(Q)私の父は95歳で亡くなりましたが、その前に「財産はすべて後妻に相続させる」という自筆証書遺言を残していました。
相続人は後妻と、先妻との子である私の2人です。
ただし、父がその遺言を書いた時には、すでに認知症があり老人ホームに入っていました。
そのため、この遺言書の効力に問題はないのでしょうか?

(A)ご相談のケースでは、お父様が自筆証書遺言を作成された当時、すでに認知症を患い老人ホームで生活されていたとのことですが、遺言の効力が認められるためには「遺言能力」があったかどうかが重要な争点となります。

民法では、遺言をするには判断能力が必要とされており、認知症があるというだけで自動的に遺言が無効になるわけではありません。しかし、認知症の進行度によっては、遺言内容を理解して判断する能力が欠けていたと評価される可能性があります。

特に、
・遺言作成時の医療記録(診断書・カルテ)
・介護施設での記録(日常生活の状況など)
・遺言書の日付や署名内容の不自然さ
などが、遺言能力の有無を判断する重要な証拠になります。

もし遺言能力がなかったと認められれば、その遺言は無効と主張することができます。また、仮に遺言が有効と判断されたとしても、相続人であるご相談者には「遺留分」という最低限の取り分を主張できる制度がありますので、すべての財産を後妻に相続させる内容であっても、一定割合の財産を請求することは可能です。

まずは医療記録や当時の状況を確認し、遺言能力の有無を検討することが必要となります。遺留分侵害額請求や遺言無効確認の手続きなど、必要に応じて法的な対応を進めていくことが考えられますので、お早めに専門家へご相談されることをお勧めいたします。