(Q1)集中的支援加算(II)(居住支援活用型)を算定する場合、どのような条件や手続きが必要ですか?(Q2)利用者が既に利用していたサービスの支給決定は、集中的支援加算(II)を算定する際にどのように取り扱われますか?
(A1)集中的支援加算(Ⅱ)(居住支援活用型)は、強度行動障害の状態が非常に悪化し、現在の事業所や住居での生活を一時的に続けることが難しい利用者を、別の専門的な施設等で受け入れて集中的に支援した場合に算定する加算です。
算定額は1日500単位で、算定期間は原則3か月以内です。
1.対象となる利用者
次の両方を満たす必要があります。
点数の基準
- 成人:行動関連項目が10点以上
- 障害児:強度行動障害判定表が20点以上
成人については、障害支援区分そのものは問われません。
状態の基準
点数だけでは算定できません。
自傷、他害、物を壊す行動などが非常に激しくなり、
現在利用している障害福祉サービスや生活の維持が難しく、居住場所を一時的に移して専門的な支援を行う必要がある
と判断されることが必要です。
2.受け入れる事業所の条件
加算を算定できるのは、都道府県等があらかじめ選定・登録した、次のいずれかの施設・事業所です。
- 指定短期入所事業所
- 指定障害者支援施設
- 指定共同生活援助事業所
- 指定障害児入所施設
単に空き部屋がある事業所ではなく、強度行動障害のある利用者に集中的な支援を提供できる体制を備え、都道府県等の名簿に登録されていることが必要です。
さらに、原則として次の条件を満たします。
- 施設入所支援では、重度障害者支援加算(Ⅱ)または(Ⅲ)を算定できる体制がある
- 共同生活援助・短期入所では、重度障害者支援加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定できる体制がある
- 障害児入所施設では、強度行動障害児特別支援加算(Ⅰ)を算定できる体制がある
これに加えて、外部専門家から継続的にコンサルテーションを受けているか、強度行動障害支援者養成研修の講師派遣等に協力していることが求められます。
3.元の事業所に戻る場所を確保しておく
居住支援活用型は、永久的な転居や入所を目的とする制度ではありません。
集中的支援が終了した後は、原則として元の事業所や生活場所に戻ることを前提としています。
そのため、申請時には、元の事業所などが支援終了後の居住の場を確保していることが必要です。
例えば、グループホームの利用者が一時的に障害者支援施設で集中的支援を受ける場合でも、本人の意思に反して、元のグループホームが利用契約を解除することは認められません。必要な支給決定も、戻れるように残しておくことが基本です。
4.必要な申請・手続き
手続きは、おおむね次の流れです。
① 元の事業所が市町村へ申請する
利用者が現在利用している事業所が、利用者の支給決定を行っている市町村に、集中的支援実施依頼申請書を提出します。
在宅生活の利用者の場合は、家族から申請することも可能です。
② 市町村が必要性を確認する
市町村は、
- 行動関連項目等の点数基準
- 状態の悪化状況
- 通常の支援では対応が困難か
- 支援終了後に戻る居住場所が確保されているか
などを確認します。
必要と認めた場合、市町村から都道府県等へ、集中的支援の実施を依頼します。
計画相談支援を利用している場合は、相談支援専門員と十分に連携し、サービス担当者会議で検討することが望ましいとされています。
③ 都道府県等が専門家と受入施設を調整する
都道府県等は、登録名簿から、
- 広域的支援人材
- 集中的支援を行う受入施設
を選び、日程や支援体制を調整します。
④ 集中的支援実施計画を作成する
広域的支援人材が、利用者本人や生活環境をアセスメントし、元の事業所、受入施設、市町村等と連携して、集中的支援実施計画を作成します。
居住支援活用型が必要と判断された場合は、受入施設、実施期間、支援内容、終了後の戻り先や引継ぎ方法などを計画に盛り込みます。
支給決定の変更や新しいサービスの支給決定が必要な場合は、市町村がその手続きを行います。
5.支援を行う際の条件
受入施設では、強度行動障害支援者養成研修の実践研修修了者が中心となって支援します。
また、広域的支援人材の助言を受けながら、
- 利用者の障害特性や行動の背景の把握
- 生活環境の調整
- 支援方法の見直し
- 日課やコミュニケーション方法の整理
- 元の事業所への支援方法の共有
- 支援終了時の引継ぎ
を、集中的支援実施計画に基づいて行う必要があります。計画は、おおむね月1回以上見直します。
元の事業所の職員も支援に積極的に参加し、利用者が戻った後も同じ支援を続けられるよう、支援方法を学び、引継ぎを受けることが重要です。
6.支援終了後の手続き
支援終了後は、広域的支援人材が集中的支援実施報告書を作成します。
報告書は市町村と都道府県等へ提出され、元の事業所などに対して、今後の支援方法や環境調整の内容が引き継がれます。
まとめ
集中的支援加算(Ⅱ)を算定する主な条件は、次のとおりです。
- 強度行動障害の点数基準を満たしている
- 状態が著しく悪化し、現在の生活場所での継続が難しい
- 都道府県等が登録した施設が一時的に受け入れる
- 支援終了後に戻る居住場所が確保されている
- 市町村への申請と、都道府県等による調整を行う
- 広域的支援人材が実施計画を作成する
- 実践研修修了者を中心に、原則3か月以内で支援する
- 元の事業所への引継ぎまで行う
つまり、単なる一時入所ではなく、専門家・自治体・受入施設・元の事業所が共同して計画を立て、利用者が元の生活場所へ戻るために実施する短期集中型の支援制度です。
(A2)集中的支援加算(Ⅱ)を利用する場合でも、それまで利用していたサービスの支給決定は、原則として終了・取消しにせず、必要なものを残しておきます。
これは、集中的支援が終わった後に、利用者が元の事業所や生活の場へ戻ることを基本としているためです。
支給決定の具体的な取扱い
集中的支援加算(Ⅱ)では、利用者が一時的に別の施設や事業所へ移って支援を受けることがあります。
その際は、支給決定を行う市町村が、状況に応じて次の手続きを行います。
新しいサービスが必要な場合
例えば、共同生活援助(グループホーム)の利用者が、一時的に障害者支援施設で集中的支援を受ける場合などです。
この場合、市町村は、
- 既存の支給決定の変更
- 支給量の調整
- 施設入所支援や短期入所など、新たに必要となるサービスの支給決定
を行います。
元のサービスの支給決定
集中的支援の終了後に元の事業所へ戻れるよう、元の共同生活援助などの支給決定は、必要に応じて残しておくこととされています。
つまり、集中的支援のため一時的に別のサービスを利用するからといって、元のサービスの支給決定を自動的に廃止するものではありません。
利用契約も一方的に解除できません
例えば、グループホームを利用している人が、一時的に障害者支援施設で集中的支援を受ける場合でも、集中的支援の期間中に、本人の意思に反して元のグループホームが利用契約を解除することは認められません。
したがって、
「一時的に別の施設へ行ったので、グループホームは退居扱いです」
と一方的に処理することは適切ではありません。
具体例
共同生活援助を利用している人が、状態の悪化により、3か月間、障害者支援施設で集中的支援を受けるケースを考えます。
- 元の共同生活援助の支給決定は、復帰に必要な範囲で残す
- 障害者支援施設を利用するため、必要な支給決定を追加・変更する
- 集中的支援中も、元のグループホームとの契約を本人の意思に反して解除しない
- 支援終了後、元のグループホームへ戻れるよう調整する
という取扱いが基本です。
注意点
「元の支給決定を残す」ということは、同じ日に複数のサービス報酬を重複して請求できるという意味ではありません。
実際に提供したサービス、利用日数、支給量などに応じて請求を行い、市町村が必要な支給決定や支給量の調整を行います。
まとめ
集中的支援加算(Ⅱ)を算定する場合の既存サービスの取扱いは、次のようになります。
集中的支援終了後に元の生活場所へ戻れるよう、既存サービスの必要な支給決定を残しながら、一時的な受入れに必要な支給決定を追加・変更する。
特に、元の事業所は、利用者が一時的に集中的支援を受けることだけを理由として、本人の意思に反して契約解除や退居扱いにしてはいけないという点が重要です。
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