(Q)父の遺産は不動産と預貯金があります。預貯金の分け方は決まりましたが、不動産の分割で話し合いがまとまっていません。
この場合、相続税を払うために「預貯金だけ先に分ける」ことは可能でしょうか?
また、相続税の申告期限までに遺産分割協議書が完成しないときは、どう対応すればよいのでしょうか?
(A)① 預貯金だけ先に分けることは可能?
結論:可能です。
相続財産は本来すべてを対象に遺産分割協議を行いますが、
預貯金については以下の理由から不動産より先に分けることが認められています。
- 相続税の納税資金が必要
- 相続人全員の合意があれば、預貯金のみ先行して分割できる
- 銀行でも「相続人全員の同意書(または遺産分割協議書)」があれば払い戻しに応じる
つまり、不動産の話し合いがまとまっていなくても、預貯金を相続税納付用として先に分割・払い戻すことは可能です。
※ただし、後日の紛争を防ぐため、
「不動産以外の預貯金については、この内容で先行分割する」
という部分的な遺産分割協議書を作成しておくと安全です。
② 相続税の申告期限までに遺産分割が終わらない場合は?
結論:「未分割のまま申告」できます。
相続税は「死亡後10か月以内」が申告・納付期限ですが、
話し合いがまとまらないケースは多いため、法律上次の対応が認められています。
▼対応方法
- 未分割のまま相続税を申告する(仮申告)
- 遺産が確定した後、更正の請求(または申告の修正)」で最終的な税額を調整する
▼注意点(配偶者控除・小規模宅地の特例が使えない)
未分割申告の場合、
- 配偶者の税額軽減
- 小規模宅地等の特例
などの大きな税額控除が原則使えません。
ただし、後日遺産分割がまとまれば、
「申告期限後3年以内の分割」であれば特例を使えるので、差額が戻ってきます。
■まとめ
特例は申告期限後3年以内に分割がまとまれば適用される
預貯金だけ先に分けることは可能(全員合意が条件)
不動産の分割がまとまらなくても、相続税のための預貯金払い戻しはできる
遺産分割が期限内に終わらなければ、未分割で申告し、後から調整が可能