(Q)夫が亡くなり、私と3人の子どもが相続人ですが、そのうち長男が行方不明の状態です。夫名義の不動産や預金について、長男が不在のままでも遺産分割は進められるのでしょうか?
(A)■ 質問
夫が亡くなり、相続人は「妻(質問者)」と「3人の子ども」。
ただし 長男が行方不明。
この状態で、夫名義の不動産や預金について 遺産分割は進められるか?
■ 回答
結論からいうと、長男が行方不明のままでは遺産分割を進めることはできませんが、一定の手続きを取れば遺産分割を進めることは可能です。
相続人全員の参加が必須だからです(民法)。
ただし、「行方不明者がいても代わりに手続きを進められる制度」が用意されています。
■ 遺産分割を進めるために必要な手続き
行方不明の状況に応じて、取るべき手続きが2つあります。
① 不在者財産管理人の選任(家庭裁判所)
長男が「生死不明ではないが、居場所がわからない」という場合に使います。
● 内容
家庭裁判所に申立てをして、行方不明の長男の代わりに
財産を管理し、遺産分割協議に参加できる代理人
(=不在者財産管理人)を選んでもらう制度です。
● ポイント
- 遺産分割協議には不在者財産管理人が参加できる
- 管理人は公平な立場から、行方不明者の利益を守りつつ協議に署名する
- 家庭裁判所の許可を得て遺産分割を進めることになる
- 管理人は弁護士が選ばれることが多い
→ これで遺産分割が可能になります。
② 失踪宣告(7年間不明・事故等で生死不明なら1年)
長男が 7年以上消息不明 の場合は、「失踪宣告」を家庭裁判所に申立てできます。
● 内容
裁判所が「死亡したものとみなす」という判断を下す制度。
● ポイント
- 失踪宣告が確定すると、長男は“法律上死亡した扱い”
- 他の相続人(妻と残り2人の子)だけで遺産分割できる
- 財産は長男の子(孫)などに相続権が移る場合もある
■ 実務的な判断ポイント
以下のように整理します。
● 長男の消息不明期間が短い
→ 不在者財産管理人の選任
(最も現実的な方法)
● 長男が7年以上行方不明
→ 失踪宣告も検討
● 家族だけの判断では難しい
→ 行方不明期間、相続財産の種類、家族構成により最適な方法が変わるため
専門家(行政書士・弁護士)への相談を推奨
■ まとめ
行方不明の相続人がいても、次の制度を使えば遺産分割は進められます。
- 不在者財産管理人の選任(家庭裁判所)
- 失踪宣告(7年以上行方不明の場合)
どちらも家庭裁判所の手続きが必要ですが、適切に進めることで
不動産の名義変更・預金の解約なども可能になります。