(Q)父が亡くなり、不動産や預貯金が遺産として残りました。私は長男で、生前に父から自筆の遺言書を託されていたため、検認手続きを終えました。しかし、その内容が「全財産を長男に任せる」というだけだったので、法務局や銀行からは相続手続きに使えないと言われてしまいました。このような遺言だと無効になってしまうのでしょうか?
(A)自筆証書遺言には、法律で定められた記載事項や形式があり、それを満たさないと相続手続きに使えない場合があります。
今回のように「全財産を長男に任せる」という記載だけでは、
- どの財産を誰に相続させるのか(財産の特定)
- 遺言者自身の意思内容が明確かどうか
- 遺言の方式(全文・日付・署名・押印など)が守られているか
が不十分と判断されることがあります。
とくに、不動産を相続させる場合には「所在・地番・面積」など、預貯金なら「銀行名・支店名・口座番号」など、一定の特定が必要です。
また「任せる」という表現だけでは「相続させる」「遺贈する」といった法的効果が明確でないと解釈されるおそれがあります。
そのため、遺言書自体が完全に無効とは限りませんが、相続手続きに使用するには内容が不明確で、補正が難しい場合は結果として使えないという扱いになります。
ではどうするか?
以下の方法が考えられます。
家庭裁判所に遺言解釈に関する調停などを申し立てる
遺言の意味を裁判所に判断してもらうことも可能です。
相続人全員で遺産分割協議を行う
遺言書を参考にしつつ、全員の合意で遺産の分け方を決める方法です。