(Q1)田畑の保有限度を決定する際、「当該地域の農家の平均耕作面積」はどの程度を基準とすべきでしょうか?(Q2)田畑の保有限度を評価する際、小作地も平均耕作面積に含めて考えるべきでしょうか?

(A1)「当該地域の農家の平均耕作面積」について、全国一律に○アール、○ヘクタールという固定基準が定められているわけではありません。

その農地が所在する地域の農業実態を調べ、地域の平均的な耕作規模を一つの目安として、世帯の労働力や実際の利用状況なども合わせて個別に判断します。

厚生労働省の生活保護実施要領では、田畑の保有について、次の条件が示されています。

当該地域の農家の平均耕作面積、当該世帯の稼働人員等から判断して適当と認められるものであること。

「当該地域」とはどの範囲か

必ずしも都道府県全体や市全体の平均をそのまま使うわけではありません。

農業条件が似ている範囲、例えば、

  • 同じ市町村
  • 同じ旧村・集落
  • 同じ農業地域
  • 平地、山間地、都市近郊など条件の近い地域
  • 同じ作物を栽培する農家の地域

などを基準にするのが適切です。

例えば、市内でも平地の水田地帯と山間部の畑作地帯では、平均耕作面積が大きく異なることがあります。そのため、市全体の単純平均だけで判断すると、実情に合わない可能性があります。

平均面積と同じなら必ず保有できるのか

平均耕作面積以下であっても、必ず保有が認められるわけではありません。

福祉事務所は、平均面積に加えて、次の事情を確認します。

  • 世帯員の人数と農作業ができる人数
  • 年齢、健康状態、農作業能力
  • 現在、実際に耕作しているか
  • 農業収入がどの程度あるか
  • 農地が一か所にまとまっているか
  • 農業機械を使用できるか
  • 今後も耕作を継続できる見込みがあるか
  • 売却価値が利用価値より著しく高くないか

したがって、地域平均が50アールで、本人も50アールを所有している場合でも、高齢や病気で全く耕作できなければ、面積だけを理由に保有が認められるとは限りません。

反対に、平均より多少広くても、世帯に複数の農業従事者がおり、現に効率よく耕作し、世帯収入に大きく貢献している場合には、直ちに超過部分の処分が必要とは限りません。

どの資料で確認するのか

実務上は、次のような資料を参考にします。

  • 農林業センサス
  • 市町村や農業委員会の農業統計
  • 地域の経営耕地面積に関する資料
  • 農業委員会からの意見
  • 農業協同組合などの地域資料
  • 申請世帯の営農計画、収支、耕作状況

この場合の「平均」は、統計上の数字を機械的に当てはめるものではなく、その地域で通常の農家がどの程度の土地を耕作しているかを把握するための目安です。

具体例

地域の農家の平均耕作面積が60アールで、申請世帯が50アールを所有し、夫婦とも現に耕作して農業収入を得ている場合は、面積としては保有が認められやすいと考えられます。

一方、地域平均が60アールであっても、申請者が高齢で寝たきりとなり、家族も耕作せず、農地が長期間放置されている場合は、貸付けや売却による活用が検討されます。

また、地域平均以内であっても、都市開発によって農地の売却価格が著しく高くなっている場合は、処分価値が利用価値を大きく上回るとして、保有が認められない可能性があります。実施要領も、処分価値が利用価値に比べて著しく大きい田畑を保有承認の例外としています。

まとめ

田畑の保有限度は、地域平均をそのまま上限面積とするのではなく、

地域の平均耕作面積を目安に、世帯の稼働人員、耕作能力、農業収入、将来の営農見込み、土地の処分価値などを総合的に判断する

という取扱いです。

したがって、「地域平均が50アールだから、50アールまでは必ず保有できる」という機械的な基準ではありません。地域の実情と、その世帯が実際に耕作・活用できる面積が、保有を認める範囲になります。

(A2)。田畑の保有限度を判断する際は、自分が所有して耕作する「自作地」だけでなく、他人から借りて耕作している「小作地」も含めて考えます。

つまり、基準となるのは、所有面積ではなく、その農家が実際に耕作している全体の面積です。

具体例

ある世帯が、

  • 自分で所有する農地:40アール
  • 他人から借りている小作地:30アール

を耕作している場合、耕作面積は合計で70アールとして判断します。

仮に、その地域の農家の平均耕作面積が60アール程度であれば、所有地40アールだけを見て「平均以下だから全部保有できる」と判断するのではなく、小作地を含めた70アールを基準に、適正な規模かどうかを検討します。

なぜ小作地も含めるのか

生活保護上、田畑の保有を認める目的は、農業によって収入を得て、世帯の自立に役立てるためです。

そのため、重要なのは土地を何アール所有しているかだけではなく、

  • 世帯が実際に何アール耕作しているか
  • 世帯員の労働力で耕作できる規模か
  • その耕作によってどの程度の収入を得られるか

という農業経営全体の実態です。

生活保護問答集でも、地域の平均耕作面積と保有限度は、自作地・小作地を含めて判断するとされています。

平均面積を超えれば、直ちに所有地を処分するのか

小作地を含めた耕作面積が地域平均を超えても、直ちに所有農地の処分を求めるという意味ではありません。

福祉事務所は、さらに次の事情を確認します。

  • 専業農家か兼業農家か
  • 農作業ができる世帯員の人数
  • 年齢や健康状態
  • 栽培している作物
  • 農業機械の有無
  • 実際の農業収入
  • 将来の営農見込み
  • 所有農地の売却価値

例えば、地域平均を多少超えていても、複数の世帯員が現に耕作し、農業収入が世帯の自立に大きく役立っている場合は、その事情を考慮して判断されます。

反対に、地域平均以内でも、高齢や病気で耕作できず、農業収入も見込めない場合は、貸付けや売却などによる活用を求められる可能性があります。

まとめ

田畑の保有限度を評価するときは、

所有している自作地+借りて耕作している小作地

を合計した耕作面積で判断します。

ただし、地域平均は機械的な上限ではありません。小作地を含む全耕作面積に加えて、専業・兼業の別、世帯の労働力、農業収入、実際の営農状況などを総合的に見て、所有農地を保有させることが適当かどうかを判断します。

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