(Q)Aさんが福祉事務所で生活保護の申請をしようとした際、窓口の職員から「まず自分で住居を見つけて、その住居を確保してから申請するか、もしくはホームレス自立支援施設に入所するかを選択してください」と言われ、申請を受け付けてもらえなかったそうです。この対応は適切でしょうか?

(A)この対応は、原則として適切ではありません。

生活保護を申請したいという意思が明確に示されているのに、福祉事務所が、

「先に自分で住居を見つけてください」
「ホームレス自立支援施設に入るなら申請を受け付けます」

などと、住居の確保や施設入所を申請受付の条件にすることはできません。 厚生労働省の実施要領では、保護の申請意思が確認された人には、速やかに申請書を交付して申請手続について助言することとされています。

特に重要なのは、生活保護は「住居がある人だけ」が申請できる制度ではないという点です。住居がない人、ネットカフェや知人宅を転々としている人、病院を退院して帰る場所がない人なども生活保護を申請できます。

むしろ厚労省通知では、保護開始時に安定した住居がない要保護者について、居宅生活が可能と認められる場合には、生活保護開始後の住宅確保に必要な敷金等を一定の範囲で認定できることが明確にされています。つまり制度上も、「住居を確保してから生活保護を申請する」のではなく、生活保護を開始したうえで住居確保を支援することが想定されています。

例えば、Aさんが退院予定で、

「収入も預貯金もほとんどない」
「帰る家がない」
「一人でアパート生活はできる」

という状態なら、福祉事務所はまず生活保護の申請を受け付け、保護の要否を調査したうえで、必要であればアパート探しや敷金等の住宅扶助について検討することになります。

一方、Aさんが一人での居宅生活が困難で、日常生活上の支援が必要な場合には、ホームレス自立支援施設、日常生活支援住居施設、救護施設などの利用を選択肢として提案すること自体は問題ありません。

しかし、

「施設に入らなければ生活保護を申請できない」

という扱いは別問題です。施設利用を案内することと、生活保護申請を受け付けることは分けて考える必要があります。

厚労省も、相談段階で必要な説明や資料提出を求めること自体は認めていますが、例えば「必要書類を全部そろえてからでないと申請を受け付けない」という対応は適切でないと明示しています。同じ考え方から、住居確保などを事実上の申請条件にして申請を断念させることは、申請権を侵害するおそれがあります。

したがって今回のケースは、

Aさんが「生活保護を申請したい」と明確に申し出ている
→ 福祉事務所は原則として申請を受け付ける
→ その後、保護の要否と居宅生活が可能かを調査する
→ 居宅生活可能なら住宅確保・敷金等を支援
→ 居宅生活が難しければ施設利用等も含めて支援方法を検討する

という順番が適切です。

要するに、「家を見つけてから来てください」「施設に入らないなら申請できません」として生活保護申請自体を受け付けないのは原則として不適切であり、まず申請を受理したうえで、住居確保や施設利用を含めた支援方法を判断するべき、ということです。

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