(Q)1.父が亡くなり、母・私・妹で遺産分割をしたいのですが、母は認知症が進んでいて判断能力がありません。この状態で遺産分割協議はできるのでしょうか?

2.夫が亡くなり、私と2歳の子供で遺産分割をしたいのですが、親である私が子供を代表して協議に参加してもよいのでしょうか?

(A)① 認知症の母がいる場合の遺産分割協議はできる?

結論:そのままでは遺産分割協議はできません。
遺産分割協議には本人の判断能力が必要ですが、認知症が進行し、誰が誰か分からない・内容を理解できない状態では、「法律行為をする能力(意思能力)」がないとみなされます。

そのため、

▶ 家庭裁判所で「成年後見人」を選任してもらう必要があります。

成年後見人は、

  • 遺産分割協議への参加
  • 遺産の取得・名義変更
    など、法的手続きを代わりに行うことができます。

成年後見申立ての流れ(簡単)

  1. 家庭裁判所へ申立
  2. 鑑定(必要な場合)
  3. 後見人の選任
  4. 後見人が遺産分割協議に参加

② 夫が亡くなり、母と2歳の子だけが相続人の場合、母が子を代表して協議できる?

結論:そのままではできません。
母親は通常、子どもの法定代理人(親権者)ですが、

遺産分割では「利益が衝突する」ため、親が子を代理することができません。

なぜなら、

  • 母は自分自身も相続人
  • 子も相続人
    取り分が対立する可能性があるため、母が子を代理すると「自分に有利にしようとする」利益相反の状況

そこで必要になるのが、

▶ 家庭裁判所で「特別代理人」の選任申立てを行うこと

特別代理人が代わりに子どもの立場で遺産分割協議を行います。

流れ(簡単)

  1. 家庭裁判所に「特別代理人選任申立て」
  2. 裁判所で審査
  3. 特別代理人が選ばれる
  4. 特別代理人が遺産分割協議に署名・押印

まとめ(行政書士として説明する際のポイント)

相談内容そのまま協議できる?必要な手続き
認知症の母がいる× 不可成年後見人の選任
子(未成年)が相続人で親も相続人× 不可特別代理人の選任

いずれも、家庭裁判所を通じた手続きが必要となります。