(Q3)高齢者夫婦が畑を所有したまま生活保護を申請した場合、畑の所有を継続したまま保護を受けることは認められるのでしょうか?
(A3)高齢者夫婦が畑を所有していても、一定の条件を満たせば、畑を所有したまま生活保護を受けられる場合があります。
ただし、高齢や老衰によって夫婦とも農作業ができず、今後も耕作を再開する見込みがない場合は、原則として、畑の売却や貸付けによる活用を求められる可能性が高くなります。
生活保護では、利用できる資産を生活維持のために活用することが原則だからです。
畑の保有が認められる条件
厚生労働省の実施要領では、田畑について、次の条件をどちらも満たす場合は保有を認めるとしています。
- 地域の平均耕作面積や世帯の働ける人数から見て、適当な規模であること
- 世帯員が現在耕作しているか、世帯員または将来世帯員となる人が、おおむね3年以内に耕作し、世帯収入の増加に大きく役立つ見込みがあること
ただし、売却した場合の価値が、農地として利用する価値より著しく高い場合は、これらの条件を満たしても保有が認められないことがあります。
高齢者夫婦が耕作できない場合
夫婦が老衰などにより農作業をできず、今後も再開できる見込みがない場合は、通常、上記の「現に耕作している」「おおむね3年以内に耕作する」という条件を満たしません。
そのため、福祉事務所は次の方法を検討するよう求めることがあります。
- 他の農家に貸して小作料を得る
- 農地として売却する
- 転用可能な土地であれば、転用を前提とした売却を検討する
- 農地中間管理機構などを利用する
資産の活用は売却が原則ですが、売却が難しい場合には、貸付けによって収益を得る方法も検討するとされています。
貸付けができる場合
他の農家に畑を貸し、小作料を受け取れる場合は、直ちに売却せず、貸付けによる活用が認められる可能性があります。
ただし、受け取った小作料は、必要経費を除き、原則として生活保護上の収入として認定されます。
例えば、小作料が月5,000円であれば、原則としてその金額を収入として申告し、最低生活費との差額が保護費として支給されます。
売却を求められやすい場合
次のような場合は、畑の処分を求められる可能性が高くなります。
- 夫婦とも耕作できず、家族が耕作する予定もない
- 貸付けによる収益が少なく、売却価値が高い
- 都市近郊で、宅地や事業用地として高く売れる可能性がある
- 買主がいて、農地法上の手続を経れば売却できる
- 畑を保有することが生活維持や自立に役立っていない
特に、処分価値が農地としての利用価値より著しく高い場合は、小規模な畑であっても保有が認められない可能性があります。
売却できない場合
農業委員会や不動産業者に相談しても、
- 買主や借主が見つからない
- 農地法上の許可が得られない
- 転用できない
- 売却費用が売却代金を上回る
- 権利関係が複雑で処分できない
という場合は、処分することができない、または処分が著しく困難な資産として、当面の保有が認められる可能性があります。
この場合でも、「売れないと思う」という本人の説明だけでは足りません。農業委員会への相談記録、査定書、買主・借主を探した記録などが重要です。
売却まで生活できない場合
畑を処分すべきと判断されても、売却までに時間がかかり、その間の生活費がない場合は、畑を持っているという理由だけで生活保護の申請を拒否されるわけではありません。
先に保護を開始し、後日売却代金を得た際に、支給済みの保護費について生活保護法第63条による返還を求められる場合があります。
まとめ
高齢者夫婦が畑を所有したまま生活保護を受けられるかは、次のように判断されます。
| 畑の状況 | 取扱いの可能性 |
|---|---|
| 現在耕作している | 保有が認められる可能性がある |
| 3年以内に家族等が耕作し、収入増加が見込まれる | 保有が認められる可能性がある |
| 他の農家に貸して収益を得られる | 貸付けによる活用を検討 |
| 高齢で今後も耕作できず、売却可能 | 原則として売却を求められる可能性が高い |
| 売却価値が非常に高い | 保有が認められにくい |
| 客観的に売却・貸付けが困難 | 当面の保有が認められる可能性がある |
したがって、高齢者だから当然に畑を保有できるわけではありませんが、畑が現実に処分できない場合や、貸付けによる活用が適切な場合には、所有を続けながら保護を受けられる余地があります。
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