があります。

(A2)結論

はい、できます。

専門的支援実施計画は、個別支援計画と一体的に作成しても差し支えありません。

ただし、専門的支援実施計画として必要な内容が明確に区別して記載されていることが条件です。


一体的に作成する場合の留意点

個別支援計画の中に専門的支援実施計画を組み込む場合でも、次の内容が分かるように記載する必要があります。

  • 専門職によるアセスメントの結果
  • 5領域との関係の中で、特に支援が必要な領域
  • 専門的支援で目指す達成目標
  • 具体的な専門的支援の内容
  • 支援の実施方法(担当専門職、頻度、実施方法など)

これらが明確に記載されていれば、別紙を作成しなくても構いません。


一体的に作成するメリット

一体的に作成すると、

  • 個別支援計画との整合性が取りやすい
  • 目標と専門的支援のつながりが分かりやすい
  • 書類管理がしやすい

というメリットがあります。


注意するポイント

一体的に作成する場合でも、次の点には注意が必要です。

① 専門的支援の部分を明確にする

個別支援計画の中で、

  • 「専門的支援」
  • 「専門職による支援」

などの見出しを設けるなどして、通常の支援内容と区別できるようにします。


② 専門職が作成する

専門的支援実施計画は、

  • 理学療法士(PT)
  • 作業療法士(OT)
  • 言語聴覚士(ST)
  • 公認心理師・臨床心理士など

実際に専門的支援を提供する専門職が作成することが必要です。


③ 個別支援計画との整合性を保つ

専門的支援の目標は、

個別支援計画の目標を達成するための専門的な支援

として位置付けます。

例えば、

個別支援計画

「自分の気持ちを言葉で伝えられるようになる」

専門的支援実施計画

「言語聴覚士が週1回、絵カードや発語訓練を実施し、意思表示の方法を増やす」

というように、内容がつながっていることが大切です。


④ 保護者へ説明し同意を得る

専門的支援実施計画を一体的に作成した場合でも、

  • 保護者へ内容を説明すること
  • 保護者の同意を得ること

は必要です。


記載イメージ

例えば、個別支援計画の中に次のような項目を設ける方法が考えられます。

【専門的支援実施計画】

アセスメント

  • 姿勢保持が不安定で、机上活動が続きにくい。

重点5領域

  • 運動・感覚

目標

  • 安定した姿勢で10分間活動できる。

専門的支援内容

  • 作業療法士による体幹トレーニング、姿勢保持訓練を週1回実施。

実施方法

  • 個別支援30分、担当:作業療法士

このように、専門的支援の内容が独立して分かるように記載します。


まとめ

専門的支援実施計画は、個別支援計画と一体的に作成することが可能です。

ただし、

  • 専門的支援の内容が明確に区別されていること
  • 必要事項(アセスメント、5領域、目標、支援内容、実施方法)が記載されていること
  • 専門職が作成し、個別支援計画との整合性を保つこと
  • 保護者へ説明し、同意を得ること

が重要です。これらの点を満たしていれば、一体的な様式でも制度上問題ありません。

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